『Green Days~大切な日の夢~』「真!韓国映画祭」試写会&監督トーク

花コリのトークで韓国の長編アニメーションについて語られる際に、たびたび登場する長編話題作『Green Days~大切な日の夢~』を、5月24日(木)に韓国文化院で行われた「真!韓国映画祭」の特別試写会&監督トーク(アン・ジェフン監督 X 山賀博之氏:ガイナックス代表取締役・監督)を観てきました。

12052401.jpg


●韓国映画『Green Days~大切な日の夢~』韓国版予告編



KIAFAの名物事務局長チェ・ユジン氏のプロフィールや名刺の似顔絵は何を隠そう、『Green Days~大切な日の夢~』のアン・ジェフン監督によるものなのです(笑)
choi_yujinHP_20120528224658.jpg


現地のインディ・アニフェスト2011(9月)の映画祭期間中、長編アニメーションを手がけた作家たちが集まり、トークがあったのですが、その際に『ウルフ・ダディ』の監督でもあり、自身も『The Satellite Girl and Milk Cow』長編を制作中のチャン・ヒョンユン監督司会のもと、『Green Days~大切な日の夢~/소중한 날의 꿈』のアン・ジェフン監督、『庭を出ためんどり/마당을 나온 암탉』のオ・ソンユン監督、『豚の王/돼지의 왕』のヨン・サンホ監督という、それぞれスタイルの異なった長編アニメーションを手がけた監督達の興味深い話が繰り広げられました。各監督がそれぞれの作品について語っていた内容も少し補足して、5月24日の韓国文化院での「真!韓国映画祭」試写会レポートをします。

Indi11GV.jpg
インディ・アニフェスト2011長編アニメーションについてのトーク
左からチャン・ヒョンユン監督、アン・ジェフン監督、オ・ソンユン監督、ヨン・サンホ監督

●『庭を出ためんどり/마당을 나온 암탉』トレーラー

オ・ソンユン監督の『庭を出ためんどり/마당을 나온 암탉』も約7年かけてつくられたもので、初めての作品だから時間がかかった、アニメーションで成功したかったから、ベストセラーの原作本を選んだとのこと。それでもシナリオが思いのほか3年かかってしまった。自分は元々マラソン選手だから長距離には強いのだ、と。でも次からはもっと早く作る!と意気込むオ・ソンユン監督。自分は大衆産業アニメーション作家だといっていた。韓国の長編はグローバル輸出に力を入れたいみたいだが、海外で配給ルートをつかんでいないまま進めている、海外用で通ったとしても、いろいろ海外使用に変えなきゃならない、本当は自分の国の人のために作るということが重要なのではないか。

●『豚の王/돼지의 왕』トレーラー

チャン・ヒョンユン監督の作品スタイルとは違い、長編にするのに人々はあまりいい顔をしないから、投資されないだろうと自分でも思っていた。シナリオを描きながら600枚くらい1人で絵を描いていて、これなら1人でもできるかもと思ったという。制作支援の審査に落ちるたびにチャン・ヒョンユン監督に愚痴の電話していたという。落選したある時、審査評を聞いたら「暗い」の1行が返ってきた。今は、その「暗い」を売りにしている。インディ・アニフェスト2010で制作発表をし、4月に撮影が終わり、インディ・アニフェスト2011(9月)の時点で編集中とのことだったが、めでたく完成し2011年11月に韓国で公開された。ヨン・サンホ監督曰く、制作期間が長くなると社会が変わるし、短編だとあまり認知されないから、超早で長編アニメーションをつくるんだ、とのこと。

それぞれ、長編アニメーションを手掛ける監督のスタイルやスタンスの違いが語られ、興味深いトークでした。
そういったいろいろな韓国の長編アニメーションがある中での、『Green Days~大切な日の夢~/소중한 날의 꿈』。

『Green Days~大切な日の夢~/소중한 날의 꿈』は11年もの歳月をかけて作られたもので、その間に資金集めのために『冬のソナタ』のアニメ版を製作しています。アニメ版を製作するにあたり、長編を制作している最中だから、依頼が来た時に予め(冬ソナには)3分の1しか時間を割くことができないと言ったが、それでもいいと言ってくれたという。周りの長編制作への理解が嬉しかったと言っていました。

●『冬のソナタ』のアニメ版トレーラー


ここからは24日の試写会での話。

―キャラクターの統一感について
何人かのアニメーターで分業しているのに、キャラクターに統一感がある、との山賀博之氏の感想に対し、自分の手垢をつけるように、各アニメーターが作業をした後も監督自ら仕上げをしたという。
11年前の韓国アニメーションの状況では、早いことが美徳だった時代なので、時間をかけて作ること自体が奇跡だったという。

―大衆歌謡が多く使われていることについて
自分の人生の中で、聴いて勇気をもらった思い入れのある曲を選んで使用した。それでもPOP曲は著作権料が高いので、似たような曲で代替した。

―時代背景について
1979年~1982年で、1982年というと韓国ではカラーTVが普及した時代で、それ以前は白黒だった。
大人にとっては、その白黒の記憶を色鮮やかなカラーで、この作品を通して観てもらい、若い世代には、当時の生活を色あせたモノではなく、カラーで観てもらうことによって、アニメーションを観ずに育った大人と、アニメーションで育った若い世代とのコミュニケーションツールになるような作品にしたかった。

―聴覚障害者が出て、手話をするシーンについて
スタジオの最初のスタッフが聴覚障害者で、監督自身作品制作について悩んでいた時、そのスタッフに手話で応援された時、とても心にしみた。聴覚障害者のキャラクターの顔自体はソン・ソッキ(손석희)という論理的で正義感の強そうなアナウンサーがモデルとなっている。そういった自分にしか描けないシーンになるだろうと思って、盛り込んだとのこと。エンディングでも手話のアニメーションがあるが、エンディング曲の歌詞を表しているという。アニメーターにとっては、この手話のシーンと、マラソンのシーンが大変であったろう、とのこと。
マラソンを見守る群衆シーンについては、新人のスタッフが作業したのだが、自分の両親の顔を描かせたりして練習させたとのこと。

―これからの日本のアニメーションとの関係について
市場を争うのではなく、お互いにベストを尽くして、いい作品を作りあう、応援の場になるといい。

―声優のキャスティングについて
専門の声優がいいか、俳優がいいか、議論をしたが、候補の俳優の健康さと価値観を実際にみて決めた。声を担当する俳優たちにはアニメーションを制作しているスタジオ(「鉛筆で瞑想しよう/연필로 명상하기」)を見学して、制作スタッフに会って欲しいと言い、女主人公オ・イラン役の女優パク・シネ(박신혜)は、実際にスタジオに4回ほど来て、スタッフと食事をしたり交流したとのこと。ちなみに録音は、制作費支援の制約のために、全部作業が終わってから音をつけたという。

主人公のオ・イランの声を担当した女優パク・シネ(박신혜)やチョルス役の俳優ソン・チャンイ(송창의)のインタビュー

ちなみに同作の韓国試写会インタビュー映像で花コリ2011@大阪のゲストでしたが、体調不良のため来日されなかった「少年勇者ギルドン」のシン・ドンホン監督が出ています。

24日(木)の韓国文化院で行われた『Green Days~大切な日の夢~/소중한 날의 꿈』の試写会では、スタジオに関連するいろいろなプレゼントが観客に!

●実際の『Green Days~大切な日の夢~/소중한 날의 꿈』の原画!どのシーンかは、作品を観た人ならわかりますね(笑)
12052404.jpg
12052405.jpg

●『Green Days~大切な日の夢~』を制作する際に実際に使われた鉛筆。
12052406.jpg
12052407.jpg


●アン・ジェフン監督の新作は韓国短編文学アニメーション展・第一話「ソバの花咲く頃」。韓国での公開は今年6月頃を予定。画像は韓国版ポストカード
sobapostcard.jpg

実は花コリ名古屋会場の主催者であるシネマコリアでは2001年の9月に開催された「第8回シネマコリア上映会~コリアン・インディーズの世界~」の時にアン・ジェフン監督の過去の作品、『ある日のヒッチコック/히치콕의 하루/One Day of Hitchcock』(1998/8分)を愛知芸術文化センターで上映しているのでした。ちなみにこの作品は『Green Days~大切な日の夢~』を制作始める前の1998年に完成したもの。


「鉛筆で瞑想しよう/연필로 명상하기」のスタジオスタッフのブログでは、ヨン・サンホ監督の『豚の王』が公開された時に、スタジオスタッフに作品を見せるために、スタジオ内で小銭を貯めていた豚の貯金箱を大胆にも、カッターで豚のお腹を切り開く監督の写真が…(汗)。その他、スタッフの描いた女優パク・シネの似顔絵等もあります。

「真!韓国映画祭」5月29日(火)14時20分の回上映時には先着で、同作のフィギュア、コミック本、エコバックなど豪華オリジナルグッズをプレゼントだそうです!
★詳しくはこちら:「真!韓国映画祭」『Green Days~大切な日の夢~』オリジナルグッズプレゼント★

<追記>
『Green Days~大切な日の夢~』DVDが2013/02/02に日本で発売されました!
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント