花コリ2019名古屋ミニトーク録 『ラブ・スパーク』キム・ミョンジュ監督

2019年7月6日(土)韓国短編プログラム2上映終了後
ゲスト:キム・ミョンジュ(『ラブ・スパーク』監督)
司会:西村嘉夫(シネマコリア代表)
通訳:韓→日 田中恵美
    日→韓 山田佳穂(愛知淑徳大学交流文化学部4年)

キム・ミョンジュ(以下キム):昨日、日本に参りました、『ラブ・スパーク』の共同監督を務めたキム・ミョンジュです。よろしくお願いいたします。

西村:通訳はいつも通り田中恵美さんと、もう一人、愛知淑徳大学の山田佳穂さんにお願いしております。よろしくお願いします。

この作品は、大学の卒業制作作品だと伺ったのですが、卒業されたのはどんな大学なのか、教えてください。

キム:卒業制作として『ラブ・スパーク』を制作した大学は青江文化産業大学(청강문화산업대학교)という3年制の大学です。1年生の2学期から短編作品を作っていくという、実務教育を中心としたカリキュラムの大学です。

西村:『ラブ・スパーク』はどれぐらいのメンバーで作られたのですか?

キム:この作品は、共同監督のチェ・ユジンさんと、私と、イ・ソンミョンさんの3人、それとヘルパーとして4人アニメーターの、合わせて7名で制作しました。

西村:チェ・ユジンさんというのは、「花開くコリア・アニメーション」を主催している韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)の事務局長チェ・ユジンさんと同姓同名ですが、全くの別人ですのでお間違えのないようお願いいたします(笑)。
作品を拝見して、ものすごく面白いと思ったのが、プラグをコンセントに差し込むとライトが点いて恋が成就するという表現ですね。このアイデアはどなたが考案されたのですか?

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キム:もともとプラグとコンセントが結合するというアイデアは、もともと共同監督のチェ・ユジンさんが持っていたものです。共同で作業するにあたって、もう少し発想を発展させていこうということで、いろいろ考えていきました。

西村:実は、キム・ミョンジュ監督とチェ・ユジン監督が『ラブ・スパーク』の前に共同制作した1分間の作品があります。
面白い作品ですので、ここでご紹介したいと思います。


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『XXXY』(2016 / 1:00 / 3D)
 どことも知れない天国のような真っ白な空間。全裸の男性が全裸の女性に何度も突進するが、半透明の膜に阻まれ、空の彼方にはじき飛ばされる。現実の空間。床に使用済みコンドームが投げつけられる。疲れ切った男性はぐったりとベッドに横たわり、女性は余裕しゃくしゃくでタバコをふかす…。


西村:(トークの)直前まで、上映するかどうか議論していたんですが、お子様がいらっしゃらないことを確認しまして上映することにしました。
最初に『ラブ・スパーク』を見て、その後にこの『XXXY』を拝見したんですが、その後にもう一度『ラブ・スパーク』を見ると見え方が変わりました。最初はハートウォーミングな爽やかな恋愛を描いた作品かな、と思ったのですが、『XXXY』を見た後は、プラグをコンセントに差し込む行為は男女の営みにしか見えません。ライトが点くのは、例えば妊娠をする、子どもができる、というようなことを比喩的に表現されたのでしょうか?

キム:まずコンセントとプラグの結合というのはチェ・ユジンさんのアイデアですが、その時彼女が考えていたのは、成人でも見られるような、少し性的な意味を含んだ作品にしてはどうか?ということでした。それを聞いて私が、ただコンセントとプラグが結合するだけではなくて電球が点灯くというアイデアを加えて、いわゆる性的なものだけではなくて、そこで、より(広い意味の)愛を表現できるのではないかと思って、提案しました。

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西村:あと気付いたのが、プラグもコンセントもちょっと欠けたり故障したところがあります。この作品は、電気部品を擬人化して描いているわけですが、障がい者の恋愛を描こうとしているのかなぁとも思いました。お互い欠陥があるけれど、最後に認め合ってハグをして結合すると恋が成就するという物語ですので。そういう社会的メッセージのある、障がい者の恋愛といったものも裏テーマとして描こうとされたのかなと感じました。

キム:確かに、おっしゃる通りです。例えばプラグの方は、一方のプラグが出ているところが欠けていますし、そういう要素を通じて、例えば障がいがあったり、何か心に傷を抱えていたりする人たちでも自分たちの恋愛を、想いを叶えることができるというメッセージを託した作品です。

西村:ありがとうございました。最後に一言お願いします。

キム:私たちの『ラブ・スパーク』をご覧いただき、ありがとうございました。

<司会後記>
 最終日の打ち上げでは『ラブ・スパーク』談義に花が咲いた。チェ・ユジン監督のアイデアから始まった本作だが、完成後、キム・ミョンジュ監督は、チェ監督から「これはあなたの作品になったわね」と言われたそうだ。仮に、チェ監督一人で制作していたら、いかにもインディーズらしいとんがった作品になっただろう。そういう『ラブ・スパーク』も見てみたいが、老若男女が楽しめ、子どもには子どもの、大人には大人の楽しみ方ができるアニメーションに仕上がったのは、キム・ミョンジュ監督の存在が大きいと言わざるを得ない。キム監督は現在、『Johnny Express』のウ・ギョンミン監督のもとで仕事をしている。遠くない将来、ディズニー・アニメを見に映画館に行ったら、本編開始前に、ウ・ギョンミン監督の名前がクレジットされた短編アニメーションが上映され、スタッフにキム・ミョンジュ監督の名前を発見する…。そんなことが起こっても、驚くにはあたらないだろう。


『ラブ・スパーク/Love Spark』
チェ・ユジン、キム・ミョンジュ 최유진, 김명주 2018 / 08:26 / 3D
誰もが”運命の相手”を探しに月へと行く世界。
孤独なノードは相手を探したいが、誰も気に留めてくれない。自分と似たような境遇のトンチに出会うが、彼女にも無視される。

Director’s note
私たちはみな完璧ではないが、自分だけのやり方で、愛することができる。

本編



キム・ミョンジュ 김명주KIM Myungju
青江文化産業大学でアニメーションを専攻。在学中、チェ・ユジンと『XXXY』(2016)、『ラブ・スパーク』(2018)を制作。現在、BRICK STUDIOに所属し、『Johnny Express』のウ・ギョンミン監督が手がけるTVシリーズ『マカ&ロニ』で背景を担当している。

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