インディ・アニフェスト2019受賞作発表&審査評

インディ・アニフェスト2019

2019年9月19日(木)~24日(火)


今年の閉幕式は「夢見るコリア・アニメーション」日韓ミュージックビデオ交流上映でゲスト来日したイ・ジョンフン監督とハン・ジウォン監督でした。

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韓国短編コンペ部門の本選審査委員はイ・ヨンソン(花コリ2019長編『半島で生きたい~演技派おやじの奮闘記』監督)、イ・ヨンチョル(映画評論家)、チャン・ナリ(『父の部屋』監督)、ボリス・ラベ(フランスのアニメーション作家)、山村浩二監督の計5人。

 

*日本語タイトルは仮題です。花コリ2020では変わる可能性があります。



●一般コンペ部門/学生部門本選審査評●


今回審議は約5時間近くに及んだ。高い水準をもった多くの作品を丁寧に話し合いながら、色々な可能性を考え、結論を探っていった。個人的に私がメンターとして関わった作品もいくつかあったので、それだけは自分は意見を挟まず、公平性を保った。その上で全員が納得して合意ができ、Indie-AniFestが誇れる高いクオリティの作品が賞に輝いたことを審査員一同喜んでいる。

本選審査委員 

イ・ヨンソン、イ・ヨンチョル、チャン・ナリ、ボリス・ラベ、山村浩二、代表して山村浩二



■大賞”インディの星”

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動きの事典 / 움직임의 사전 / Movements

チョン・ダヒ 정다희 JEONG Dahee┃2019┃0:10:15┃Drawing, 2D┃Korea

アフリカのバオバブの木は、10分間で0.008mm成長する。その間に、世界最速の犬のグレイハウンドは12km走り、地球は太陽の周りを18,000km回る。『動きの事典』の上映時間は10分で、私は1日で2秒分を作った。私たちは共に歩き、見て、働き、走り、停止する。


この多彩で耀く作品は、私たち永遠に続く再構成の風景へと導きます。その中での、人間、木などのキャラクターは、それぞれ別の性格と生活の時間に従って、同じ日常を生きるように見えます。通り過ぎる時間と私たちが属している世界の相対性理論というテーマを扱いながら、監督はしっかりとした形式と創造的な叙事詩で非常に繊細な成果を成し遂げました。美しいアニメーションが伝達する、新鮮なユーモアは、この作品をより独創的でずば抜けた作品に仕上げました。(ボリス・ラベ)


チョン・ダヒ監督は、映画祭期間中デンマークのTAW(アニメーション・ワークショップ)が主宰する4週間のレジデンスプログラム、ユニバース・アクセラレーター NiNoKoにメンターとして参加されているため、デンマークからのビデオメッセージで受賞の感想を述べていました。

授賞式では映画祭の伝統で前年度の受賞者が記念品を授与することになっているのですが、前年(2018)の大賞受賞者はチョン・ダヒ監督と同姓同名(正確には정다희と정다히でハングルのスペルが違います)の『わき毛少女、キム・ブンオ』のチョン・ダヒ監督が記念品授与のために登壇しましたが、『動きの事典』のチョン・ダヒ監督がデンマークに滞在していて韓国不在のため、代わりに記念品を受け取っていました。


*チョン・ダヒ(정다희):『Le temps de l’arbre(木の時間)花コリ2014、『椅子の上の男』花コリ2015、『空き部屋』花コリ2017上映



■ 一般部門優秀賞

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『マスコット / Mascot

キム・リハ 김리하 KIM Leeha┃2019┃0:06:50┃3D┃Korea

自治体のマスコットを目指すキツネは、マスコット専門学校に通う。彼は狭い部屋に暮らし、多くのアルバイトを掛け持ちする。借金をし、整形手術までして、それでもオーディションを受け続ける。


ピラミッドの頂上、あるいはそのに1cmでも近づくためのすべての努力は、時には補償どころか、より深い底に自分を引きずり下ろすこともあります。自分は誰だったのかすら消してしまう、その深い暗闇の中で道に迷った青春の努力は、既に慣性になってしまいました。目的を失った努力の慣性だけが人生の唯一の慰めとなる韓国の青年たちの悲しい自画像を描いたこの作品に独立歩行一般部門優秀賞を差し上げます。監督立っている道の終わりには自嘲ではなく、本当の笑いがあることを願います(チャン・ナリ)

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左からキム・リハ監督と本選審査委員のチャン・ナリ監督



■学生部門優秀賞

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『すっぱいぶどう / Knife Hanging from A Tree

ナム・ジヒ 남지희 NAM Jihee┃2019┃0:03:21┃Drawing, 2D┃Korea, USA

「食えない柿をつついてみる*」という韓国のことわざをモチーフに、人間の欲望と業を表現した。

*「自分では食べられない柿を、わざわざつついて傷つける」という意味。イソップ寓話から来たことわざ「すっぱいぶどう」と同様、自分に叶わぬことに対して負け惜しみや悪口を言うこと。

 

個性的なビジュアルスタイルは、監督のユニークな感性と才能を感じさせる。

既存の構成や考え方、映画言語の原則を意識しすぎず、動き、編集、音響による独特のタイミングを探りながら、映画の緊張感を紡ぎだして、我々に強く新鮮なインパクトを与えた。作者の未知のポテンシャルを一番感じたこの作品に、学生部門優秀賞夜明け飛行賞を贈ります。(山村浩二)



■審査委員特別賞

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創造的進化 창조적 진화 CREATIVE EVOLUTION

ソンヨンソン 송영성 SONG Yungsung┃2019┃0:05:00┃Drawing┃Korea, Japan

私は何処から来たか、私は何者か、私は何処へ行くのか。われわれは何処から来たか、われわれは何者か、われわれは何処へ行くのか。すべてを超えて、生命は流れてゆく。

 

 創作者であれば、簡潔かつ明確に、直感的に作品を表現することの難しさをよく知っているでしょう。この作品は、それを成し遂げ、私たちはただひたすらに楽しみました。そのどんな表現よりも明確なタッチは、無駄なく美しさを表現する色彩と出会い、ミザンセーヌを奏でます。アニメーション本来の価値に忠実なメタモルフォーゼの手法は退屈隙なく簡潔に目標に向かって進化しています。そして、最終的に観客に神聖な瞬間をプレゼントします。(イ・ヨンソン)


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左から本選審査委員の『半島で生きたい~演技派おやじの奮闘記』のイ・ヨンソン監督、ソンヨンソン監督、前年『Dancing Frog』で同賞を受賞したキム・ジンマン監督。

ソンヨンソン監督は、現在、日本在中のため、授賞式に慌てて日本から駆け付けたとのこと。



■デビュー賞

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光 / 빛 / The Shadow

 キム・ヘジン 김혜진 KIM Hyejin┃2018┃0:12:02┃2D┃Korea

高校の卒業式。当時はクラスメートと証明写真を交換することが流行していた。気まずい仲になってしまったヒジュ、ジス、ドヒョンの3人も、互いに写真を交換する。大人になったいま、写真を見ながら、それぞれが輝いていた瞬間を思い出す。

 

昔の友人を訪ね、彼らの声を聞いてみるとどうだろうか?おそらくそうやって始まった作品だろう相変わらずなとこもあるだろうが、振り返ってみて後悔されること、残念なことすらすら流れてくるだろう。だから可愛いながらも苦笑いをつくり出すこの作品の最大の美徳は「飾らない自然さ」にああの時代、こっそり描いた落書きから取ったかのように荒くいたずらなイメージに作家の心が埋められている。この作品は、そこだけにとどまらず、光は仕方なく影を伴うという悟りを抱かせる作品(イ・ヨンチョル)



■音楽サウンド部門特別賞

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創造的進化 창조적 진화 CREATIVE EVOLUTIONソンヨンソン

佐藤亜矢子音楽監督 

審査を進める中で、音楽サウンド部分、この作品を選ぶことはそれほど難しくはなかった。この作品は、音楽が映像を完成させるという表現を越えて音楽と作品が一つになっていたから。人の声で出す短い音節の叫び、そのままハーモニーにな。ハーモニーは愛となり、愛は革命を奏で。音は、最終的に進化を遂げて誕生を歌。ここまでれば、映像と音がすでに一つになったことを感じるであろう。(イ・ヨンソン)


「佐藤亜矢子ではないんだけれど~」と言いながら登壇したソンヨンソン監督。



■KIAFA特別賞

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We Will See Someday

ホン・ナリ 홍나리 HONG Nari┃2018┃0:06:30┃Drawing┃Korea

近所で出会ったノラ猫とやっと仲良くなれたのに、雨がひどく降った日、猫は死んだ。温かく柔らかかった猫は、冷たくなっていた。その姿は、まるで猫が脱ぎ捨てていった服のようだった。


今年度、本選進出作品は現在の時代の融合複合コンテンツの一つとして、さまざまなジャンルの作品がアニメーションの領域を未知の領域にさらに拡張させ、その存在をさらに通知するようにもがくエネルギーを感じることができた。そのような流れでは、絵本の原作となったこの作品は、私たちがよく接する原作コンテンツの概念と常識を破ると同時に、まるで一本のミュージックビデオを見るような感じだった。私たちは無意識のうちに立てた技法とジャンルとの間の優位性や障壁を取り除き完全に混合することができることこそ、アニメーションの力ではないかと思われ。この作品を通じてアニメーションが世界を眺める「見物」ではない、世界がアニメーションの無限の可能性を眺める視線としての「見物」を感じることを願キム・サンファ、キム・ヘオン、チョン・スンベ、代表してキム・ヘオン書


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左からホン・ナリ監督。KIAFA審査員のチョン・スンベ監督(『土曜日の多世帯住宅』)と。



■観客賞”祭りの星”

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愛は夢と現実の交差路で/사랑은 꿈과 현실의 외길목에서 / Love at the Crossroads

チェ・ヒスン 최희승 CHOI Heeseung┃2019┃0:05:40┃Drawing, 2D┃Korea

夢と現実、そして私との三角関係。


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受賞の感想を述べるチェ・ヒスン監督



●アジアコンペ部門本選審査評●


 今年のアジア部門短編作品は幅広いトピック、物語、技術とグラフィックスタイルを見せてくれた。意味のある肯定的なメッセージが敷かれた子供の観客に向け作品から私たち集団人間生へのいくつかの時間の流れの中で、物理的、社会的問題を探求する作品もあた。

私たちは、アジア大陸の多くの地域から来た映画制作者たちの独特の文化の味があらわれる様々な作品から非常に多くインスピレーションを受けた

パク・ジヨン(『皮膚と心』監督)、イ・ギュテ(『Here Winter』監督)、Mike Nguyen(長編作品アニメーター)を代表してMike Nguyen


■アジア部門 大賞

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ぼくがオオカミ? 내가 늑대야?  Am I a Wolf?

アミル・オウサン・モエイン Amir Houshang MOEIN┃2018┃0:08:15┃2D┃Iran

『七匹の子ヤギ』を演じる子どもたち。みながそれぞれの役を演じているが、現実と演技の境目が分からなくなるほど、役に没頭してしまう。敗北する運命にあるオオカミ役の子どもは、孤独といら立ちを感じる。彼は自らの役柄に悩み、混乱に陥る。

 

 この作品は、より容易に達成できる動作の実例を超え動きにより、見事な生命力を呼び覚ます非常にレベルの高いアニメーション演技を見せてくれます。

この作品は、平行する外部と内部の現実の話を美しく織りました。子供たちが危険にさらされ七頭のヤギとオオカミの演劇を公演する間、観客は演劇の話の中に入って公演する子供のドラマ内外を行き来する経験をすることになります。

アートディレクションとグラフィックスタイルは、物語の本質に合った真剣な基盤を維持し、非常奇抜で夢のような感じを与えます。(Mike Nguyen)



■アジア部門 アジア路


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ローラの家 / Lola the Living Potato』  

レオニード・シュメルコフ Leonid SHMELKOV┃2018┃0:17:18┃2D┃Russia

ローラの家族は愛着のある古い家を出なければならない。ローラは成長するにつれ、そういうことを受け入れやすくなるだろう。

 

生と死、出会いと別れ、成長と愛は猛烈に繰り返される決まり事ながら、仕方なく敬遠しなければならない宿命のようなものである。それが決まり事であることを知っているため、小さなタッチも私たちは抜け出せない感傷に陥ってしまう。大人になるにつれ、私たちはそれを繰り返して片付けてしまう。しかし、子どもの視線では、それについて同意できるだろうか見慣れないものへ踏み出べき一歩を、子どもは簡単に下ろすことができない。結局は押されながら成長していくだろう。

祖父と孫娘の完璧なコンビは私たちを終始笑顔にした。強力な色合いとある画家の絵画を思わせる画面が印象的だ。毎シーン暖かくユーモラスながらも悲しい感情を強いらず、あまりやりすぎないよう、観客の心に染み込んだ。監督は、最後の場面で捨てられた思い出の上に雨が降り、観客に現実を思い出させることも忘れなかった。繊細ながらも奇抜と、冷静ささえ見逃さない作品である。(パク・ジヨン)



■アジア部門 審査委員特別賞

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一毛所有 Kin's Hair

陳冠聰(チャン・グンチョン)、鄭思藴(ツェン・スィーワン)、王子妍(ウォン・ズィーイン) 

Kwunchung CHAN, See-wan CHANG, Tsz-yin WONG┃2019┃0:05:51┃2D┃Hong Kong

香港の歴史を背景にしたアニメーション。香港の人々の集合的な記憶を呼び覚まして思い出を掘り起こし、主人公の物語を通じて香港の人々を勇気づける。

 

私の大事なもの一つ、二つ消えていく。確かに残念なことでしかない。しかし、これらは愉快に描かれる。失わないために努力する姿に笑うことができる。作品のすべてが生活接している。適切な比喩とバランスの取れた構成で、自然に話を伝える。たまに粗悪な表現が妨げになったりするところい。楽しいから。(イ・ギュテ)



■アジア部門観客賞

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性格変更スクール / The Body Swap Center

関口和希 Kazuki SEKIGUCHI┃2018┃0:08:35┃2D┃Japan

情けない自分にうんざりしていたミミ。ある日彼女がいつものようにうつむきがちに歩いていると、怪しげなチラシが目に飛び込んできた。


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受賞の感想を述べる関口和希監督



■観客審査団賞

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輪廻 / 윤회 / Samsara

チュ・ヒョンジュン 주현준 JOO Hyunjoon┃2019┃0:05:56┃2D┃Korea

少年は長い間実がつかないイチジクの木を育てていた。ある日、少年は夢を通じ、望んでいたイチジクの実を得られる体験をする。しかし、自分が望むあらゆることが可能世界で少年はすぐにイチジクに飽きてしまう。

 

決定の時間が残酷に感じられるほど、すべての作品が大事で意味深かった。意見が多様になればなるほど、より落ち着いて深く審査に臨んだ。加えて、私たちインディアニフェスト観客審査団の趣旨に合いながらも表現の独創性、主題の伝達性に優れた作品を選定しようと努力た。この作品は私たちに無限繰り返される人間、ある心を考えさせた。結局、開かないイチジクが伝えたかった伝統文様の繰り返しと変形に視覚化した点も非常に印象深かった。再び生まれ変わり、生を繰り返という意味のタイトルを込め、何よりも適切で説得力のある表現だと思た。

何よりも、この作品は、学生部門にもかかわらず、すでに太陽の光を含んだような壮大さが感心を醸しだした。本気で湧き出る拍手と歓声を一緒に過ごし、作品のための終わりなき情熱と汗、応援します。

クォン・ジナ、ユ・スンジェ、イ・ジョンウン、イム・ナウンを代表してクォン・ジナ書

※観客審査団:アニメーション作家だけでなくアニメーション評論家、鑑賞者も育てようと始まった映画祭独自の審査団。


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皆さん、受賞、おめでとうございました!
受賞作の上映は、日本の皆さんは、花コリ2020までお待ちください!

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