カン・ミンジ「Natural Urban Nature」レビューbyチェ・ユジン

「Natural Urban Nature」
내츄럴 어반 네이쳐/Natural Urban Nature
カン・ミンジ/2011/4:32/Object
C8natural.jpg
「自然な都市の中の自然」がテーマ。変わることのない自然と、それを手入れしようとする人間。無数の花びらや木の葉がダンスを踊るように所狭しと動き回る。

Director's note
徹底的に計画化された都市の中で生きる私たちが感じる「自然」とは、一体何だろうか? 日々管理され、手入れされる山や樹木、川、花など。私たちが都市の中で感じる「自然」は、人間の手によって作り上げられた「不自然な」自然なのかもしれないという考えが浮かび、これを映像で表現しようと試みた。長方形のフレームの中で、自由に伸びようとする自然と、これを押さえ付けようとする現代都市の姿を対比させ、表現しようとした。

★花コリ2012 Cプロで上映、名古屋会場ゲスト


カン・ミンジ「Natural Urban Nature」レビュー
byチェ・ユジン(韓国インディペンデント・アニメーション協会&インディ・アニフェスト映画祭事務局長)


KMDbアニチョイスより
根気強く、アニメーションを通して自分の世界を構築していっている作家がいる。短篇作品の特性上、2年に1作品を作ればまずまず多いと言えるが、まだ30にも満たないのに、もう作品だけで5作(トレーラー、広告映像などを除いた純粋な作品だけでも)を作った。まめに、そして絶えず作品を作っているという証拠だ。彼女はインディ・アニフェスト2011開幕作の監督のうちの一人、カン・ミンジ監督だ。時には子ども達と、時には折った紙の面を利用して、時には砂で、ドローイングで毎作品ごとに新しい実験をしている彼女が、今度は木の葉と花びらで作品を作った。「Natural Urban Nature」韓国語で訳せば「自然な自然」という題の作品だ。

作品の中には一つの宇宙が広がる。作品は一枚の葉(または点)から始まり、一枚の葉で終わる。点は宇宙の始まりだ。画面に満ちる木の葉と花びらたちの作り上げる動きは偶然のように感じられるが、それらは自然の秩序を持って動いている。まるで「自然」という言葉の意味のように「自らそうするように」。そうやって始まりと終りで、そしてそれらが作り出す様子で宇宙を感じることができる。

作品を見ていていたら、まるで木の葉たちが音楽のリズムに乗っているように見える。アニメーションと音楽は切っても切れない関係だと言うが、特にナレーティブがない作品で音楽の持つ大切さは敢えて説明する必要もないだろう。木の葉と花びらの水が流れるような動きに、音楽は重さと動感を加えてくれる。動きと音楽はお互いにお互いをひきだすように自然に混入する。このような音楽はカン・ミンジ監督と音楽監督が長い間呼吸を合わせてきた結果でもある。

小さな木の葉と花びらの作る世界は自然だ。一枚一枚の葉たちは同じ木から出てくるが、大きさも模様も色とりどりだ。このごろ道を歩いていて出くわすのは、似たり寄ったりの建物と工事現場だけだ。人々は似たような夢を追いかけ、同じものを見ている。いつのまにか世間はまるでフレームで刷り出したようなものなどでいっぱいになってしまった。そのため、作品の中で見られる葉たちの作り出す世界は、小さいがその違いがより楽しく感じられる。自然さを忘れてしまった世の中は息苦しいだけだ。

才あふれる自然の味がそのまま生きている、可愛いキャスティングのクレジットを見るまで席を立つことができない可愛らしい作品「Natural Urban Nature」。その中には宇宙があり、音楽があり、また自然さがある。そして何よりナレーティブ中心のインディーズ短編アニメーションが多い昨今、こんなにナレーティブなしに実験的で抽象的な制作を続けていっているカン・ミンジ監督は韓国のアニメーションを豊かにさせるのには、なくてはならない大事な作家だ。


Yujin
韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)事務局長。大学院時代に「文化研究」を専攻したのがきっかけで、2006年にKIAFA事務局入りする。KIAFAが主催する、インディーズ・アニメーション作家のための映画祭「インディ・アニフェスト」は、2011年で7回を数えるが、ソウル国際漫画アニメーション・フェスティバル(SICAF)、プチョン国際学生アニメーション・フェスティバル(PISAF)などアニメフェスが林立する中、作家をして「私たちにとって一番大事な映画祭」と言わしめるほど高い評価を受けている。その他、定期上映会や地方巡回上映会、データベースの作成、配給事業「AniSEED」、海外作家との交流、アニメーション教育プログラムなどを企画・実施し、韓国インディーズ・アニメーションの国内外への紹介・普及に尽力している。

映画祭名物事務局長チェ・ユジン氏は東京・大阪・名古屋3会場とも来日し、
会場におりますので、気軽に話しかけてみてください(笑)
日本語ぺらぺらです。
名古屋会場では2日目にトークイベントがあります。
詳細は名古屋会場ゲスト・イベントをチェック!
ちなみにプロフィールの似顔絵は長編アニメーション「大切な日の夢/Greendays」のアン・ジェフン監督が描きました。
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