[名古屋]プレイベント「Grandma Ocean」上映+ミニトークレポート

花コリ2012名古屋プレイベント@Theater Cafe in 大須

花コリ2012名古屋のプレイベントとして、4月に大須にオープンしたばかりのTheater Cafeで、ハン・アリョム監督とカン・ヒジン監督による新作『Grandma Ocean/할망바다』が本邦初公開となりました。制作者の1人であり、日本に3月からワーキングホリデーで東京に滞在中のハン・アリョム監督が来場し、作品に関する制作秘話や、作品が済州島の海女たちに対するインタビューをアニメーション化した、ドキュメンタリーアニメーションのため、海女の生活等、興味深い話を聞くことが出来ました。

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写真右、左より司会:林緑子さん(animation tapes
通訳:田中恵美さん
ゲスト:ハン・アリョム監督
写真左、花コリ2012名古屋会場ゲストのカン・ミンジ監督とKIAFAチェ・ユジン事務局長もかけつけてくれました。
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「Grandma Ocean」
「Grandma Ocean」
『Grandma Ocean』
 済州島の海女たちに対するインタビューをアニメーション化した、ドキュメンタリーアニメーション。海女の仕事の厳しさや魅力、海を愛する女たちの素顔が垣間見られる、温かくもかわいらしい作品。第16回ソウル国際漫画アニメーション・フェスティバル(SICAF2012)ノンコンペ招待部門、インディ・フォーラム2012招待作品。


事前インタビューとともに、当日の質疑応答の内容をレポートします。


林:どういう経緯でこの作品を制作することになりましたか?
ハン・アリョム(以下ハン):一緒に制作したカン・ヒジン監督が1年間外国に行っている間、よく連絡をとっていたのですが、その時、「海女さんに関する話を卒業制作で一緒にやらないか?」と言われました。徐々に消え行く職業であり、韓国的で、強い女性像を見せられるという点に魅力を感じ、「やる方向で考えてみる」と答えました。
その時、カン・ヒジン監督が2年生を終え、休学した後外国に行き、私は3年生が終わるときで、私も休学を考えていたので、1年間休学をして、カン・ヒジン監督が4年生になるまで待ち、制作をすることになりました。

*ちょっと複雑なので、彼女たちの関係を簡単に表にしました。









 年 カン・ヒジン  ハン・アリョム
2005大学1年高校2年
2006休学高校3年
2007大学2年大学1年
2008休学大学2年
2009ワーホリ大学3年
2010大学3年休学
2011大学4年大学4年


林:制作資金をどうしたのか教えてください。
ハン:制作支援は私達が卒業した年から、あちこちで学生支援が終わってしまったと記憶しています。制作支援をもらえなかったために、全部アルバイトやお小遣いを集めて作りました。2010年にインタビューを撮りに済州島に行く前にカン・ヒジン監督と一緒に、本当に死に物狂いでバイトをしました。
運が良かったのは、済州島で撮影しようとしていた村の海女の学校があったのですが、そこの校長先生が海女会会長の家を直接紹介してくださり、そこで1ヶ月ぐらい宿と食べ物を提供していただき、私達もお手伝いできることがあるとお手伝いしたりしました。そのため費用が1人当り20万ウォン(現在のレートで約14000円)ぐらいしか、かかりませんでした。校長先生の話では、海女の学校で海女業を学ぶために本土から来た学生達は何事もなければ、海女の家に居候し、一緒に過ごせるようにするそうです。その時も、本当にそういう風に生活している方に会いました。

作品の中に実際にハン・アリョム監督やカン・ヒジン監督が出てくる
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林:カン・ヒジンさんと2名で制作したことについて、共同作業の良い点、たいへんな点を教えてください。
ハン:共同制作をすれば、お互いにリードしあったりして、私が、制作が大変な時はカン・ヒジン監督がリードしてくれ、反対にカン・ヒジン監督がうまくできなくて大変な時は、私がリードしたりして、そういう点では良かったです。一人でやっていたら、途中で怠けたり、挫折して、作品が完成できなかったかもしれません(笑)。私達の場合は、作業パートが違い、1人に最終決定権を与え、もう1人がアドバイスをするという方法で進行したため、意見の違いのようなものでそんなに大変だったということはありませんでした。代わりに作業方法が各自違うので、流れが合わなくて、お互いにそういう部分では大変だった点はありました。

林:具体的な制作の技法など教えてください。
ハン:2Dデジタルとペイント・オン・グラスで制作しました。最初は多くをペイント・オン・グラスでやりたかったのですが、自分たちにとってはまだまだ未熟な技法だったため、限られた時間の中で完成できるか、完成したとしても出したかった感じが出るか、よくわからなくて。それで結局、ペイント・オン・グラスは背景にだけ少し入れて、他は相対的にたくさんやってきた2Dデジタルで制作しました。ガラスの上に不透明水彩で描いて、WEBカメラで撮影し、背景をつくり、他はフォトショップで制作し、アフター・エフェクトで編集して仕上げました。

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林:本作をつくることで、海女さんについてわかったこと、感じたことなど教えてください。
ハン:海女さんというと済州島の強いお母さん、でも何か哀歓がこもった、あいまいな感じの印象があったのですが、この作品を制作しながら、海女業や、「テワク(写真を添付:丸いのがテワク[浮き]で、網は獲物を入れる物ですが、丸い物と網セットで“テワク”と呼んでいるそうです)」という道具等の単語から始まり、実際に海女の方達に出会い、一ヶ月生活しながら、その中に隠れていた彼女達の活気あふれる面白い話しぶりや、温かな心、そして彼女達自身の職業に対する心等々、言葉で表現するには難しい多くのことを知ることができ、感じることができました。そして海女業を生計のためにやりながらも楽しんでいるということ。だからか、マンガやアニメーションの職種とも似ているようで、より親近感を感じました。

林:今後の制作予定を教えてください。
ハン:まだそう大々的に考えているものはなく、日本で過ごしながらたくさん見て、感じて、やってみたいことをいろいろ試してみるつもりです。
カン・ヒジン監督は、また違うドキュメンタリーアニメーションの制作を準備中だと言うのでご期待ください。

<質疑応答>
Q:映像に出てきた海女さんをインタビューの対象にした理由は?
ハン:実は、上級の海女さんにインタビューをすることもできたけれど、何人かインタビューした中で一番、海女業を楽しそうに語っていたので。

Q:海女さんの仕事を住み込みで手伝っていたと言っていたが、どんな仕事を手伝ったのか?
ハン:実際にもぐるというわけではなく、海女さんたちはもぐっていない時は農作業をしたり、道具の手入れをしたりしているので、そういうのを手伝っていました。

Q:カン・ヒジン監督が海女さんのドキュメンタリーアニメーションをつくろうと思ったきっかけは?
ハン:カン・ヒジン監督が済州島の実写のドキュメンタリーをテレビでみて、興味を持ったから。
海女学校があって、珍しいのでTVの取材やドキュメンタリーを撮りにくることが多いが、実際出来上がった映像を見るとかなり演出(やらせ)が入っていて、それはどうかと思い、自分たちは海女さんの海女業を楽しむ真の姿を伝えたいと思いました。

Q:共同作業でケンカしたことは?
ハン:制作する前に、この作品は卒業制作だったため教授に見せなきゃいけないのだけれど、見せる前に、こうしたら教授にダメ出しされるんじゃないか、とか、見せた後も教授がこう言ったけど、この方がいい、とか、そういうところが大変で、意見が割れたこともありました。

<タイトルの『Grandma Ocean/할망바다』について>
初心者の海女さんが入る海は冗談で「クソ海/똥바다」と呼ばれており、年齢とは関係なく、海女業をやる人が一度は通る海で、おばあさんが子どもの頃に耳を傷めたのも、その海で、年をとって、また「クソ海/똥바다」に戻ってくるが、同じ海ではあるが呼び方が変わり、「おばあちゃんの海/할망바다」と呼ぶので、その意味をふまえてつけたそうです。

ハン・アリョム
1989年生まれ
2012年 祥明大学卒業
・『ゲイの恋愛規則/게이연애수칙』2D / 2008 / 2’51”
・第1回リレーアニメーション参加
『ウサギとカメの物語だといってもわからん!/토끼와 거북이라고 말해도 모르잖아』2D / 2010 / 6’13”
・第2回リレーアニメーション参加『The Water ~ 船頭多くして ~』2D / 2011 / 6’00”
プレイベント告知ページにもハン・アリョム監督についての詳細あり
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