『土曜日の多世帯住宅』チョン・スンベ監督インタビューby ILC

インディーズ映画館❻
チョン・スンベ監督インタビュー 
私たちの生、そして人形に息吹きを吹き込む
I Love Characterより

チョン・スンベ監督に会った日は、偶然にも『土曜日の多世帯住宅』が韓国の富川ファンタスティック映画祭招待作として、ポルトガルの「IndieLisboa映画祭」でコンペ部門で上映される日でもあった。『土曜日の多世帯住宅』は、チョン・スンベ監督の他の作品と同様に、日の目を見るとすぐに多くの観客に受けいれられた。去る4月、韓国コンテンツ振興院の短編アニメーション優秀作上映会「KOC!ANI」でプレミア上映をし「観客が選んだ作品賞」を受賞した。


Q:『土曜日の多世帯住宅』が受賞から企画・上映まで多く受け入れられている。感想は?

去る4月に開かれた「KOC!ANI」で「観客が選んだ作品」に選ばれた。アニメーションが好きで、始めて20年になったが、今年、ちょうど大きな賞を受けて、さらに気分がいい。今日はポルトガルで開催される「IndieLisboa映画祭」で『土曜日の多世帯住宅』が上映されている。監督にとって、多くの人々が作品を見てくれるということほど喜ばしいことはない。


Q:『土曜日の多世帯住宅』はどうやって誕生したのか?

物語の始まりは仕事部屋だった。建物の地下にはカラオケ、地上にはレストランやバイク修理店、教会、住宅、そして私のスタジオがある。ある日、スタジオから外の騒音を聞きながら制作をしていたのだが、この建物をレントゲン撮影するように見せたら本当に面白いだろうなと思った。そんな風に思いながら制作をしていたら、家族が階間の騒音に苦労したので、話のネタが追加された。


Q:擬人化された動物のキャラクターが非常に親しみやすい

キャラクターごとに特徴と年齢を分けて垂直に配列した。1階にはミュージシャンを夢見る10代のヤギ、2階は家を直したい20代のキリン、3階は、赤ちゃんと若いお母さん、4階はシナリオを書くコアラのおじいさん、5階はダイエットをするクマのおばさんだ。そして屋上は彼らが一同に集まる空間に設定した。


Q:キャラクターの年齢を設定した特別な理由は?

生きることは、基本の欲求を満たしながら生活することから始まると考えている。その欲求を満たすために、私たちは、騒音を出していて、生まれてから死ぬまで騒音を出しながら暮らしている。結局、生活がまさに騒音であると考えてみると、年齢を設定すると、私たちの生活をよりよく表現することができるだろうと判断した。


Q:土曜日という特定の曜日を設定した理由は?

個人的に土曜日が好きなので。休まなきゃならない日でもありながら、逆に家事をしなければならない日だから(笑)。映画の中でも、土曜日は休日、日曜大工を始めたキリン青年の騒音で事件が始まる。タイトルも休日の多世帯住宅で『土曜日の多世帯住宅』に決めた。


Q:今回の作品は、羊毛フェルトを選択しているが

様々な材料で作品を作るために、常に悩む。新しい材料の試みだった『土曜日の多世帯住宅』が含んだ意味と、画面の独特性を考えてみると、羊毛フェルトを選ぶことになった。骨組みを作り、羊毛と綿を針で刺して形を整える等の人形制作の過程が容易ではなく、人形を作る時間が長くかかった。制作過程は難しかったが、物語の説得力と観客に視覚的な配慮をするための選択だったと思う。


Q:次の作品で検討している材料は?

まだ決めてない。話に基づいて、こういう材料は、どうだろうかと悩んでいる。だいたいシナリオを先に決めてキャラクターを作り出す方だから、次の作品の話に基づいて材料も異なるものであり、新しい材料の試みを継続的にやるつもりだ。


Q:既存の作品と同様に明るい感じのバックグランドミュージックで始まる、生活の中の話が溶けこんでいる

バックグランドミュージックなどの要素は、意図したわけではない。主題や素材は、どうしても「父親」が滲み出てきているんじゃないかなと思う。子どもに聞かせたい話、時代の悩みについて話したいことを作品にして作る。そうしたら、暗い話ではなく、明るい雰囲気で作品を作るようになった。


Q:ストップモーションアニメーションを始めてから20年、始めたきっかけは?

アニメーションが好きで、アニメーション学科に入学したが、当時は作画紙に絵を描くのが全てだった。アードマンを知り、新世界を発見した。国内ではまだ不毛の地なので、メーカーに直接訪ねて行って質問しながら勉強をした。そうするうちにコマ撮影機(ラインテスト撮影)が学科に入り、8ビットのモニターを見ながら、動きをつけていたら、粘土でやると面白いと思い、作品を作り続けて今に至っている。


Q:いつも同じアートディレクターと仕事をしているそうだが

妻がアートディレクターとして一緒に制作している。事実、共同監督だといっても過言ではない。日常的な会話で決まることもある(笑)。シナリオについて一緒に悩んだり、逆にシナリオよりもキャラクターを先に提案したりもする。お互いの呼吸がよく合い、話し合うのが楽しい。


Q:今後の活動が気になる

今春から柳韓大学のアニメーション学科の教授として働いている。学生の作品をたくさん見て、一緒に悩んで多くの時間を持ちたいと思う。学生と一緒に創作範囲について悩み、助けることも価値のあることだと思う。


Q:次に、試してみたいものは何か?

人形を扱って話すことができる部分について悩み続けている。いろいろな観客について考慮しなければならないが、最も持ち分を多く占める観客は妻と子だ(笑)。残してあげたい作品を作ること、それが作品制作で悩む起点でもある。観客が楽に接することができるインディーズ・アニメーションを作っていくことが最大の目標であり、継続的にやっていきたいことである。

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チョン・スンベ 전승배 JEON Seungbae(『土曜日の多世帯住宅』監督)
『土曜日の多世帯住宅』『2人の少年の時間』『行ってきます』など、さまざまなメッセージを込めた精巧な人形アニメーション作品を発表している。CF制作や立体キャラクター・デザインなど、多方面で活躍中。Toyville Animation Studio主宰。

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『土曜日の多世帯住宅 / 토요일다세대주택 / Saturday’s Apartment』
2018 / 07:00 / Puppet
上下階の騒音が原因で苦しんでいる、集合住宅の5世帯の住民たち。果たして、彼らに穏やかな日々は訪れるのか……?

Director’s note
私は、一週間のうち一番幸せな日は、土曜日だと思う! 私が暮らすこの我が家も、そうだったらいいな。どうか、土曜日だけでも……?


『土曜日の多世帯住宅』トレーラー


『土曜日の多世帯住宅』は花コリ2019韓国短編プログラム1にて上映。
また東京会場では監督をゲストにお招きし、トークイベントを開催しました。
*詳細は東京会場ゲスト・イベントをチェック!


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