「おまえのせいで」ソン・ヘジン監督インタビュー

「おまえのせいで」ソン・ヘジン監督インタビュー
by キム・ボギョン「プールの猫たち」

(2012. 11. 03)

インディ・アニフェスト2012学生部門で優秀賞を受賞した「おまえのせいで」ソン・ヘジン監督を、
同じくインディ・アニフェスト2012で審査委員特別賞を受賞した「プールの猫たち」のキム・ボギョン監督がインタビューしました。


「おまえのせいで/너 때문에/Because of You」
ソン・ヘジン(2012/10:53/2D Computer,Drawing)
花コリ2013 Aプロで上映
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「プールの猫たち/수영장의 고양이들/Cats in the Pool」
キム・ボギョン(2012/08:30/2D Computer)
花コリ2013 Cプロで上映
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キム・ボギョン(以下キム):インディ・アニフェスト2012で学生優秀賞を受賞した作品「おまえのせいで」の紹介をお願いします。
ソン・ヘジン(以下ソン):「おまえのせいで」は2Dドローイングの技法で制作したアニメーションで、幼い兄と妹が遊びながら、お互いにいがみ合っていると、お兄ちゃんが、500ウォンで妹を売ってしまうんだけれど、後でまた取り戻すことになる内容です。内容は簡潔です。普通の幼い兄と妹の愛憎関係を表現したかったんです。

キム:ええ、こういう兄妹が言い合う姿が本当に実感出ていました。特に妹を煩わしがる兄の感情表現。もしかして経験談ですか?お兄さんがいるんですか?
ソン:2歳上の兄がいます。実際に制作をしながら幼い頃、兄としたことをたくさん使いました。作品に出てくるツバを吐きながら遊ぶのや、妹が兄についていったり、兄はそれを煩わしがったり。そういうことを。私が幼い頃、兄にたくさん迷惑をかけました(笑)。あ、でも、この質問本当によくされたんですけど、実際に500ウォン(現レートで約43円)で売られたことはありません。500ウォンは演出です(笑)。


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キム:じゃあ、その500ウォン事件(?)は、どうして思いついたんですか?
ソン:私が子どもの頃、友達の間でポストイットで遊ぶのが流行で。背中に「バカ」「間抜け」とか書いて貼って遊ぶんだけれど。

キム:そうそう。ありました(笑)。
ソン:ええ。そうしてるうちにポストイットに、お互いに値段をつけ始めたんです。あんた、500ウォ~ン、そんな感じで。どんな状況演出を作るべきかと考えてみたら、自然にそういう幼い頃遊んでいた経験を思いついて入れたんです。

キム:結局、それも幼い頃の経験から来ているんですね。
ソン:はい。私は大体、自分の経験で話を作ります。うーん、でも動作みたいなものは、研究のために外に出て直接子ども達の動きを観察しました。子ども達はどんな風に動くかを重点的に見たんです。よろよろ歩く姿や…また子ども達は普通、たいてい走り回るみたいで。歩かずに。そういう動きに対するもの以外に、演出的な部分は、ほとんど70%位が経験から来たものです。

キム:それなら、いろいろな経験があったと思いますが、特に幼い頃の話をしないとと思った理由はなんですか?
ソン:元々他の内容を考えていたんですが、考えているうちに、学校から家に帰る途中、遊び場を通り過ぎるんですが、子どもと母親が遊んでいる姿が見えました。普段ならばそのまま通り過ぎたんですが、その時はちょっと私が感性的だったようで。私、夕焼けが好きなんですが、ちょうど夕焼けだったからか、その姿が特に印象深かったんです。初めは子どもと母親の話をしようと思いました。それで幼い頃をずっと思い浮かべてみたら、兄と一緒に遊び場へ行って、男の子たちはサッカーをして、女の子達は砂場で、石で実や草を砕きながら遊んで、防疫車(伝染病防止のために消毒の粉を撒く車)が回る時間に合わせて追いかけて…。鉄棒に逆さにぶら下がると、下にポケットの小銭が落ちてそれをまた拾って…。その頃のことを思うと、兄といたことがかなり多かったんですよ。くすぐったくておぼろげな気がしながら。「あ、これでやらないと」と思って、制作を始めたんです。

キム:制作しながら、一番重要だなと思った部分があると
ソン:作業を構想しながら一番念頭に置いたことが、二つあったんですけど、一つはアクティングができるように細かくしたくて。子ども達が出るついでに、子ども達だけの際立った動きを実感が出るように生きた面白いアクティングをしたくて。もう一つは演出的な部分です。単純でよくある話だけれど、それをどうすれば普遍的な話じゃないようにできるか…ということに一番大きく重点を置いたんです。例えば子ども達が争って仲直りするのに、単純に直接的に「ごめんね、私たち仲直りしよう」というのはイヤで。それで終わりに、お互いに遠くツバを吐く場面でお兄さんが妹を理解して仲直りすることを遠回しに演出したんです。

キム:ええ、演出がホント、良かったです。特に最後に、そうやって自然に仲直りした二人の子どもが空を見るんだけれど、夕焼けの場面がとっても記憶に残っていて。そういえばさっき夕焼けが好きだと言いましたね。
ソン:はい。

キム:その時、遊び場での夕焼け、その感じを生かしたかったんですね。
ソン:ええ、そうです。最初にアートワークをつかむ時、一番先に夕焼けが思い浮かびました。兄と妹が並んで座っていて、赤い夕焼けの空があるその場面。兄妹は最後までお互いに優しく振舞わず、気まずいでしょう。でも元々子ども達はお互いに仲違いしてケンカしても、すぐに打ち解けて何事もなかったようにまた一緒に遊ぶじゃないですか。そういうぎこちないけれど、不便ではない雰囲気を夕焼けを通して表現したかったんです。

キム:そうだったんですね。制作していて良かった思い出は?
ソン:制作が大変な時は学校の友達と、わざわざ約束してお花見に行ったり、遊園地に行ったりもしたけれど、本当に記憶に残っているのは、学校で徹夜している最中、友達と少し学校の前の公園に出て、健康機具に乗っかりながら遊んだり、そんな時に真剣に話した話…制作に対することや未来についての話、制作のせいで大変だと言いながらも、「うちらうまくやっていけるはずだよ」と言い、お互いを励ましたこと等。そういった小さいことが本当に良い思い出として残っています。

キム:これからの作品の方向性があるとしたら…?
ソン:私はいつも、疎通が一番大事だと思っています。もちろん内容上の疎通もあるけれど、作品が観客とも疎通をしなければならないと思っていて、次の作品も疎通を扱いたいです。父を失った娘が、気まずく遠くに感じていた父親の痕跡を追って、父親を理解していくという内容なんですが、またよくある内容をどうやって面白くしていくか、長い内容を私の能力の中で制作可能にするにはどう省略していくかが、一番悩みどころです。
それから「おまえのせいで」は、おぼろげな感じを出すために色をあまり使わず、人物の動きを重点において、背景を簡略化したけれど、次の作品では、今回の作品より、もうちょっとビジュアル的に華やかなアートワークが出るシーンも試みようと思っています。

キム:最近見た短編アニメーションの中で好きな作品があったら、ちょっとおススメしてください。
ソン:ムン・ヒョンイル監督の「男は泣かなかった」(花コリ2012で上映)。演出や話を引き出す方式が私の好みです。一番面白かったのでおススメです。あと、最近私が卒業した桂園芸術大学の卒業制作の中で、チョ・ウネ、キム・スルギ監督の「On Off」という作品と、キム・チェヒョン監督の「朝の食卓」(花コリ2012で上映)という作品があるんですが、この2つの作品がとても面白かったです。特にアートワークがとても繊細で良かったです。


「男は泣かなかった/남자는 울지 않았다/The Man Did Not Cry」
(ムン・ヒョンイル/2011/08:46/2D Computer,Drawing)
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「On Off」
(チョ・ウネ、キム・スルギ/2012/09:16/2D Computer)
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「朝の食卓/아침 식탁/The Breakfast Table」
(キム・チェヒョン/2010/07:55/Cut-outs)
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キム:あ…残念ながら私、見てない作品ですね。気になっていて、見たかった作品なんだけど、これから見る機会があるといいな。ではインタビューありがとうございました、監督!
ソン:ありがとうございました!

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「おまえのせいで」ソン・ヘジン監督


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