ファンボ・セビョル「VIEWPOINT」インタビューbyファンボ・クムビョル

ファンボ・セビョル「VIEWPOINT」インタビュー
  by ファンボ・クムビョル「The note」



韓国アニメーション界にはなぜか双子が多い?!

ファンボ・セビョル、ファンボ・クムビョルもその双子のうちの1組。
クムビョル(金星)、セビョル(新星)という韓国でも独特な名前の姉妹だ。

韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)のネットコミュニティページでは
監督から監督にリレー方式でインタビューが不定期で行われている。
前回「City」のキム・ヨングン氏からインタビューを受けたファンボ・クムビョル氏は
双子の妹であるファンボ・セビョル氏にインタビューをした。
*ファンボ・クムビョル「The note」インタビューbyキム・ヨングン「city」

■ファンボ・セビョル
Rubout
「Rubout」花コリ2009で上映
★インディ・アニフェスト2008KIAFA特別賞受賞★

2007 / 7:25 / Cut-outs, Rotoscope
地下鉄事故現場に閉じ込められた夫とその事実を知ってしまった妻は
お互いのためのうそをつく。


b6_viewpoint
「VIEWPOINT」★花コリ2012 Bプロで上映
★インディ・アニフェスト2011観客賞受賞★

2011 / 7:00 / Drawing, 3D Computer, Rotoscope
幼少期に受けた心の傷がトラウマとなって、髪の毛の塊になってしまった少女。彼女の本当の姿とは?


いつものように2台のパソコンを間に置いて、椅子に座ってインタビューを始めた。
双子姉妹以前に同じ制作者として、家でパソコンを並べて作業するから、制作に対する話をしばしば交わす方だが、インタビューは正式にしなきゃいけないようなので、簡単に町内にあるカフェーでインタビューを始めた。

クムビョル:「Rubout」の後に久しぶりに作った短篇「viewpoint」について先に話すほうがいいみたい。
セビョル:うーん、前作に比べて、よりやりたいものに近くできたようで、心の中の話をしたかった。
最初は人を意識することで構想され、話を始めるようになったんだけど、他人によって心が揺れ動くことにつながる結論が、結局は自尊心についての話になった。
それで、調べて考えた末、自尊心に対する話にしようと決め、勉強するようになったのだけど、自尊心というのが私を高めた時と、低く見た時によって変わり、私を評価することだということが分かるようになったし、自尊心が低い状態のトラウマに対するイメージ化をしようと決めたの。
初めは自尊心が低くなる度に、髪の毛が長くなる女の子に対する話で構成をしている途中、敍事的な一つの事件だけで見るのに、自尊心の状況は多様で程度の差もあって客観化させる象徴的な記号で表現をしてみようと思って、今みたいな全般的構成が出てきた。強圧的なメッセージよりは、「あなたの自尊心は自分で思うよりは低くない」という程度に伝わるようにしなきゃ、くらいに思った。今度のは前回のより、抽象的でナレーティブがもうちょっとビジョン的な作品だと言えるわ。

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2011年短篇アニメーション「VIEWPOINT」

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「Hair_VIERPOINT」アートワーク

クムビョル:内容的な面で「Rubout」とは関連性がちょっとはあるの?
セビョル:「Rubout」は人に対する利己心についての話だったけど、漠然たる利己心ではなくて、他人のためのふりをする利己心に対するもの。私の個人的な経験から始めた。地下鉄に乗って大橋を渡っている途中に、私が死ねば他人が悲しむことを心配して、彼らの記憶を消してしまう事について、考えたことがあって。反対の立場になって思えば、果してそれがその人のためなのか?と思うようになった。例えば、ママが私の記憶を強制的に私の同意なしに消せば、果して私にとって、いいことなのか?人々が勘違いするのが、他人のためにするということが、時には利己心になるでしょう。

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2007年「Rubout」

クムビョル:微妙に関連性があるみたいだけど、セビョルは作品の主題を選択する時、どんな感じ?どんな話をしたい?
セビョル:心についての話だけど、個人的な心の状態についての状況に集中するみたい。

クムビョル:二つの作品の間は距離が遠いようだけど、同じ脈絡みたい。
セビョル:形式的な側面は、距離感はあるけど、雰囲気や性格は大きく変わらないみたい。

クムビョル:作家活動を続けると思うけど、セビョルにとって作家活動の方向性は?私が知ってるのは、イラストレーターでも活動をしていて、その分野にずっと関心があるみたいだけど、短篇だと内容と形式は違ってもアートワークは一貫性があるし。
セビョル:私は一方向に邁進して、アニメーションや映画に推し進めるとか、ファインアートの芸術家精神で作品に臨むというのではなく、私が持っているイメージを表現するというのが私の作家活動みたい。それで私のイメージと一番近くて理に適ってるのがアニメーションで、言葉がアニメーションであって、実在にある事物を再構成するより、私が描いた絵を使って、話を作り、時間を構成して編集、演出するのが好きだからアニメーションなんでしょう。たまには映画的だったりするけど、どうして、敢えてアニメーションでやるのかって言われても、絵を基礎にしてるからってだけ。それで、時にはアニメーションではなくイラストでも制作したり、イラストじゃない一枚の絵で表現したりしてる。
ニュースター・ワンダーランドというのが私のモットー。それは、私が作り出したイメージで具現化することができるすべてを総体的に取り込んだ世界なの。一つの絵、アートワーク、映画、アニメーション、そして今、クムビョルと一緒に準備している展示の形態のときもある。

セビョルのイラスト

私がアートワークを作るのは、一つのキャラクターが重要とかいうディテール的なものではなく、一つの絵の中に入っているすべての要素から出発するもの。

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bling 2010 2月号パーティチューンのイラスト「Sugary and Mysterious tune」

クムビョル:やっぱり絵から出発してるからかもね。
セビョル:そうだね。アニメーションでは描けなくて、一枚で描いてしまう時もある。
文様的に複雑なのを描く時。

クムビョル:横で作業するのを見てると、セビョルには文様が重要そうだけど。
セビョル:文様は、なぜかは分からないけど、理由を考えてみると、私の内面的な趣向からみたい。派手で飾りっぽいのが好きだったけど、今度の作品を作るようになって分かったんだけど、初めは髪の毛と服だったじゃない?そうして敍事を作って服を捨てたんだけど、髪の毛で身をくるむか、服でくるむかを同一視したということ。私が描くイラストでも、ポーカー・フェイスと派手な服を重要視するんだけど、それも私の全体の話とも同じで、心理的な状況を服が代弁するんだと思う。だまされたと分からなくて何の状態の人間かは、分からないけど、服は派手な外皮みたいなものね。どんな皮を着せるかによって私を隠すことも持ち出すこともできる。両面的というより、良家的な側面で派手な服がそういう風に見える。派手にもなりえるし、派手に見えることもできる。それで服や飾りの派手さを重要視する。表情で表現するよりは、やっておいて感情を表現するのが私たちは好きでしょ。だから派手な飾りの外部的な側面が重要なの。

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「VIEWPOINT」スチルカット―きれいな服を着る人々

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イラスト



クムビョル:作品からキーワードがいろいろ出たけど、実際は同じ脈絡みたいだね。
セビョル:そう。

クムビョル:私の場合は、ヨナス・オデル(*Jonas Odell:スウェーデンを代表する映像作家の一人)に影響を受けたけど、セビョルも特に好きな作品や作家がいたと思うけど、その他にもセビョルが影響を受けた人や物事は?
セビョル:内容は何でもいい感じ。音楽でも歌詞よりはメロディーが好きみたいに。特定のパターン、色感みたいなものがツボに入れば、内容が粗末でも好きな方。例えば『アメリ』(2001年公開の仏映画)。これは別に内容が粗末まではいかないけど、内容がそんなに面白いとか立派というより、きれいで強い映画じゃない?ユーリ・ノルシュテインの『霧の中のハリネズミ』は、ハリネズミはその色感や質感のかさかさ、レイヤード、雰囲気、スタイルも良かったけど、人の微妙な懐かしさに触れるおぼろげな情緒がある。懐かしさが押し寄せて人のノドまで満ちる時、その情緒をオ、オーってミミズクが鳴く音で感じた。チェロみたいな弦楽器の音も使われてて。そういう夜の雰囲気にとても驚いて、ノルシュテインが好きなの。彼の他の作品も見ると、他の作品もそういうアートワークだった。正直、他の作品はとても記号的だったり、一つの寓話とか技法なしでは話せない人だから技法的っぽかったけど…。そういうスタイル的な側面で、敢えて誰の影響かと言えばノルシュテインに影響を受けたみたい。
私はいつもスタイルが良いものを優先的に好きなのだけど、でも、もっと重要なのはそのスタイルが良い作品が内容も良ければ最高だと思う。その内容も、構成方法が編集や演出、シーケンス演出に形式美がある、内容的な形式美まであればかなりいい。そう、形式美。私は形式美がある作品が好きなの。3拍子がある作品。形式美もあって、スタイルもあって、内容的に心理的なもので私の心を突いたら最高。それで『エターナル・サンシャイン』(2004年公開の米国映画)が好きなの。私にとって一番最高な映画。私は装置的で表現主義的なものが好き。

セビョルは、小奇麗で整頓された普段着のように、作品も前後がよく編まれた形式美の作品を楽しむと言う。

クムビョル:セビョルの職業はどうなってるの?
セビョル:その時、力を入れている物によって変わってくる。私がある業社に携わっている時は、アートワークデザイナーだし、イラスト作業する時はイラストレーターだし、今は「Viewpoint」を終わらせてプロモーション期間だと思って、また映像の勉強を引き続きしているから、今はインディーズアニメーション監督だと言う。私のブログに全部書いてある。

クムビョル:休まず仕事をするじゃない?仕事と制作を平行してやってたけど、仕事に対する経験はどう?
セビョル:とっても助けになる。普通2年は堪えなきゃいけないのに、短期間の経験だけだから何とも言えないけど、少なくとも短期間で作業を完成しなきゃいけない時、どんなプロセスでやるのか、私が扱っているポジションではない時、他人とどんなふうに仕事をするべきか、上司のプレゼン、修正が来た時、仕事をもらった時、対処する姿勢を間接的に見たのはとても役に立った。
広告会社にいる時は、役に立つのかなぁと思ったけど、振り返えってみれば実際に全部役に立ったみたい。2,3日リファレンスだけ一日中ずっと見てなきゃいけない時があったけど、今、私何してるんだろうと思いながらも、有名なイラストリンクをページの初めから終りまで、隅々見た。短期間に全部見るのは大変で。でも実はとても役に立つものだった。自分が求める主題に合った映像を選ぶ作業をするの。そういうものが知らないうちにかなり勉強になった。でも会社ではこういうことは誰でもできることだったら、またクォリティーある作業をする時、こうしたいってやって、結局それなりにすべて勉強になった。アニメーションの会社に6ヶ月通ったことも、その頃中国との合作プロジェクトしながらもこういうスタイル、私に役に立つかなと思ったけど。中国の業社と仕事をするプロセスやパート別で他の制作の仕事をするというのがすべて役に立った。

クムビョル:セビョルは制作をせざるを得ない人?セビョルの制作させる動機は何?
セビョル:制作は実際、いつも時期を考えて制作をして来たから2つの短篇制作も始めるようになった動機は皆、計画的。私は先に計画的なタイミングをつかんで、制作をしなければ、と心に決めて、きちんきちんと段階を踏んで行く方だけど、何かひらめいて、それを処理できないでやるスタイルというより、卒業制作は卒制をやることになったからやったのだし、今度の作品も漠然とすぎるほど、人を意識する状況に対する感情的な根源が何かにと悩んでる途中、会社を出て制作支援を準備しながら思うようになったので、私はいつもその瞬間直面した状況と感情から始めるみたい。
その時、私がどんな精神的状態かが重要みたい。

クムビョル:じゃあ一言で時期的に適当な状況で、伝えたいことがある時だけ制作をしてきたのね。
セビョル:そう、そう。それで私は経験値が、分かると思うけど、そう多い経験をするスタイルではないから。私の話が、ある人にとっては半年もせずに作品として飛び出す人がいるけど、私は言いたい言葉が集まる時間が1~2年は必要みたい。

クムビョル:確かに私と正反対で、制作をするようだね。
セビョル:そうみたい。

クムビョル:制作以外に最近進めていることは?
セビョル:建国大学の映画映像学科で勉強をしているんだけど、全般的に映画映像だから映画と映像をひっくるめて映像理論を、もちろんアニメーションを含んでいるけど、包括的な意味で映像理論を勉強をしてる。
最近はインタラクティブ実習をしていて、インタレクション技術を使って、今、「VIEWPOINT」映像と組み合わせて設置をしようと展示を準備している。企画中。


クムビョル:そうなんだ。じゃあ、もうちょっと長期的なこれからの活動計画、制作の計画は?
セビョル:次の作品をつくりたくなったし、大学院卒業実習の務めがあるけど、私はいつも制作名分が必要だからこれも1つの名分なだけで、作品構想中。2つくらい構想している。1つはPDが介入する制作になるかもしれなくて、今までは私の個人的な話ばかりしてたけど本格的にPDが入って来る制作なら目的性があって、企画的な作品になる予定。長期的に役に立つんじゃないかと思う。もう1つは、やっぱり作家的な制作だけど、最初の作品の具体的、映画的ナレーティブ的な要素と2番目の作品の、しいて言うと形式的で象徴的な2つの全般的なスタイルを交ぜた接点があるスタイルで作って、私がしたい話を引き継ぐ感じで。どんな方法で引き続くかは考え中。と言ってもずっとイラスト制作はするつもり。アートワーク作業ね。

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「VIEWPOINT」スチルカット―象徴的なイメージ

クムビョル:何か言いたいことあれば。
セビョル:「VIEWPOINT」でインタラクティブな展示を企画中で、制作中なんだけど、日程はまだ確定じゃないけど、2012年12月9~11日に文来洞代案空間ジョンダバンという所でグループ展をするかも。パーティーかたがた楽しむ気軽い展示なんだけど、「VIEWPOINT」のインタラクティブの展示を見てみたかったら来てください。

簡単なインタビューを終えながら、いつも感じることだが、自分の仕事を決めるにおいて計画的で几帳面なセビョルの性格を改めて感じた。セビョルの「Rubout」「VIEWPOINT」等の作品で見られる彼女が詰まった作品を、姉である前に同じ制作者として期待している。

*KIAFA CAFE(2012年1月28日の記事より
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