『地獄門』キム・イルヒョン監督インタビューby ILC

インディーズ映画館⓬
キム・イルヒョン監督インタビュー
自分を束縛していた法則、捨てたら自由になった
出典:月刊「I Love Character」2018年12月号(ナム・ジュヨン記者)

インタビューテキスト下のイメージ画像3枚をクリックすると月刊「I Love Character」の該当ページ全体像をご覧になれます。

今年「インディ・アニフェスト2018」で独創的なアートワークと早い展開、反転に反転を繰り返すストーリーで観客の関心を集めた作品『地獄門』のキム・イルヒョン監督に出会った。ポンポン湧き出るアイデアをすべて作品にすることができないのが残念だというが、だからこそ、さまざまな試みとして、アニメーションを制作するために絶えず挑戦する、彼の情熱みなぎる話を聞いてみよう。

自己紹介

2005年からアニメ―ションを作ってきた。『36番目の受刑者』、『88万ウォン』(花コリ2010で上映)、『地獄門』(花コリ2019 韓国短編プログラム1で上映)などを作り、今年「インディアニメフェスト2018」で『地獄門』という作品で一般部門優秀賞と観客審査団賞を受賞した。短編アニメーション制作のほか、国楽公演のためのビデオを制作する芸術分野でも働いている。

Q:受賞おめでとうございます。今回の賞にはどのような意味が?

13年間アニメーションを制作していて、初めてもらった賞なので、心から嬉しかった(笑)。賞をとるためにとか人気を得るために制作してきたわけではないけれど、10年以上ひとりで制作し続けながら、この道に進んでもいいものか、疑問に思う瞬間があった。だから今回の受賞は、精神的に大きな力になってくれた。ちなみに、ある瞬間から作品を制作するときに、他人のアドバイスを聞いて、よくなるために努力していたのだけれど、ただのアドバイスに期待し過ぎて、自縄自縛の状況に陥っていた。これではいけないと思い、『地獄門』は、わざと自分の考えのまま、自分がしたいものだけを作ってみた作品だった。だから全く期待していなかったが、賞を受賞し、非常に驚いた。

Q:『地獄門』はどんな作品か?

自分であることを証明しなければならない状況に直面している人が、自分自身を証明していく話だ。20代後半の男が死ぬことで話が始まる。目を覚ますと、あの世で、その男の人生を記録した冥途書類に、彼が人を殺したと書かれている。その時から、その書類に記載された人物が、自分ではないことを、自分は自分であることを証明する過程が繰り広げられる。事実、人々は些細な事でも、例えば自分の携帯電話のロックを解いたり、または公認認証書のパスワードを入力し、一日に何度も自分自身を証明する。しかし、実際に自分が自分であることを証明するのは難解なことなのではないか。そういった話を作品を通じて面白く見せたかった。

Q:『地獄門』を作るにあたって、どんな点に気を使ったか?

先ほども言ったように自分がしたいことはすべてやろうとした。作品を作ってみると、最初は自分が思っていたテーマやストーリーの流れが明確だ。しかし、世の中には、「法則」というのものがあるじゃないか。「ストーリーテリングの法則」、「演出の法則」のように。私は、このような法則に合わせて話を再構成するために多くの時間を使った。そうすると、最初のテーマや流れが弱くなっていったりした。しかし、今回はそうはならない、むしろ私の意識の流れ通りに作ろうと決心して制作した。だから作品が始まるとすぐに起承転結の法則もなく、主人公が死んでしまう『地獄門』という作品が出てきたのだ。私自身を束縛していた法則が消えたので、とても自由に制作することができた。『地獄門』は本当に楽しく制作した作品として記憶に残るだろう。

Q:作品のアートワークが非常に特異だが

美術系を専攻してきたわけではないので、絵の実力はそれほど優れた方ではない。だからアニメーションを演出できるプログラムであれば、いろいろ試そうとする方で、ストーリーを効果的に伝えることができれば、できるすべての技術を利用する。『地獄門』はカットアウト、2Dドローイングを適用して実写の写真を画像にコンバートするなど、ほぼすべての方法が動員された作品である。もちろん、他のアニメーターたちと比較すると多くはないが、直接描いた絵も使う。一枚を丁寧に、多くの意味が込められるように心血を注いで描いた後、複数のシーンに多様に活用する方だ。

Q:『地獄門』で新しいツールの操作をしたと聞いた

アドビの「Character Animator CC」というソフトを使った。「Character Animator CC」はキャラクターを制作した後、キャラクターを思いのままの動きで動くようにアニメーションを適用してくれるプログラムである。ウェブカメラでユーザーの表情をキャラクター上で再現してくれて、マイクにつなげてリップシンクもできる。動作は、カメラを認識する方法ではないがクリック・アンド・ドラッグを使用して全身を自在に動かすことができる。『地獄門』の中のキャラクターの表情はすべてこのプログラムを使用した。通常、短編アニメーションを制作するために、少なくとも1年以上がかかるが『地獄門』は10ヶ月程度だった。アニメーターたちに強く推奨したい。

Q:制作期間の短縮が業界に影響を及ぼすか?

そうなると思っている。短編アニメーション制作の欠点の一つは制作時間がかかり過ぎて、負荷があまりにも多いことだ。だから敷居が高く、作品も少ない。しかし、制作期間が短縮され、制作負荷が減少すれば、まずは作品の数が増えるだろう。私は、作品が多く作られれば、その中から良い作品が必ず誕生するだろうと思うし、その可能性も高くなるだろうと考えている。そうなれば、より多くの人々が短編アニメーション分野に興味を感じ制作しようと思うんじゃないか。私も今後はたくさん作るために努力するつもりだ。

Q:短編アニメーション市場に望む点があるとすれば?

惜しい点があるとすれば、短編アニメーションの流通チャネルが不足していることだ。作品を制作したら、監督は多くの人々に自分の作品を見せたい。しかし、今のところ映画祭に行けば見ることができるだけだ。通常の映画や長編アニメーションのように自宅で簡単に見ることができるほどでなくても、今よりも流通チャネルが増え、人々が短編アニメーションに接することができる方法が多くなったら、というのが願いである。

Q:今後の計画は?

まずは短編アニメーション制作を続ける。そして「Character Animator CC」プログラムを活用してキャラクターBJがリアルタイムで動いて答えながらコミュニケーションするインターネット放送コンテンツを企画中だ。最終的には長編アニメーションやTVシリーズアニメーションをやりたい。長期視野でシナリオから制作して、政府の長編アニメーション支援事業に挑戦しようとしている。1、2年で完成するプロジェクトではないから、これを準備している間にも多くの作品を作っていくつもりだ。今後も作りたい話が本当に多い。

・2018 『地獄門 / 지옥문』
・2018 『崔生遇眞記 / 최생우진기』
・2012 『夏をつかまえろ / 여름을 잡아라』
・2012 『魔法を使わない魔法使い / 마법을 쓰지 않는 마법사』 *DVDを花コリ会場で販売予定
・2010 『88万ウォン / 88만원』(花コリ2010で上映
・2009 『屋根裏部屋物語 / 옥탑방 이야기』
・2008 長編『The Story of Mr Sorry / 제불찰씨 이야기』
・2007 『36番目の受刑者 / 36번째 수감자』

ILC_KIM_Ilhyun01.jpg
ILC_KIM_Ilhyun02.jpg
ILC_KIM_Ilhyun03.jpg



HellGate.jpg
『地獄門 / 지옥문 / Hell Gate』
キム・イルヒョン 김일현
2018 / 09:47 / Drawing, Cut-Outs, Rotoscoping 2D, 3D
突然の窒息で死に、あの世に着いた男ドンフィ。審判官は彼に「人を殺したので、地獄に行かなければならない」と告げる。ドンフィはあちこちたらい回しにされ、自分の無実を主張するが、証明に必要な書類が多すぎて……。

Director’s note
実在するというだけでは、存在を証明することはできない。

★インディ・アニフェスト2018 一般優秀賞、観客審査団賞ダブル受賞
花コリ2019韓国短編プログラム1で上映


<関連記事>
インディ・アニフェスト2018受賞作発表&審査評
関連記事
スポンサーサイト



tag : 花コリ