ホン・ウンジ監督「ロマンはない」「ソウルに暮らす子猫」スタジオ訪問記

ホン・ウンジ監督「ロマンはない」「ソウルに暮らす子猫」スタジオ訪問記
(KIAFA CAFE 2012年6月14日のスタジオ訪問記より)

*花開くコリア・アニメーションでは2011年に名古屋会場にゲスト来日してくださったホン・ウンジ監督。
長編「ロマンはない」制作後も、短編アニメーションを意欲的に制作し続けています。
そんな監督を韓国のKIAFA事務局のスタッフがスタジオ訪問しました。
監督の近況、「ロマンはない」はもちろんのこと、花コリ2012で上映した「ソウルに暮らす子猫」、次回作について、花コリ2013で上映予定のイ・ギョンファ監督(「UNDERGROUND」)や他の監督達と結成(?)した『刺激集会』についても語っています。

unji01.jpg


KIAFA:家は妹さんと一緒に使っているんですか?
ホン:はい。今は実家に帰っていていません。実家で父が写真屋をやっています。

KIAFA:じゃあ、作品をつくるようになったのもお父さんの影響が?
ホン:そうじゃないですけど(笑)。父のスタジオでフォトショップ(Adobeの画像編集ソフト)を手伝いながらフォトショップが上達したってことですね(笑)

KIAFA:制作はこちらでやるんですか?
ホン:家でもやります。ジョンイン姉さん(「14beat」ナ・ジョンイン)の作業部屋も借りて使ってるんです。そこでもやります。

KIAFA:2010年の冬にナ・ジョンイン監督のスタジオ訪問記でホン・ウンジ監督とスギョン監督と一緒に使っているって言ってましたね。
ホン:はい。その後そこを出て、青年創業センターに入り、一緒に使っています。そこも使って家にもパソコンがあるから家でもやります。

KIAFA:ではスギョン監督とは別に使っているんですか?
ホン:スギョン姉さんはまだ元の所にいます。

KIAFA:それではその時は、他の監督と一緒に使っていたようでしたが、長所、短所ありますか?
さびしいとか、人が多くて落ち着かないけど幸せとか?(笑)
ホン:笑 青年創業センターはジョンイン姉さんが支援を受けてやっているので家賃がありません。それはと~っても良い点です(笑)作業部屋の費用がいらないから良いです。家はどうせ私が住む所だから作業部屋として使いながら、お金を別途払わなくていいから良いし、不便なところは別にないけど。私が家にいるのが好きだから引きこもっている感じ。

KIAFA:ナ・ジョンイン監督の作業部屋には定期的に行くんですか?
ホン:いいえ、決まっているわけではなく行きたい時に行きます。でも資料がそこにあるんです。だからジョンイン姉さんと一緒に作業する時に行きます。普通は家でやります。なので廃人になるんです(笑)

KIAFA:廃人になるって、一日中仕事だけするということですか?
ホン:はい。一日中暮らすのと、仕事と区別ができないから、ご飯も食べないし、家も徐々に乱れて、家では休めるようにしないといけないのに、延長戦になってしまう。

KIAFA:かなり一生懸命仕事されるんですね。
ホン:いいえ、無精なんですよ。区別できないの。空間区別できない、何時から何時まで仕事をして、それから私生活を…ってのができない。

KIAFA:完璧主義の仕事中毒なんじゃ?(笑)
ホン:いいえ、違います。TVちょっと見ようか?ちょっと寝ようか?ってやりながら(笑)
普通外に出て仕事をすれば、ご飯を食べた後、眠かったらコーヒーを飲むじゃないですか。それでシャキッとして5分休んで仕事する。でも家で仕事をすると、ちょっと寝ようかなっていって3時間寝ちゃうんです。それじゃダメよね。これ公開しちゃだめなのに(笑)

KIAFA:マネージャーや男の人がいればいいですね。整理もしてくれて、時間管理もしてくれる(笑)
ホン:お母さんが必要です(笑)

KIAFA:そうですね。「ロマンはない」のキャラクターがホン・ウンジ監督の家族の話だって聞いたんですが。そういうお母さん?(笑)
ホン:はい。ロマンのようです。お母さんがいたらいいです。

KIAFA:一人暮らしをして長いんですか?
ホン:はい。大学後一人暮らしです。遠くなったのは大学卒業後。その間は伯母の家に住んでました。

KIAFA:実家にはよく行くんですか?
ホン:いいえ。なぜか。

KIAFA:お母さんが時々訪ねてこられる?キムチを作って持って来ないですか?
ホン:妹が行ったり来たりするので、妹が1,2ヶ月実家に帰ると私が飢え死にします(笑)

KIAFA:仲がいいんですね。アニメーション関係のお仕事?
ホン:いいえ、父親を手伝っています。私がフォトショップが上手いから(笑)作業しながらカラーやスキャナーや合成まで、「簡単だから、あんたも全部できるよ」と言ってやらせてたから徐々に技術が上がりました(笑)

KIAFA:ここにはマンガの本がいっぱいありますね。マンガの話をしないわけにはいかないですね。(笑)マンガも作品に確実に影響を与えているようですね。
ホン:そうですね。

KIAFA:キャラクター中心の作品をたくさん制作してますよね。あ、ここにはアニメーションもありますね?
ホン:はい。アニメーションは、TVで見られるから。いいチャンネルがあります。そのチャンネルで日本のアニメーションを同時放映するんです。それでそれを見ます。
私はアニメーションを見られないとしたら生きる糧を一つ失います(笑)
以前、日本がとっても羨ましいことがあったんです。日本では毎日毎日放送するじゃないですか。でも契約がうまくいって韓国でも最近は同時放映するチャンネルができたんです。なので楽しんでみています。

KIAFA:最近見た物の中で印象深かった作品は何ですか?
ホン:多すぎて(笑)。最近見た中で3つおススメがあります。「坂道のアポロン」という、昔「カウボーイビバップ」をつくった渡辺信一郎監督の新作で、音楽アニメーションです。若干復古風の背景なんですが。とってもいいです。好きです!それから「氷菓」というアニメーションで監督は誰か分からないんだけど、有名な所で作ってて演出や作画も良く、ストーリーが原作(米澤穂信原作)があるって、本当に良いです。それから「君と僕」。

KIAFA:ロマンスですか?
ホン:いいえ。男子校生5人の友達関係です。高校時代の別の話なんですけど、青々しくて心が平和になります。(笑)

KIAFA:じゃあ主に日本のアニメーションを好きなんですか?
ホン:ええ。主に日本のが好きで、アメリカのも好きです。でも普通私が好きなのはシリーズ物で日本のがより好きみたい。アメリカのでは「Adventure Time」(日本ではカートゥーン ネットワークで放映)で面白いです。でもほとんどの人が知らない(笑)

KIAFA:マンガも日本のマンガが好きなんですか?
ホン:はい、本棚の種類全部それでしょ?私の趣向はすごく大衆的。普通中高生が好きな(笑)。

KIAFA:「ワンピース」もありますね。KIAFAスタッフも大好きな「ワンピース」。
ホン:「ワンピース」もあるし、「MONSTER」や「アイドルマスターキャプテン」もあり、後ろには「スラムダンク」、パク・ヒジョンの「ホテルアフリカ」は友達が高校の時、大学に上がりながら独立するまで預かっててくれって、家だと失くす危険性があるからって(笑)まだ取りに来ないんです。でも情が移って返す時、悲しくなるかも(笑)

KIAFA:マンガは子どもの頃からよく読んでいたんですか?
ホン:子どもの頃は読まなかったです。読み始めたのは高校の頃少しずつ読み始めて、大学でたくさん読んで買ったりもして、こうなりました。家庭教師のアルバイトしながらお金貯めて買い始めました。アニメーションはTVで見られるから、母親も子どもが見る物だと思ってるから、今でも見てるなんて知らないだろうけど(笑)。だからアニメーションは悪いっていうイメージはないんだけど、マンガ本はその当時住んでいた所にはマンガ本屋さんがなくて、マンガ本屋に行くと不良だっていうイメージがありました。私が幼い頃はマンガ屋さんとマンガ本屋さんとの区別ができない時代で、マンガ屋は大人が行ってタバコを吸いながら見る雰囲気でマンガ本を借りる気がしませんでした。代わりに父が借りる時についていって、少女誌や雑誌そういった表紙だけ見てたけど、父が借りてくる本当に成人用マンガがあって、イ・ヒョンセパク・ボンソン作家のつんつん頭の子が冒険をしたり戦闘したり、そういうのをよく読みました。だから幼い頃はマンガ本をあまり読みませんでした。アニメーションをたくさん見ていました。

KIAFA:それでアニメーションをやらなきゃ!ってなったんですか?
ホン:そうではないです。アニメーションやるって冗談みたいに言ってました。高校の時も冗談で「うちらアニメーション会社作ろうか?」って。心からやろうとは思ってませんでした。アニメーションを進路にしなかったし。でも大学の時、絵画教室に通ってて。教室の先生はオ・ジニ先生で、インディーズアニメーション作家でもあり画家でした。その時アートボイス画室に通ってたら、先生がアニメーションワークショップを一度やってみようかって言って関心ある人を集めて作ったりしたんです。それが縁で、私アニメーション作れるんだ、と思って、興味が出てきて結局韓国アカデミーに入ることになり、今もアニメーションやることに。

KIAFA:アカデミーに入る前は他の勉強してたって聞いたんですけど。
ホン:はい、化学専攻です。

KIAFA:難しいのやってましたね。
ホン:好きでした(笑)。難しかったけど勉強してる時は好きでした。でも今は考えらんない。

KIAFA:白い白衣や研究室とか似合いそう。几帳面にやりそうで。
ホン:今思えば、アニメーションのことをずっと考えてたみたいです。流れに任せてたらここまで来れたみたい。

KIAFA:専攻を変える時、おうちの方に反対されたりしませんでしたか?
ホン:アカデミーに入るのが、ほとんど大学卒業する延長線上にあったので。卒業してちょっとアニメーションやってアカデミーに入ったので。でもその時、母が化学関連の就職をしてみなさいと面接も一度行ってみました(笑)。でもそこで身の程知らずな事言ってきちゃった。今思えば呆れた事ばかり言って。結局受からず。それで母も一年努力してみたけど自然に諦めました(笑)アカデミーも最初は内緒で集めていたお金で、行ったんですけど、後で「アカデミーというところに行きます」って事後報告したら母が驚いて、何で今頃言うのって(笑)

KIAFA:すごく驚いたでしょうね。
ホン:でも、勝手にやるでしょって。うちは信じてあげようってそういう雰囲気で。

KIAFA:家族的雰囲気がいいですね。じゃあ今は信じて、応援してくださって、アニメーションも見て、評価してくださったりするんですか?
ホン:はい。面白い物を面白く作りなさいって。こないだ「ロマンはない」を作った時、家族が素材だから、絶対みないといけないって、それで見に来てくれました。公開の時だったかな?その時見て感想を聞きました。

KIAFA:ご両親は気に入りました?
ホン:ええ、気に入りました。でも父は若干気恥ずかしい感じで(笑)。

KIAFA:じゃあ「ロマンはない」のキャラクターがホン・ウンジ監督の家族だって言ったじゃないですか。長女が監督で、じゃあ殆どノンフィクション?
ホン:その話の始まりは、両親の話をインタビューとして進めました。それから肉付けは想像でやって、シナリオ作業をしながら客観化しました。スギョン姉さんとジェオク氏、それからオ・スンウク先生と一緒に作業をしました。だから私の家族素材を提供はしたけど、細部的な物はフィクションです。

KIAFA:ご両親は驚いたでしょうね。
ホン:でも客観化したからか、似たような経験をしている方々が多いようです。特に母は本人の話だと思っているんだけど、それは客観化がうまくできて、もっとそう感じられるみたいです。ただの自画自賛です(笑)

KIAFA:「ロマンはない」が劇場公開した2009年唯一の韓国長編アニメーションで、実際アニメーション監督達が劇場公開をするのは簡単なことじゃないじゃないですか。それで感興が人と違うと思うんですがどうですか?
ホン:別に人と違うことないです。私は公開されたことも知らずにいたんです。2009年唯一の韓国長編アニメーションだというのはポスターに書いてあるのをみて知ったんです。宣伝もできなくて、公開してもCGVで支援を受けて公開したので、ちょっと取り繕ったみたい。公開日は2週間で、1週間はソウル、1週間は釜山、収益出ない時間だけ選んで上映したので、実際2009年の劇場公開した、たった一つのアニメーションというには、おしい点が多いです。だから他の作品はうまく行けばいいと思います。劇場もうまいこと取って、でも最近は映画も公開する場所を押さえるのが大変だって。

KIAFA:うまくいくと思いますよ。でも監督は1年に1作品ずつ制作してるじゃないですか。最近長編にも参加して、インディ・アニフェストのリレーアニメーションにも参加して。絶えず制作をしていますが原動力は何ですか?
ホン:バイト?外注?(笑)

KIAFA:制作をするには、しょうがない宿命だと思いますか?
ホン:ですね。生活のためには(笑)。でも制作は意志さえあれば何とでもできるようです。クオリティーがちょっと落ちて、時間がかかるけど、やろうと思えば、ずっとやっていけて、お金がなくても、ずっと制作できると思います。

KIAFA:えらいですね。容易いことじゃないのに。
ホン:たいしたことないですよ。

KIAFA:そう言いますが時間と努力がかかるものだからえらいです。
ホン:お金が入らない時は、最大限入れないと(笑)それに自分の作品をつくっていないと自信感が落ちます。私、作品作れるのかな、才能ないんじゃないか、私が話を書くのは無理じゃないか、でも努力しないと練習しないと、上達しないじゃないですか。

KIAFA:自信を失ったとき、自分だけの克服する方法ってありますか?
ホン:アニメーションを見ることです(笑)
だから目や手が調子悪くなるのが一番の悩みです。

KIAFA:じゃあ筋トレしないといけないですね?照明も変えないと。他の人よりかなり多くのマンガを読んでいるから。
ホン:他の人は他のことを沢山見てるでしょう。本や映画みたいなのを(笑)私はアニメーションを多く見るだけです。

KIAFA:監督同士で山登りしますか?
ホン:去年は時々行ったけれど、最近はバイトの締め切りが重なって行けません。

KIAFA:バイトは定期的に入ってくるんですか?
ホン:はい。死ぬことはないみたい(笑)。

KIAFA:依頼が来るんですね?
ホン:はい。

KIAFA:ソウル市に気に入られているようですが。
ホン:笑 そんな感じはしないけれど。

KIAFA:共同演出も何度かされて、今回のリレーアニメーションも参加されたじゃないですか?リレーアニメーションは前回やった時、良かったからやったって言ってましたけど今回はどうですか?
ホン:面白かったです。今回会議を一度しましたが2010年には知っている人が多くて同窓会みたいでした。面白い人も多くて。でも今回は新しい人が多くて、それも面白かったです。リレーアニメーションの一番良い点は参加する人が多いから意見がけっこう沢山出るんですよ。それをまとめるのも大変だけど、意見が多いと良い意見も多く出るからそれが良いと思います。

KIAFA:共同監督を沢山やられてますが、共同演出は2人でやるのも意見調整大変そうですが、各自の個性を生かしながら意見も生かさないといけないからスゴイと思います。性格も良くないと。
ホン:私がやるのじゃないから。他の方の性格がいいみたい。でも共同演出とリレーアニメーション制作は若干違うと思います。リレーはもうちょっと柔らかく繋がっていると言うか。集待った物もあるし個人的な部分もあるし。個人的な部分が保障されてて、個人的な部分だけタッチしなければいいんだから。でも長編アニメーションや他の制作は一つの方向をよりしっかりつかまないといけないから。お互いに合わせないといけないから、そういう点では少し難しいと思います。

KIAFA:共同演出を一番沢山やってきたスギョン監督との呼吸はどうですか?
ホン:大丈夫でした。担当部分が違うので。

KIAFA:個人別にセクションがきっちり分かれているんですか?
ホン:はい、セクションは作業していると分かれていきます。

KIAFA:長いこと一緒だったから、よく合いました?
ホン:はい。実際は「ロマンはない」でよく会うようになりました。その前はアカデミーで初めて知り合ったんです。その時は個人制作をしていたから知り合う時間がありませんでした。でも「ロマン~」をやりながら深く知り合うようになりました。

KIAFA:よく会いますか?
ホン:最近は会えないです。

KIAFA:ナ・ジョンイン監督の所に遊びに来たりします?
ホン:遊びには来ないんですが、「刺激集会」といって、作品を一緒につくるのではないんですが、各自個人制作を進めながら、チェックを受けるんです。個人制作をすると普通長引くじゃないですか。だから各自がお互い略式PDになる。なんでやって来なかったの!ここまでやって来るって言ったじゃない!って言いながら(笑)。

KIAFA:その集会のメンバーは?
ホン:イ・ギョンファ監督(「アンダーグラウンド」花コリ2013大阪ゲスト)、ナ・ジョンイン監督、キム・ジンジュ監督、シン・ヘジン監督(「9人の夫をもつ女」花コリ2011)と私と5名で、キム・ジンジュ監督は第3回目のリレーアニメーション「千ウォン放浪記/Money's Travels」にも参加してます。定期的に週一で会い、お互いを刺激する集まりです。「作業どれくらい進んだ?」って言いながら。メンバーのイ・ギョンファ監督は「アンダーグラウンド」を昨年(2011)制作して、今年の初めにKIAFAのAniSEEDで配給したじゃないですか。その作品は刺激集会をしながら完成した物だから、「こういった集まりで制作を完成することができるんだな~」って私達も刺激を多く受けました。横でジョンイン姉さんがシナリオを書いて、ジンジュ姉さんがイメージボード、そしてストーリーボードに発展し、私は今「I love you」というシナリオを書いていて、イメージ制作キャラクター設定作業をしていて、そういったものを進めながら、プロローグ制作をちょっとやって。

C08_underground01.jpg
「UNDERGROUND」イ・ギョンファ(2012/6:30/Drawing, 2D Computer)

KIAFA:お互いに助けになる集まりのようですね。集まりの構成アイデアの発案者は誰だったんですか?
ホン:それはインディ・アニフェストがかなり助けになりました。イ・ギョンファ監督が「アンダーグラウンド」、今、本制作に入る時だったんだけど、ストーリーボードまではすぐできたんだけど、その先あまり進まないって、でもその時、私も作業があまり進んでいなくて。それでその時、「やる?」って言って「いいね、いいね!」って言って、その時作業しなきゃいけないのに進んでいない人達が横にいて。それで「ジンジュ姉さんもやる?ヘジン氏も?」と、できあがったんです(笑)。

KIAFA:一番刺激をくれる監督は誰ですか?
ホン:イ・ギョンファ監督が制作をきっかり完成させたから、それだけでもかなりの刺激になりました。その前もシナリオで、こういう感じでシナリオ作業集まってやろうって時があったんですが、その時カン・ヒョニョン監督(「水の記憶」Link into Animated Koreaで上映)、イ・ウンミ監督(「In Your Eyes」Link into Animated Koreaで上映)、スギョン監督、シン・ヘジン監督、ナ・ジョンイン監督、キム・ジンジュ監督とやったんですが、その時は作業を終わらせる人が徐々に減って。シナリオも徐々に書いて来なくて、それでうやむやになったんだけど、今はイ・ギョンファ監督が完成させたから、それがかなりの刺激になります(笑)

KIAFA:イ・ギョンファ監督はSICAFで仕事をしてるから忙しいだろうに。
ホン:ええ、本格的に仕事を始める前に完成させるんだって言ってました。

KIAFA:すごいですね。いいですね。お互いに刺激し合える仲間がいて羨ましいです。
ホン:ええ、本当に助かってます。イ・ギョンファ監督は全体のアートワークも見てくれて、背景設定を追加してくれて、ジョンイン姉さんの場合はイメージボードも描いてくれて、シナリオも書いてくれて、お返しとして、後で作業する時、ジョンイン姉さんとイ・ギョンファ監督がコンテを作る時、私が手伝ったりもします。今回は私がかなりお世話になって(笑)恩返しです(笑)

KIAFA:ナ・ジョンイン監督ともアカデミーに入った時に知り合ったんですか?
ホン:はい、アカデミーに入った時、ジョンイン姉さんが卒業した状態でよく知らなかったんですが一昨年、作業場を一緒に使うようになって仲良くなりました。

KIAFA:お二人違うタイプのようでも、よくお似合いな感じに思いました(笑)。
ホン:そうかな?(笑)

KIAFA:周りに好きなアニメーション作品ありますか?
ホン:昨年(2011)ファンボ・セビョル監督の「VIEWPOINT」(花コリ2012で上映)が本当に印象的でした。

KIAFA:どんな点が印象的でしたか?
ホン:妙~で。本当に時間と努力が入っただけでなく全体的にイメージが妙じゃないですか。
その雰囲気を作り出すのが本当に大きな力のようです。私には近づけない雰囲気と言うか。作家の色がしっかりと出ていて、見れば中毒になりそう。髪の毛がうわぁ~って。

KIAFA:ええ、本当に中毒性があるようですね(笑)。


b6_viewpoint
ファンボ・セビョル「VIEWPOINT/관점」(2011/7:00/Drawing, 3D Computer, Rotoscope)


KIAFA:では、今、制作している作品について詳しく教えてください。
ホン:きっかけは刺激集会?(笑)、モチーフは、私は、口でくちゃくちゃするおじさんが酷く嫌いなんですが、そのおじさんで、バスに乗ると必ず一人はいるんですよ。それでそれをメモしといたんだけど、それから始まりました。

KIAFA:ではイ・ギョンファ監督と違うバージョンですかね?
(*イ・ギョンファ監督の「アンダーグラウンド」は地下鉄の人間模様を描いたモノ)
ホン:ええ。もうちょっと異常なバージョン。そこから始まって考えました。そのおじさんがそうするのも、全て仲に隙ができ、どうしようもないことで、理解してあげないとな~、しょうがないな~、と、それで全てを愛そう、それで題名が「I love you」になりました。バスに一緒に居合わせるのも縁じゃないですか。一度だけ会って、二度と会わない人でも縁だから、皆を愛そうという風に作ってみました。

KIAFA:公共広告になれるんじゃないですか?(笑)
ホン:そうはならないですよ。公共広告になるなら、もうちょっと教訓的な面もないといけないのに、作ってみたら、嫌な所をかなり精密につくったので。くちゃくちゃおじさんもそうだし、口を押さえないでくしゃみをする人もいるじゃないですか。ここに出てくる「くしゃみ少年」も若干嫌な面を極限まで出して作ったものです。くしゃみも鼻水が飛び散るぐらいに表現して(笑)。誇張して作りました。なので公共広告にはならないと思います。ただ、愉快?狂気?溌剌?(笑)

KIAFA:面白そうですね。
ホン:そうでなきゃ。最終的なことはお互いを愛してみようっていうのだけど、そういう風に感じるようにするのが目標です。

KIAFA:シリーズだと聞いたんですが、これは1編ですか?
ホン:はい、’くしゃみ少年’で一つ、’くちゃくちゃおじさん’で一つで、それから’ジャイアントベイビー’なんだけど、これは私なりの隠喩です。大人なのに赤ちゃんみたいに権力を振り回す全ての人達に一致する隠喩なんですが、この作品は台詞がありません。台詞がないから隠喩がうまく伝わらなくて。それでそれをもうちょっとうまく伝わるようにするのが今回の私の課題です。


unji03.jpgunji02.jpg


KIAFA:では、3つのシリーズを今年全て作って、後で編集するんですか?
ホン:ええ。一旦一つ一つ全て作って、編集はその時その時にやります。全て完成したらつなげなければ。なので、全て完成したら17分の一つの短編になり、一つ一つの個性が目立つようにしようとしています。

KIAFA:インディ・アニフェストに出品されますか?
ホン:出品は一部分だけ(笑)

KIAFA:前に全部つなげたのを出すって言っていたような(笑)
ホン:もう1つ作って出そうと思ったんですが、それが全部完成しなさそうでTT TT
レイアウトと作画が入っているのまでは可能なんですが、完成はちょっと厳しそう。

KIAFA:作品のクオリティーが高いですね。色も多く入っていて、デザインも複雑で。
ホン:キャラクター合わせが大変でした。時間がかかるようです。でも早く作り出すためには、今回短編制作支援に受からないといけないのに。アニメーションセンターが受かって、今、確保ができればスタッフを集めて、早く作ることができます。

KIAFA:今回作るので出すんですか?受かるといいですね。
ホン:ええ、そう思います。

KIAFA:今回、枠数が減って競争率が高いはずですが、良い結果が出るといいですね。
ホン:ええ、でもダメでも作るには作りますよ。受かれば楽に作れるし、ダメなら大変ってだけ(笑)

KIAFA:制作をしているとアニメーションは繰り返しの作業だから体も辛くて精神的にも辛い時があると思いますがどうですか?
ホン:でも私はその感じが好きなようです。

KIAFA:何かに没頭する感じ?
ホン:ええ、集中する感じが好きです。一旦は私は制作にかかるまでに時間がかかるんですが、一度転がってしまえば完成する時まで集中している状態です。転がる車輪のようなスタイルで、そこに行き着くまでが大変なんです。私の最終目標は、会社通いするように、家でも作業場でも時間に合わせて仕事をし、その後に余暇生活をすることです。そうすれば長続きすると思います。

KIAFA:体力管理もしないといけないし、キム・ジュンギ監督は深夜に運動するって言ってました。
ホン:ええ。私はこういう職業を選んだから、仕事する時間は普通の会社員ぐらいしなければならいと考えています。でも普通の時はあまり仕事しないで遊んでいるから、私は徹夜になってしまって。規則的にしなきゃいけないのに。

KIAFA:他の事もかなり一生懸命するって聞きましたよ。
ホン:あ~英語?それは趣味です。趣味だけど一生懸命する趣味w。

KIAFA:では趣味はマンガ本と英語?幸福学校はどうですか?
ホン:それは学校の授業をすることだけど、授業を考えないように研究してそのせいで、週に一、二度集まります。学校の授業は来週から一ヶ月くらいやると思います。

KIAFA:子ども達は好きですか?
ホン:ノーコメントで?(笑)

KIAFA:人数はどれくらい?
ホン:一クラス33名位。先生が子どもをまとめるのを助けてくれても、33名の生気を受けるといつも疲れます(笑)。お互いの交流のような何かが感じられる時は甲斐があるんですが、それ以外は大変、普通の仕事と違うような気がします。

KIAFA:様々な仕事をしているんですね。家にいるだけでなく(笑)。いろんなことができるようですね。
ホン:英語は毎日毎日通ってたんですけど、今は制作に集中するために時間が減って週一になってしまいました。一度に色々なことに集中できないみたい。

KIAFA:監督の制作スタイルを見るとストーリー中心の制作をたくさんしているようですが、やりたい話がたくさんあるのでは?
ホン:私にはそれが一番の悩みです。私は語り部になりたいです。面白いことを面白く話したいです。でも普段の私を見れば、つまらなそうに話します(笑)。
話を紐解く人達いるじゃないですか。本当に羨ましいです。でも私は握り締めて作り出さないと。おしゃべりする時も面白い話をつまらなく伝えようと。それがちょっと悩みです。なので私の作品は主にキャラクター主義の面白みを追求するアニメーションで、私は本当にネラティブがあるものをやりたいです。人々の関係がこじれてどうにかなって、話を解き明かしたいです。でもまだ話がないんです。まだ(笑)。

KIAFA:普通監督ごとにスタイルが違うじゃないですか。間接的な経験を通して話を解く方もいるし、直接経験したことを紐解く方もいるけど、監督はどちらのタイプですか?
ホン:私は直接経験したことの方だと思ってました。でもそういう努力が本当に必要だと思います。話が現実感を持てば、近づけば、それと同じくらいディテールが重要なのに、想像で埋めようとする部分は限界があって。でも私は想像力が乏しくて。

KIAFA:謙遜して。
ホン:いえいえ、本当にそう思ってたんですが、「直接経験したことが少なすぎ~」って思ってて。アニメーティングで面白みを追求するなら、それ位の想像なら良くてそれさえも幸いで、分からないです。直接経験もっとしなきゃって思います。

KIAFA:では普通、直接経験で作り出す方ですか?
ホン:ええ、他の人はどうするのか分かりません。すごいと思います。

KIAFA:監督も楽しそうに作るじゃないですか。子ども達も楽しそうに作るし。
ホン:私一人楽しいんです(笑)。だから問題です。他の人も面白くなきゃいけないのに私だけ楽しんでて。

KIAFA:いえいえ、評価良かったですよ。「ソウルに暮らす子猫」(花コリ2012 Cプロで上映)もそうですし(笑)。
ホン:あ~「ソウル~」では私はアニメーティングだけ主に担当し、ストーリーはスギョン氏が多くやりました。

B1catsway.jpg
スギョン、ホン・ウンジ「ソウルに暮らす子猫/서울사는 고양이/Cat's Way」(2011/10:30/Drawing)

KIAFA:「ロマンはない」も笑いがあったじゃないですか?
ホン:それは手伝ってくれた人がとっても多かったので、うまくできたと思います。一人だったら大変でした。

roman01
「ロマンはない/What is not Romance?」
ホン・ウンジ、スギョン、パク・ジェオク / 2009 / 1:10:00 / 2D


KIAFA:謙遜しすぎだと書かないといけないですね(笑)。
ホン:いえいえ、努力しないと。何でも直接やってみて、感じてから作る、そういう努力が本当に必要だと思います。

KIAFA:私が思うにタイプが違うみたいです。本当に感情でもできるけど、想像でするのは想像だけの長所もあるじゃないですか。監督達はみんな直接体験でやるのではなく、間接的な体験を通しても特異に作り出すことができるんじゃないでしょうか?
ホン:でも私は感情が想像では限界があると思います。ダメなら他の人の感情でも引っ張り出さないといけないのに。だからインタビューが重要だと思います。実はインタビューは一つの方式でした。アカデミー長編研究過程の授業中に先生が宿題でインタビューをしてこいと。インタビューをして、人々の話を聞けば、それがすぐに話になるって。映画をやる人々もインタビューが多いじゃないですか。アニメーションもきっと必要になると思います。

KIAFA:監督には助けてくれる人やアドバイスをくれる人がたくさんいるじゃないですか。どういう場面が共感できるのか、またはできないのか、刺激集会を通して助けになっているようですが。
ホン:ええ、たくさん役に立っています。どこが面白い?ってよく聞いたり。

KIAFA:それだけでも十分なくらいですね(笑)。
「ソウルに暮らす子猫」について、作品の中でおじいさんが「猫の道」について話そうとして寝てしまうシーンがありますよね。それで質問ですが、監督が意図していた、おじいさんの「猫の道」とは何ですか?言いたいことがあるようで(笑)。
ホン:実は”観客との対話(インディ・アニフェストでの観客と監督が質疑応答をする場)”では「猫の道」だから人間はわからないって言ったんです。でも実はスギョン姉さんとシナリオ開発しながら話していた時、どうにかこうにかして生きるしかないんじゃないか、ケセラセラって言いながら後半踊るじゃないですか、そういう風に生きるしかないのが「人の道」だと思いました。

KIAFA:作品中の猫も捨てられたけど、どうにかして生きていかなければならないと?
ホン:そうでしょう。死ぬわけにはいかないから。

KIAFA:そういう意味だったんですね。「この世は本当に生き辛い!」って演出意図に簡単明快に書いてありましたが、その演出意図もどういう経緯で書くことになったんですか?その猫が単に猫ってだけじゃなく、人間にも当てはまるように思ったんですが。なので、監督も生き辛いって思ったことあったのか…。
ホン:私は生きていて、辛かったことあまりないです(笑)。
でも世の中には苦労して生きている人が多い、大人しくしている人だって。
私個人的には辛いことはないんですが、周囲を見るとそういう人が多い。あの時、背景も北アヒョン洞地域が撤去されるのを背景にしたんです。制作しているうちに薄れてきたんですが、背景は全て北アヒョン洞風景を参考にしたんです。北アヒョン洞を去らなければいけなかった人々を見ながら話を書いたんです。

KIAFA:そうだったんですね。5年または10年後、監督の夢見る姿はどんな姿ですか?
ホン:私は良いアニメーション作家になっているはずです!

KIAFA:抽象的ですが?
ホン:長編もう一つ作って、良いアニメーション作家になって、私がやりたい動きを難しくもなく描けるように!そして継続して制作しているように!

KIAFA:わかりました(笑)。ではKIAFAスタジオ訪問記の代表質問『ホン・ウンジらしさ』の定義をお願いします。
ホン:肯定的でありながら闇のダークというか(笑)。

KIAFA:今日はそうは見えませんでしたが、隠していたんですか!?
ホン:いいえ、時々出るみたいです(笑)。私がさっき、くちゃくちゃするおじさんが嫌いって言ったじゃないですか、私、本当に嫌いなことがちょっと多いんです。

KIAFA:今、一番嫌いなものは何ですか?
ホン:最近では太陽の光です。太陽の光のアレルギーがあって、強烈な太陽の前にいると力が抜けます。

KIAFA:では最後に「~とは?」という質問。
監督の「良いアニメーターとは?」
ホン:演技がうまい、キャラクターをうまくつかめる人

KIAFA:ナ・ジョンイン監督とは?
ホン:ルームメイト(笑)。
KIAFA:笑)それで終わりですか?ただのルームメイト?
ホン:(笑)良いルームメイト!心強い助っ人!

KIAFA:刺激とは?
ホン:良い集まりです(笑)。
KIAFA:「良い」という単語が好みなんですね(笑)Good!

KIAFA:ロマンとは?
ホン:家にお母さんがいること!

KIAFA:ロマンスとは?
ホン:借りては読むけど、買っては読まないもの!(笑)

KIAFA:ありがとうございました。制作中の作品が完成して、早く見られるといいですね!期待しています!


[関連記事]
『ロマンはない』ゲストトークin花コリ2011名古屋
リレーアニメーション「ウサギとカメの物語だといってもわからん!」

ホン・ウンジ
1981年、全州生まれ。
延世大学化学科卒業後、アニメーション・スタジオで原画・動画の仕事をする。
2008年に韓国映画アカデミー(アニメーション演出専攻)を卒業。
卒業作品『ヨンヒ、何してんの?』(2008)は「花開くコリア・アニメーション」の前身「Link into Animated Korea 2009」で上映されている。
2009年、韓国映画アカデミーの制作研究課程で長編『ロマンはない』を共同演出。
本作のシナリオは、ホン・ウンジ監督の両親の話をもとに、色々な人に取材をして作りあげたという。
2010年『ロマンはない』花コリ2010で上映、共同監督のスギョン氏とともに名古屋会場にゲスト来日。
2010年 インディ・アニフェスト2011 第1回リレーアニメーション『ウサギとカメの物語だといってもわからん!』に参加
2011年『ソウルに暮らす子猫』スギョン氏と共同監督
2012年 インディ・アニフェスト2012 第3回リレーアニメーション『千ウォン放浪記』に参加
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント