ムン・ヒョンイル「男は泣かなかった」インタビューbyユースボイス

ユースボイス」で、インディ・アニフェスト2011で大賞を受賞したムン・ヒョンイル監督が学生時代にユースボイス事前作支援を受けて当時制作していた作品について話しているインタビューが載っていたので、許可をいただき翻訳して掲載しています。
2007年12月15日の記事より

「ユースボイス」とは事前作支援・メディアカンファレンス等で、青少年のメディア活動を体系的に支援する韓国の団体で、全国に三ヶ所センターがあります。
フレント:フレントとはの造語で、年2回公募されユースボイスで活動する青少年(16才~24才)のメンバー

■「男は泣かなかった」花コリ2012 Aプロで上映
남자는 울지 않았다/The Man Did Not Cry
2011/8:46/Drawing, 2D Computer
a8_the_man_did_not_cry
5歳の時、悪魔に「初めて泣いた日に死ぬ」と宣言された男の一生。

Director's note
社会の慣習や文化によって定められた枠の中で、規範に従って生きなければならない人間の苦しみを表現したかった。

★インディ・アニフェスト2011大賞受賞
(参考:インディ・アニフェスト2011受賞作審査評2012/03/02



<マンガ制作所>を探して
―アニメーション「할매/ばあちゃん」を制作中のムン・ヒョンイル君のスタジオへ


現在「ユースボイス」で事前制作支援を受けて活動しているチームは計6チームある。その中でフレントが選択した最初のインタビューはマンガで自身の話を伝えようとするムン・ヒョンイル君(当時23歳)だった。現在盛んに制作しているムン・ヒョンイル君の最初の印象は、彼が描いているマンガ「할매/ばあちゃん」とよく似ている気がした。子どもとお婆さんの短い話を盛り込んだこのアニメーションの内容のように、彼は素朴な願いを持った温かい人だった。

ムン・ヒョンイル君に会うためにインタビューを任されたフレントたちは、彼が在学している桂園造形芸大を尋ねた。制作室で忙しく作業をしていた彼は、迷子になった私たちのために寒い日だったにも関わらず迎えに来てくれた。彼について行き、制作中の部屋に立ち寄って彼の絵を見たり、制作過程を見たりして、現在制作中の「할매/ばあちゃん」の制作過程についての説明を聞いた。初めて見るアニメーション作業と彼の制作室を見物したフレントたちは、気になることを1つ2つ聞き始めた。

フレント(以下“F”):マンガを描き始めてどれくらいになりますか?
ムン・ヒョンイル(以下“ムン”):小学校4年のとき、偶然「ドラゴンボール」というマンガを見ることになりました。そのマンガがとっても面白くて、好きになりました。それでそこに出てくる主人公等を少しずつ描き始めました。そんな感じでマンガに触れ合うようになり、それ以降はずっとマンガ家になる夢を見てきました。

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F:では、なぜマンガというものを選んだのですか?
ムン:一応、僕が一人で楽にできるという点が気に入りました。音楽や映像といったものなどは普通、装備やさまざまな環境が揃えばこそ作ることができるものですよね。でもマンガや絵は、ペンと紙さえあれば一応可能だからです。

F:ではユースボイスの事前制作支援を受けるきっかけは何ですか?
ムン:検索してたら偶然支援プログラムを見つけました。それで支援申込書を出し、最終審査に合格しました。こんな風に事前に支援をしてくれるという形式はいいことだと思います。申し込む過程がそんなに難しくないから、多くの友達にこの制度を知ってもらって、恩恵が受けられればいいと思います。



F:ユースボイスの事前制作支援を受けて良かった点はどんなところですか?
ムン:何よりも僕の場合は、食費のサポートがあって、全体的に生活がとても助かりました。いろいろ忙しいと相対的に作業する時間も多くなく、アルバイトをしたとしても経済的に難しいんだけど(韓国の時給350円程度)、支援を受けると、僕のような学生の立場では経済的側面でかなり助かります。また、支援を受けるとなると作品を完成させなきゃという<義務感>が生まれます。一人で制作していると辛いし、忙しいし、気に入らないと止めちゃう場合も多いけど、責任感が生じると最後までやらなきゃという意志が強くなるようです。いろいろと多くの助けになります。

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F:では、今、制作している作品「할매/ばあちゃん」について、「할매/ばあちゃん」はどんな内容ですか?
ムン:幼い子どもとお婆さんが2人だけで家に暮しています。そのお婆さんは夜眠る時、イビキがひどく子どもはそれを嫌やがります。そんなある日、夜に一緒に寝ているのだけど、お婆さんのそばで寝ている子どもに、イビキの音が聞こえないんです。子どもがびっくりしてお婆さんの鼻に指をあててみるが、呼吸する気配が感じられない。それで子どもは驚いてどうしたらいいかわからないでいると、お婆さんがまたイビキをかきながらやっと息をするんです。その音を聞いてから子どもは安心します。僕が幼い時、お婆さんと住みながら実際に経験した内容でした。


F:一日に作業はどれくらいやりますか?
ムン:一日6時間位進めます。
F:大変ではないですか?
ムン:でも僕が好きな事だから。そんなに大変とか、難しいとかはよく分かりません。

F:現在、作業の進行状況は?
ムン:原動画作業は約30%位進んだ状態です。多分1週間~2週間すれば、編集に入ることができそうです。

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F:事前制作支援を受けて制作をして来てますが、惜しい点や、“こんな点でユースボイスがもうちょっと手伝ってくれたらいいなぁ”と言う点がありましたか?
ムン:こういう制作システム自体が、僕にはかなり役に立ったけど、敢えて言うなら専門家メント先生がいたら良いと思いました。勿論メント先生がたくさん手伝ってくださったけれど、どうしてもアニメーション専門の監督ではないから、全面的に気楽に意見を求めるのが少し難しい側面があったようです。


F:「할매/ばあちゃん」が終わったら、これからどんなことする計画ですか?
ムン:一旦、今やっている制作を一生懸命して、以前仕上げがうまくできなかったものをもう一度手を入れてつくってみたいです。ちょっと心残りがあって。

F:将来どんなマンガ家になるのが夢でしょうか?
ムン:敢えてどんなマンガ家になるという風に考えてみた事はないです。ただ、一生こんな風に僕がしたい話を絵やマンガで表現することができるようにと願う気持ちが一番大きいですね。そして歴史マンガを描きたいです。歴史が好きなんだけど、韓国の歴史を盛り込んだ100冊のシリーズマンガを描きたいです。

F:最後にマンガ家を夢見る後輩たちに一言。
ムン:ファイト!


最後に彼が言った一言を聞いてフレントとムン・ヒョンイル君は、みんな笑った。しかしその一言の中に盛られた意味がまさに“ムン・ヒョンイル君らしい”気がした。彼が最後に後輩たちに残した言葉は大きく、長くはなかったが、その中にこめられた応援の心は誰にも劣らず大きく見えた。一言一句並べられた言葉よりも、もっと大きい力がこめられているようだった。

フレントの立場では、彼が完成していくこの作業を見ることが楽しかったし、不思議だったけど、彼と会話を交わしながら感じたことは、この事が決して簡単な事ではないという点だった。誰にとっても5分余りの映像だけれど、その映像を作るために1カット1カット絵をいちいち手で描かなければならない。彼はその日もその作業のために一日数時間を身動きせず座って、眩しい”ライトボックス”に紙をのせて絵を描いていた。しかし彼の表情は明るかった。大変だけれど、したい話をしたい方式でできて良さそうに見えた。

インタビューをして彼から話を聞いて、助けになろうとした私たちは、むしろ彼から多くのことを受けとった気分だった。そしてインタビュー始終、皆はムン・ヒョンイル君が、彼が持つ温みを作品の中によく溶かしだすことができる人だと思った。
彼のアニメーション「할매/ばあちゃん」の完成した姿を見る日を期待して、フレントもムン・ヒョンイル君に“ファイト!”という短い一言を残したい。
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