『Sigh of Sighs』キム・ボソン監督インタビュー by ILC

月刊紙「I Love Character(ILC)」の監督インタビュー記事について
韓国唯一のキャラクター産業マガジン会社「aeiouデザイン(株)」は1996年に創業した出版及びコンテンツ関連メディア専門会社で、2003年10月からキャラクター専門誌である月刊紙「I Love Character(ILC)」を創刊し、現在まで15年休刊なく雑誌を発行している会社です。
ILCでは韓国だけでなく海外のキャラクター関連情報や、韓国の短編アニメーション作家のインタビューを連載しています。

今回、花コリで上映される作品について、監督インタビューが掲載された回の記事を、ILCのご厚意で日本語で紹介させていただくことになりました。
日本語訳の下に雑誌のJPGファイルを3枚掲載しています。
画像をクリックすると全体ページがみられます。

今回紹介する監督インタビュー以外にも「キャラクターTV等」の独自取材による動画も配信されているので、この機会にぜひI Love Characterのサイトを覗いてみてください!


インディーズ映画館❾
キム・ボソン監督インタビュー
差別化した作品でコミュニケーションすることが監督の宿題
出典:月刊「I Love Character」2018年9月号(キム・ミンソン記者)

『Sigh of sighs / 한숨(ため息)』で世界の舞台に第一歩を踏み出したキム・ボソン監督に出会った。大学院の卒業制作で、世界4大アニメーションフェスティバルに入る「アヌシー国際アニメーションフェスティバル」と「ザグレブ国際アニメーションフェスティバル」に同時に招待されて話題を集めたキム監督。彼の作品についての話を聞いてみた。

読者に自己紹介を

『Sigh of Sighs』という作品が運良く2018年アヌシー国際アニメーションフェスティバルとザグレブ国際アニメーションフェスティバルに招待され、これを契機に「I Love Character」の読者と会えることになって、うれしい。アニメ―ション監督をすることになったのは、もしかしたら運命だったようだ。事実、大学でアニメーション学科を専攻したものの、アニメーションをやるつもりは全くなかった。イラストのみに関心があったが、ある瞬間アニメーションがおもしろくて不思議だと認識するようになった。監督にならなきゃ、という確信は大学の卒業制作『Dis COVERS』を制作した時だった。遠く感じられたアニメーションが、その制作をしながら、いつの間にか身近になった。それ以降、今もアニメーションとの縁が続いている。


大学院の卒業制作『Sigh of Sighs』が二大映画祭でコンペにノミネートした。
国際アニメーションフェスティバルに参加してみて、どうだった?


運が良かった。受賞はできなかったが参加できて光栄だったし、会場で新しい刺激を受けて帰ってきた。卒業制作作品部門に招待され、全世界の若いアニメ―ション監督に一度に出会うことができた。同じ部門の作品を全てみたが、新鮮な衝撃を受けた。一つの刺激剤だったとでも言おうか…。面白くて、新しい感じをたくさん受けた良い経験だった。


『Sigh of Sighs』はどんな作品なのか。作品について説明してください

『Sigh of Sighs』は「無責任な政府と倫理が失跡したメディアが共存する国で、それに対する被害は誰が受けているのか」についての問いをストレートに表現した作品である。『Sigh of Sighs』を制作していた当時を考えると説明しやすい。2016~2017年、しばらくの間、韓国は苦しくて憂鬱なオーラに満ちていた。社会的な問題もそうだが細かいホコリでいっぱいなソウルの姿を見て感じたことを、作品を通じて見せたかった。憂鬱で、息苦しい社会をクジラが漂流する漢江の姿を通じて包み隠さず表現しようとした。作品を作るまで「この話をしてもいいのか?」と、かなり悩んだ。他の作品をやろうとすることもなく、悩んだが、この話を紐解かなくては他の作品をつくることができなくて。だから、最終的に『Sigh of Sighs』という作品を作ることになった。


作品の色がさまざまだ。『Dis COVERS』は音楽、『Sigh of Sighs』は政治、風刺、コミックではないか?
作品で伝えたいメッセージがあるのか?


既存にはない新しい作品を作ろうとしたら、さまざまな作品が出てきたのだと思う。商業アニメーションで見ることができなかった新しい作品を作ろうと、さまざまな試みをしている。普段「これは世界初だ」という言葉が多いが、差別化された作品を作りたいという思いが密かに出てくるようだ。作品を見るファンも商業映画で見ることができなかった新しい作品として見てくれていて、作品から、小さなメッセージでも受け取ってくれればと思っている。


制作するときに最も重点を置くことは何か?

作品ごとに違う。ストーリーやメッセージが重要な作品があり、態度、雰囲気、アートワーク等、作品ごとに重点をおくべき制作がすべて異なっている。監督として、これらの作品のコンセプトをよく把握して制作に気を使うことが重要であると考えている。だからあえて絵を監督が直接描かなくてもいいと思う。絵は、その作品を最もよく表現できる作家が描けばいい。その素晴らしい絵を使って完成度の高いアニメーションを制作することが監督の最大の役割だと思う。


『Sigh of Sighs』を制作しながら、最も気を使った部分は何か?

表現方法だ。洗練されていないラフな感じを盛り込みたかった。憂鬱で息苦しい感じを最大限に生かすために、雰囲気は明るくないように、暗く露骨に表現した。そして当時の人々の視線で見たソウルの風景と感じをそのまま保持するために努力した。絵で表現するために、作品の背景となった汝矣島(ヨイド)をはじめ、ソウルのあちこちの場所を何度も通った。
実際の場所を当たり前ではないレイアウトで表現するために、かなり気を使ったと思う。


愛着がある作品は何か?

歌手ユン・ジョンシンのミュージックビデオ『最後の瞬間/마지막 순간』(2017)にかなり愛着がある。監督としてさまざまに変化することができた作品だったからだ。以前までは、自分は大衆と疎通しにくく、厳しい人間だと思ってきた。『Sigh of Sighs』という作品もそうだが、主に自分が表現したい作品は、大衆的な関心を引くには難しい作品を作ってきたので、そういう考えが強かった。しかし、『最後の瞬間』を通じて初めて、自分が投げたボールを、人々がよく受けてくれるんだと思うようになった。You Tubeのコメントを見て、多くの人が私の作品に共感してくれて、伝えようとした意味を静かに理解してくれるんだということを感じながら、アニメーションの制作に、もっと興味を持つようになった。


ミュージックビデオ月刊尹鐘信3月号『最後の瞬間/마지막 순간』(2017)



今後の計画と目標は?

批判的な性格の作品を準備している。周りを見ていて不満が生じると、そこに好奇心を持って制作をする方なので、まだ具体的な計画はないが、今はストーリーを貯めている最中だとみればいい。また、反対に、多くの人が楽しめる大衆的な作品を準備中だ。機会に応じて出て​​くる作品は違ってくるけれど、作品のための悩みと努力は止むことなく、続けるだろう。そして、具体的な目標は、定めていないが、今のようにアニメーション制作を続けていきたい。どんな作品が残って、自分がどうやって記憶されるか分からないが、50代のキム・ボソンもこの仕事を続けていることを願っている。


・2017 『Sigh of Sighs / 한숨(ため息)』(花コリ2019 韓国短編プログラム1で上映)
・2017 音楽シンチリム(ユン・ジョンシン、チョ・チョンチ、ハリム)、エディー・キムによるミュージックビデオ『今 / 지금』
・2017 ミュージックビデオ月刊尹鐘信(ユン・ジョンシン)3月号『最後の瞬間 / 마지막 순간』
・2016 ミュージックビデオ月刊尹鐘信(ユン・ジョンシン)12月号『それでもクリスマス / 그래도 크리스마스』
・2015 ミュージックビデオ月刊尹鐘信(ユン・ジョンシン)5月号『脱盡 / 탈진』
・2014 『Dis COVERS』(花コリ2015 短編Aプログラムで上映
・2009 劇場映画『Viewfinder / 경』 挿入アニメーション
・2008 『ほこり / 먼지』

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『Sigh of Sighs / 한숨』
キム・ボソン 김보성
2018 / 05:50 / 2D
漢江に漂着したまま、放置され腐っていくクジラ。奇妙な現象が起きるが、都市の誰も気に留めず、犬や鳥たちだけが、クジラの周りをうろつく。ある時期に韓国を包んでいた、憂鬱な風景の記録。

Director’s note
無責任な政府と倫理を失ったメディアは、その結果、誰に害をもたらすのか?

『Sigh of Sighs』は花コリ2019 韓国短編プログラム1にて上映されます。
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