『Dancing Frog』キム・ジンマン監督インタビューby ILC

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キム・ジンマン監督インタビュー
これからは、他の話が始まる

月刊「I Love Character」2019年4月号(ナム・ジュヨン記者)より

キム・ジンマン監督は19年余りストップモーションアニメーションを作ってきた。この世に存在する様々な材料から彼らだけの独自の物語をもたらし、長い時間をかけてシーンを完成させてきた。最初は骨の折れる仕事のようにだけ感じられたこの作業を、今では趣味だと称するキム・ジンマン監督。今までは内面の話に集中してきたとしたら、今後は他の人のための物語を作ってみたいという。


自己紹介

短編アニメーションを制作しているキム・ジンマンだ。2001年にアニメーションを制作することに興味を持ち始め、その後19年間ストップモーションの短編アニメーションを作っている。『Bologee Story』『所以然』『Indra’s Net』『Ate Nine』『Noodle Fish』『Dancing Frog』を作った。


アニメーション制作に入門したきっかけは?

大学では彫塑を専攻し、卒業したら幼い頃から夢見てきた作家としての生活をする計画だった。しかし、小学生時代『スマーフ』のようなアニメーションを見ながら漠然と作ってみたいと思っていた。それで卒業前に制作したものが『Bologee Story』だ。当時は制作過程があまりにも大変で、この作品だけやって終わりにしようと思っていたが、その後も続けて多くのアイデアが「物語」の形となって頭の中に浮かんできた。彫刻や絵画は、静的であり、一つのイメージで完結される場合が多いが、アニメーションは時間性があって話をさまざまに解いていくことができるジャンルだ。だから、私には彫刻よりも、アニメーションが合っているかもしれないと思った。その後、大学院でアニメーションを専攻して本格的に短編アニメーションを始めることになった。


フィルモグラフィーの中では『Noodle Fish』が多くの賞を受賞した作品である。
監督にとってどんな意味がある作品なのか?


乾麺のアニメーションは『Bologee Story』を制作するときに最初に作っている。実は『Bologee Story』のシナリオを初めて書いたとき、20分もの長さになったのだが、当時は、2年に渡り10分の分量しか作業できず、結局まだ語りたい話が残っていた。大学院を経て着実にストップモーションアニメーションの制作をしていく中、さまざまなストップモーション技術を積むことができ、ある瞬間、あの時のあの話を今仕上げなければと思った。それでキャラクターを魚に変えて残っていた話を脚色して作った作品が『Noodle Fish』だ。『Noodle Fish』は材料と話がうまく組み合わさった、一言で言えば麺のためのアニメーションだった。また、個人的にギャグ欲がある方なので(笑)。ギャグが生きて、かわいいものを作ってみるつもりだった。思ったより反応が良くて驚いた。運が良かったと思う。


最も最近作である『Dancing Frog』の話をしよう。
作品のインスピレーションはどこから得たのか?


従来とは異なる方式、新しい挑戦が好きで、新鮮な何かを見つけるために私に刺激を与えるようなものを発掘しなければならないと考えている。『Dancing Frog』のためのアイデアは、偶然インターネットで見たゾートロープの映像がきっかけとなった。回転する円筒の間で繰り返すシーンを見て、まるで、サイクルの中で繰り返される生を生きて行かなければならない運命という、巨大な枠組みを見たような感じがした。私たちは本当に自由意志で生きていくのだろうか? もしかしたら誰かが決めた運命の中で生きて行かなければならない存在なのではないだろうか? 円筒状に丸くつながった連続動作を一直線に伸ばして広げたら、まるで誰かの運命が記録された線のように見えるだろうと考えた。作品の中でカエルが落ちていく他の世界は、まさにそのような線が形象化されている所である。線と線が交差する部分は、二つの存在間の縁がつながった瞬間を意味する。カエルは、他のカエルの線の上に立ち、自分が経験した瞬間を、他のカエルの立場に移入し、再び体験する。


作業量が半端ないようだ

作品の中で木にぶら下がった数多くのカエルを演出するために、小さなカエルをシリコンで500匹ほど作った。そして、主人公のカエルをはじめ、幹などで動く骨組み(アーマチュア)のあるカエルは250匹ほど作った。カエルを作るためだけに1年ほどかかったようだ。また、カエルのリグ(キャラクターを支える装置、突き出し)を消すバレ消し作業にもかなり長い時間が必要だった。間に休んだ期間を除けば『Dancing Frog』は約3年ほどかかった。


作品に込めようとしたメッセージがあったとしたら?

『Dancing Frog』は、今まで制作してきたすべての作品の基底に流れている内容に、今まで関心を持って考え続けてきた概念、「あらゆるものは、つながっている」ということ、単純に表現すると私の連記的世界観をテーマにした作品である。20代から現在まで、私についての探求が人生の中で最も大きな部分を占めていた。自然とこのような内容を作品に込めてきた。つまり、今まで私が見たかった、話したかったことについて制作してきたようだ。
そして、それを今回の『Dancing Frog』を通してすべて話しきったと思える。


では、今後どのような話をするのか?

今までとは別の話をしたい。多くの人が共感し、面白いと思える話を。なので人々が興味を持っていることが何なのか気になり、さらにそれらをどのように自分の方法で新しくて独創的に紐解くべきか、が宿題となった。また、これまでの作品には人が登場したことがないのだが、本格的に人が登場する作品を作ってみるつもりだ。できれば1年に1作品程度は作りたい。根気強く支援事業を申請中だ。


国内の短編アニメーション支援事業についてどう思うか?

もし支援事業がなかったら、作品制作に没頭できないから、いくら作品を作りたいと思う情熱が大きくても、一つの作品を制作するために、5年、10年はかかるだろうと思う。支援事業のおかげで作家たちが実力を向上させることができ、以前より映画祭に出品するケースも増えている。今後も着実にサポートしていただけるよう願う。ただ、外国は放送局などで制作支援をしてくれるシステムが取られているようだが、国内では国家支援事業がなければ支援を受けることが難しい。より多様なサポート体系が整えられれば、才能ある人材がこの分野で、より増えるのではないだろうか。そうすれば業界もさらに活性化され、拡大することができるだろう。


今後の制作が期待される

個人的には自分だけの世界に没頭した作品ではなく、より多くの人々が共感し、一緒に楽しむことができる作品を作りたい。私はアニメ―ションを趣味で作っていると自分に言う(笑)。趣味という単語が持つ語感が、通常のアマチュア的性質を浮かび上がらせるが、そういう意味ではなく、仕事を趣味のように、いつも楽しみながらオタクのように制作するという意味である。これからは、これまで行ってきた自分を見つける過程も終わったので、もっと楽しく制作することができそうだ。今後さらに制作に没頭したい。

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『Dancing Frog / 춤추는 개구리』
キム・ジンマン 김진만 / 2018 / 10:20 / Puppet
あらゆるものは、つながっている。

Director’s note
互いがつながっていることを悟った瞬間、私たちのあらゆる動作は、ダンスになる。

花コリ2019韓国短編プログラム1で上映



キム・ジンマン監督
弘益大学彫塑科卒業。中央大学先端映像大学院アニメーション学科卒業。
ストップモーションアニメーション作家。
花コリ2013東京ゲスト。

2018 『Dancing Frog / 춤추는 개구리』
2013 『Ate Nine / 구어 구워』
2012 『Noodle Fish でこぼこ魚 / 오목어』
2009 『Indra's Net / 그믈』
2007 『所衣然 / 소이연 / Soeyoun』
2003 『デコとボコの話 / Bologee Story / 볼록이 이야기』


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