ファンボ・クムビョル「The note」インタビューbyキム・ヨングン「city」

スタジオYOGのキム・ヨングン監督(「City」)がファンボ・クムビョル監督(「The note」,
リレーアニメーション2回とも参加)にインタビュー

最後の方に、まだ完成していないリレーアニメーション「The water~船頭多くして~」(花コリ2012 Cプロで上映)についても少し語られています。

■ファンボ・クムビョル

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「The note」 / 2008 / 0:03:31 / Drawing on Paper, 2D, 3D
「私のノート」の一番最初のページに「4才の私」はママを恋しがっていたと記録されていた…
花コリ2010で上映

2回目のリレーアニメーション(花コリ2012 Cプロで上映)「The water~船頭多くして~」に参加
ファンボ・セビョル「Viewpoint」の双子の姉

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「Viewpoint」ファンボ・セビョル
2011/7:00/Drawing, 3D Computer, Rotoscope
花コリ2012 Bプロで上映
セビョルのインタビュー記事はまた後ほど、お楽しみに…。

■キム・ヨングン

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「City」
キム・ヨングン、キム・イェヨン/2010/6:28/2D Computer, 3D Computer
花コリ2012 Bプロで上映



2011年5月14日午後2時

暖かい日差しを受けながら、松葉杖をついていた。
景福宮の石畳に沿い、角を曲がるとついにクムビョルの個展が開かれているPalais de Seoulが見えた。すると後ろからクムビョルの歓迎の声が聴こえた。一緒に彼女の展示会場に向かった。

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'Hugging Your Flow'

クムビョルの2回目の個展タイトルだ。
こないだの展示でも感じたが、クムビョルは展示空間自体を1つの作品と考えているようだ。クムビョル特有の響きがラインドローイングと、映像はもちろん展示会場の光1つ、空気の一筋、一筋から感じる。
この響きはどこから生まれ、どんな流れに乗って、ここに集まって来たのか?

展示会場のカーテンの間を散歩するように歩く、幾多のクムビョルたちの姿がちらちら見えるようだ。
今日のインタビューではクムビョルの昔の話を少し聞いてみようと思っている。

しばらくして、僕らは展示会場上のカフェに移動し、インタビューを始めた。

ヨングン:最近忙しい?
クムビョル:はい、最近セビョルの2Dのスタッフしてます。今クライマックスシーンを作画してます。今日も朝やってきました。昨日は5時までやりました><難しくて…。
ヨングン:あ、だから昨日朝方の4時に、フェイスブックに「眠い」って書いてあったんだね。それ見て単純に「眠いなら寝ればいいのに?」と思ったけど、そんな悲しい…。


クムビョルは5月3日から16日まで自分の2回目の個展をやりながら、先週には「ツィッターアートフェスティバル」という展示にも参加した。しかも、ちょうどスタッフとして参加している彼女の双子の妹、ファンボ・セビョル監督の新作のクライマックスとは。昨晩フェイスバックのウォールに音楽クリップをひたすらアップしていたクムビョルの心情がやっと理解できた。


ヨングン:自己紹介するとき、何て言う?
クムビョル:私、実はPRしないタイプと言わなきゃいけないかな?

ヨングン:神秘主義?
クムビョル:良く言えば神秘主義だけど、それをコンセプトとしてしてるんじゃなくて、ただPRする場所で積極的に自分のことをあまり言わないようにしてる。なぜかはよくわからないけど…。
ファンボ・クムビョルです。よろしくお願いします。それくらい…(笑)。これといって作品の説明する方でもないし。最近はちょっと直さないと、とは思うけど、一方では、何も知らせない状態で見たときの反応が気になったりもする。

ヨングン:じゃあ紹介はおいといて、自分では自ら何をする人だと思う?
クムビョル:ただ制作しなければならない人みたいです。体質が…。そのせいで悩みが多いけど、自分について分かろうと努力すればするほど、生まれつきの性分が作家チックというか。PRを憚るということからも。それでも仕事させるとできないってわけではなくて、でも仕事して幸せってわけでもない。

ヨングン:絵画では作家と呼ばれて、アニメーションの方では監督と呼ばれるはずだけど。(*韓国ではアニメーション作家というよりは、学生でも誰でもアニメーション監督という言葉で呼ぶ。:KIAFA事務局長曰く、「監督、監督」と呼ぶことでモチベーションをアップさせるのだとか)
中間で若干、曖昧さを感じる。実は僕もたまにそうなんだ。職業のことを聞かれた時。
クムビョル:そうです。技法みたいなものは分け隔てなく全て好きです。でも世の中でアニメーションの技法が一番気に入ったから。「私はアニメータだ!」っていうわけではないから、紹介する時、何て言ったらいいかわからない。ただ「制作してます」って言う。

クムビョルという名前と最小限の情報以外は自分のPRをほとんどしないと言ったが、それだけで十分かもしれないと思った。なぜなら、「クムビョル/금별/金星」という名前だけで、他の平凡な名前(例えばキム・ヨングン/김영근のような)では絶対与えることが出来ない強烈なイメージを与えるからだ。発音も、模様も美しく、何よりも彼女によく似合っていると思ってきた名前。素直にちょっとうらやましかった。

ヨングン:名前は誰がつけたの?
クムビョル:お父さんが…。

ヨングン:僕もそうだけど、たぶん、他の人も君に対するイメージにおいて名前の占める割合が高いと思う。「ファンボ」という苗字も珍しいし、「クムビョル/金星」という名前も…。考えれば考えるほど、苗字と名前の組み合わせがマッチしてるようで…。例えば、「キム・クムビョル/金金星」だと感じが出ないじゃない。「イ・クムビョル/李金星」だとちょっと田舎臭いし、「パク・クムビョル/朴金星」にすると。
クムビョル:「パク・クムビョル/朴金星」、ホント、変だ(笑)

ヨングン:「ファンボ・クムビョル」にするとぴったり合うんだよ。
クムビョル:四字熟語みたいで(笑)。

ヨングン:しかもその中に視覚的なイメージが浮かぶでしょ。だからこの名前をつけてくれた人は、芸術的な感受性があって君に多大な影響を与える人なんじゃないかって、1人で思ってた。
クムビョル:ええ、そうです。父の影響をたくさん受けてるのは大きいと思います。父が東洋哲学に長けていてとっても自由で、生まれつきの芸術家です。実はちょっと深刻なくらい…。制作するのが好きで、それをお金に還元することがうまくできない。

ヨングン:君のお父さんも制作するの?
クムビョル:正直、正確にはよくわかんないけど。哲学概念みたいなのを作ります…。

ヨングン:何か思潮を創造しようとするの?
クムビョル:ええ。それで芸術を理解する幅が広くて、知識がとっても多いです。幼い頃、有名な禅問答みたいなナゾナゾをよく出してくれました。

ヨングン:それでそういう環境の中で、自然に芸術を始めるようになったんだ?
クムビョル:ええ。でも上の姉は完全に反対です。すごく現実的です。セビョルはちょうど中間のようで。私が父によく似すぎていて…。父が夜本を読んでいたら、側でくっついてあれこれ聞いてました…。父は太極旗から教えてくれました。これはどういう意味で、あれはどういう意味で…。中・高校の時に教えてもらうものも、聞いてました。面白いじゃない?誰かに説明できるってわけじゃないけど、私の感受性に確実に、そっちの方に体得したものがあるようです。

ヨングン:では絵自体は最初はどうやってはじめたの?
クムビョル:絵を描くこと、好きでもあり、嫌いでもあるんだけど、生まれてから幼い頃の記憶が、絵を描いてたことしかないです。3、4才の時の記憶から幼稚園の時もそう、小学校の時も、それしかなかった。傾向が赤ちゃんの頃から確かで。だからといって画塾に通うことなく、展示会を見て周るとかでもなく、ただそれが私の遊びだったから。絵を描くのが好きだったようです。

ヨングン:じゃあ決定的なきっかけなしにずっと続けてきたってわけだね。他のことを考えてみたことは一度もない?
クムビョル:ええ。ただ悩んだのはお金について考えた時(笑)?絵描いててもお金稼げるわけないし。そんなことを悩んでた時は他のことをしなきゃなと思ってたけど、結論は、そのまま逆上して美術の方で入試を決めたし、その後はあまり考えなかったようです。

ヨングン:その中でもアニメーションをやるようになったきっかけは?
クムビョル:元々、劇は好きでした。時間性がある。演劇も好きで、映画も好きでミュージカルも好きで、当然アニメーションも好きで。でも自然に学校に来て、アニメーション技法を学んでからは、実はパク・セヒョク教授の影響が大きかったのです。アニメーションを技法として好きだったことはなかったけど、今はアニメーションより技法が好きみたい。先生が見せてくれた作家の動画があるんですよ。見ながら、なぜか「私、これやらなきゃいけない気がする」って思った人がいたんです。ヨナス・オデルだったかな。(*Jonas Odell:スウェーデンを代表する映像作家の一人)そういうのが気に入りました。

父親の机の横にくっついてあれこれ聞いてみる小さいクムビョルを思い浮かべたら、まる山下和美の『天才柳沢教授の生活』というマンガの一場面みたいだと思った。そのマンガの中で、小さな女の子には、書斎でスタンドをつけて一日中研究していた柳沢教授の後姿が生涯懐かしい風景として残っていくだろう。クムビョルの心の中の懐かしい風景とはどんなものだろうか?

ヨングン:今まで過ごした中で、一番懐かしかったり、印象的な風景は何?
クムビョル:今はそうでもないけど、幼い頃は人が多くてゴタゴタしたところはあまり好きではなかった。当時は大人しくて勉強をよくする方だったから、先生達が好きでした。だから「体調悪いので保健室行ってきます」といえば行かせてくれて、でも保健室に行かずに学校の中を散策してました。また、聖堂で、ミサの時間のように人のいる時間でなければガラガラなんですよ。それで1人、ぶらついて祭壇に登ったりして、そういうのがとても好きでした。中学校の時、何かのキャンプや団体でどこかに行くとき、初日に夕飯を食べて寝る時間に、時間が宵の口になって、気候が肌寒いくらい涼しく、ちょうど日暮れになると、自分でも知らずに訳もなワクワクして…。とにかくそういう空間に対する記憶が好きみたいです。それでよくこういうスポットライトを当てた空間をつくるみたい…。スポットは照明みたいで、色も蛍光灯の色だから好きじゃないんだけど、でも空間の感じが出るのがスポットライトしかないんです。

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ヨングン:そうなんだ。じゃあ何か問題起こしたり、そういうのはなかったの?
クムビョル:問題起こすような子どもじゃなかった。いい子でしたよ。「ママのために一生懸命生きなくちゃ」そういうのがあって…。私たちの近所が貧富の格差がすごくひどかったんです。習い事8こもする子もいたけど…。「あなたたちは塾に行かせてもらってるけど、私は1人でこれくらいできる」と思いながら、幼い頃訳もなく「私はこれでお母さんの顔を立てる」という思いがあった。その狭い町内で…。そのせいか、悪いことはしなかったと思う。家がちょっと大変ではあったけど、それに対するストレスもなかった。

ヨングン:じゃあ今は?
クムビョル:今はちょっとズレたかな(笑)

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授業時間の学校の廊下、がらんとした聖堂、郊外の岡、日暮れ、そのうら寂しい時間の中の風景を胸に静かに秘めていた子ども。クムビョルの展示会場で感じられた多くのものが幼い時代のクムビョルにも流れていたようだ。
本格的に制作についての話をしてみることにした。クムビョルと僕は弘益大学アニメーション科卒業同期で、僕はイェヨンと一緒に『お散歩いこ』をつくり、クムビョルは『The note』をつくった。クムビョルはその後、弘益大の大学院の絵画科へ進学し、主に展示中心の活動を続けている。クムビョルとは趣味がよく合う方なので、今までお互いに助け合ったりしてきたが、考えてみたら、こんなに深い話を交わす機会は意外にも多くはなかったようだ。


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「お散歩いこ」キム・ヨングン、キム・イェヨン
/ 2009 / 0:08:57 / Clay, 2D, Cut-outs
入院しているお姉さんのために視覚障害者のヨンガンは立体地図をつくる。
お姉さんの手をとり仮想の地図の上へ散歩に出かける。
美大生と視覚障害児が歳月をかけてつくりあげた感覚的映像表現。
★花コリ2010で上映 大阪・名古屋ゲスト来日


ヨングン:学生時代、考えて見れば君の課題作品、いろんなスタイルがあったような気がする。
クムビョル:私が本当に作品を意識し始めたのは3年生の時に、ユン・サン(윤상:作曲家)氏のミュージックビデオを制作してからみたい。大学に入ってからは遊びすぎて、自分が一生絵を描いていくだろうとは思わなくなった。「なんで、美大に来たんだろう?」と思いながらアイデンティティーの混乱を感じたり、モーショングラフィッカーになろうと思った。
でもその時、ユン・サン氏がちょうど韓国に一時帰国していて「お金は正直、あげられないけど、アーティストとして一緒にやってみよう」と言われて制作した。制作してて、とっても幸せだった。初めて、「あ、これ、私に合ってるみたい」と思った。
でも、その時は初めてだったから自分が何をしたいのかよくわからなかったし、それに4年生まで悩んでから、いよいよ本当に「自分のもの」だと初めて思えたのは卒業制作で出たみたい。それでその根拠を大学院で探そうとしたみたい。まだ今まで作った中で、本当に「自分のもの」は卒業制作しかなかったみたい。その次に制作したものは、しょっちゅう展示会があって、短く、実際問題ただの課題ですね。でもそんな感じでつくってみると、今年に入ってからは、考えがちょっと整理されたみたい。

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ヨングン:君はもともと、色をうまく使うよね。僕の作品には色がほとんどないみたいだ。
クムビョル:共同制作や、仕事で入ってくると、一応ターゲットがあるじゃない?
そうすると大衆に好感を持たれた方がいいから、そういう時、色を使うみたい。

ヨングン:じゃあ、今の作品のターゲットは君自身のため?
クムビョル:ええ。まだ色を使う段階ではないみたい。これだけでもコントロールするものが多いのに、色まで使ったら自分の伝えたいことをうまくできないかも。私はストーリーで伝えるより、要素で伝えるのが楽だから、色が入ってくることに意味がないと使えない気がして。それに私は虹色が好きなんです。でもそれは誰が見ても本当に対象を考慮した、綺麗な色という思いしかない。あえて使ったら、色があまりにも多くて複雑で、まだそれを使うには、私には赤も、黄色も分からない…。だから使わないようにしてる。まだ線もやること多くて。怠け者だし。

ヨングン:僕の場合は、自分を定義付ける時、過去の作品や自分の中に残っている傷あとを見たりする。僕、よく怪我するじゃない?足も折れてて、傷あとも多い。その傷あとの中にその時の状況が残っていて忘れられないんだ。例えばこれは(といって親指の傷跡を見せる)1年生の時、友達が飼っていた犬がひかれたときに助けようとして咬まれた傷なんだけど、これを見るとその時の瞬間の臭いまで思い出すんだ。
クムビョル:私もそう。完全に消えない。

ヨングン:君の作品を見ると、時間の中に残っている痕跡をレントゲンで撮ってるかのように撮ったもののように感じる。
クムビョル:実はあまり言わないんだけど、そういう隠喩はすごく普遍的な隠喩じゃない?私の作品見て、「何言ってるんだ、難しい」って言う人いるけど、別に大した話じゃないのよ(笑)

ヨングン:だから、今まで君がどんな風に生きてきて、どんな風景が好きなのか聞いてみたんだ。もちろん過去を思えば誰でも色褪せた感じだけど、でも輝いていた瞬間もあったはずで、カラフルな思い出もあったはずなのに、君にはなぜ一様に乾燥した感じが残っているのか気になった。でも話を聞いたらそういう記憶が残っているというよりは、君が今はその部分に集中している段階なだけのようだね。
クムビョル:そうです。カラフルで、鮮やかなものにまではまだフォーカスが行かないようで、こんな風に残った状態自体にだけ、集中しました。それに幼い頃から「これで生きなきゃ」と思って絵を描いてきたのではなく、辛い時逃避でたくさん描いてきたからそういう習性が残っていたりします。実は個展をしてから、そのせいですごく悩んだんです。「なんで自分は頑なに暗くなければいけないのか…」その頃の感情は率直ではあるけどこれから発展するためには自分個人の鬱憤晴らしとしてだけではいけないと思う。また、制作中に、どっかで見たことあって、ちょっとでも似ていると思ったらそれを捨てるんです。そしたら、やることなくなっちゃうんです。それで悩んでたんだけど、でもちょっと悟ったものが…。結局これからはどうせ新しいものはなく、これをどれだけ内化して再解析して、これを進化させるのかが問題なんです。それで一応やってみて、まったく同じモノだったら捨てて、でも何か違う話が少しでも出ればやってみよう、って、思ったよりも行ける感じで。思ったよりみんな連想しなかったりもして、まだ私が模索過程だからかもしれないけど…。自伝的な話をすることに対してもたくさん悩んだ。限界があるじゃない?だから意図的に大衆芸術をたくさん見てまた感じるモノが、私が本当に強烈に経験した話をすればすべてそのまま通じる…。限界をおいといて見ると、今までこれといってやったことがないことが問題だったんです。だからこれからは一生懸命生きながら、何か狂ったように作って、だめなら、その時止めよう、と思います。

ヨングン:僕は最近10cm(シプセンチ:2人組のインディーズバンド)の歌詞を見ながら感じるのは、勿論歌詞にはいろんな形があるけど、確実に個人的で、ディテールが入ってるほどよく共感できる。
クムビョル:ええ、不思議だけど、本当に極めて個人的であればあるほど、もっと強烈みたい。

ヨングン:それに歌詞がシンプルでも叙事構造があれば強く伝わる。
クムビョル:そうみたい。叙事構造についてもよく考える。すごく魅力的だけど、私は隠そうとする傾向があって、コンセプトと内容は食傷するのに、叙事構造は違うみたい。みんないかにもな話と思われたくなくて…。関心のある人にだけちょっと分かるように…(笑)。でも展示してみると、映像1つ1つにはストーリーは入れなかったけど、みんな集めるとストーリーが表れる。だから次回は今までしてきた展示を丸ごと集めて、1つの壁に1つのシーンになるようにやるのも考えています。

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特有の微妙で相変わらずの姿で、遅いが確固たる一歩を踏み出している、と思った。
まだ自分の内面にだけ集中しているものの、それが留まっているのではなく、1歩1歩控え目に進んでいる過程なのが分かる。
クムビョルが描いている自身の未来がどんな姿だろう?


ヨングン:君にとって、絵を制作する時とアニメーションをする時とでは特に違いはないんだね?
クムビョル:ええ。最大限リンクするよう努力してます。違いをなくしたくて。

ヨングン:展示と映画祭はどう違う?
クムビョル:実は映画祭はちょっともどかしい。人が多いから良いんだけど…。自分の作品を映画祭で見ると弱い。ストーリーもなくて、ランニングタイムも短く、スポットライトに合わせてオリジナルを強くつくります。だからそのままスクリーンで見ると、その微かな味がちょっと落ちます。だから映画祭では「映画祭」より、お祭り自体の方が好きです。一方展示はその雰囲気があるのは良いけど、映画祭ほどのスケールがない。私の作品が雰囲気のある空間で映すのはいいけど、今は小さい所だけだから満足できない。

ヨングン:じゃあ、君の夢見る形態は?
クムビョル:人が私の作品を見て、ぼーっとしたらいいな。完全に没頭して…。時々そういう反応があります。「君のは難解すぎて」と言う人もいるけど、展示会場にいると心が穏やかになる、中に何かがある、という話を聞く時があって、そういう時気分がいいです。こういうことを言葉で表現できる哲学が本当に多くて。論文でそれを早くやれば、私も整理できると思うんだけど。今は曖昧に言う面がありすぎて…。

ヨングン:これからも作品制作していく?
クムビョル:制作しないと病気になりそう。だからちょっと心配。お金は何で稼がないといけないか?いい人見つけないと?…(笑)。

ヨングン:君は芸術家として成し遂げたいものはある?
クムビョル:ちょっと子どもっぽいけど…。年は26(2011年当時)だけど、そういうマインドは高校生みたいです。

ヨングン:その夢は何?
クムビョル:巨匠になりたい。それが何の巨匠かは分からない…。子どもの頃からアカデミー賞で受賞するっていう想像してたの(笑)

ヨングン:”一番”のどんな面が良くて?
クムビョル:お金とかそういうのを置いといて、何より順序がいいということは完全に上水でしょ、上に流れる水。その時に住んでいる人はわからないけど、未来のための文法を作る人だと思うんだけど、その波及力になるのが格好いいと思います。同時代の流行を追いかけるのもいいけど、トレンドセンターがあるでしょ、一番上にあるどんな巨大な…ルイヴィトンやシャネルや…これ以上ベンチャーマーケティングできない企業は現代美術にそういうのをたくさん持ってきたんです。そういうのがとてもかっこいい。だからこの次にある何かのために…。

ヨングン:影響力?
クムビョル:ええ、物質的な影響力は分からないけど、精神的な影響力を及ぼすことはすごくカッコいいと思う。人が誰かに影響を及ぼすのを見ると、その人がうるさいとか静かとかそういうのをおいて、その人をかなり高く評価するみたい。隣の人を染められる人がいるじゃない。そういう人たちがかっこいいと思う。でも重要なことはがんばってもだめ。

ヨングン:そうなったら、世の中をどんな風に染めたいの?
クムビョル:どんな影響をどんな風に与えたいかっていうのはないです。私が持っているモノが必ずしも正しいモノでもなく、誤ったモノでもないけど、とにかく、横の人に影響されるじゃない?もちろんいい意味で染まればいいけど。どんな風に染まるかはよく分からない。どうせ人によって違うから。

ヨングン:次の作品は準備してる?
クムビョル:いいえ。でもこれから何をしたいかは、ちょっとわかってきたみたい。

ヨングン:『The note』と脈絡がつながる作品かな?
クムビョル:ええ。『The note』から今まで脈絡がつながってる。だから新しくつくるにしろ、あるものをつなげるにしろ、それをリンクするのやってみようかな。でも私、きちんと積み上げる方じゃないから、ぎりぎりにならないと。やる時に没頭する感じ。ユングンはコンセプトからしっかりやるじゃない?でも私は一旦絵を描かないと。制作するときに素材がぱっと見つかれば、そこで企画しないとだめだけど、ただその場で作りながら変えたりしながらやらないとだめ。目に見えないと。

ヨングン:今度(2回目:1回目も参加している)もインディ・アニフェストのリレーアニメーションに参加するって?
クムビョル:ええ。負担にはならないけど、適宜な活力の源、ちょうど良い緊張感ができるみたい。何かやることがあるという感じ。今回はコンセプトが面白いの。「水」なんです。その代わり、前と後ろをちゃんと合わせるの。

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16時からKIAFAの人たちを含め、多くの知り合いが展示会場に来るといい、ギャラリーのお客さんがよく見えるところに座って世間話(主に音楽の話)をしながら待っていた。静かで大人しいクムビョルがスリップノット(米国のヘビメタバンド)を好きだというのも不思議だった。(クムビョルが部屋で一人ヘッドフォンをしている姿を想像したりして…)最近はイギリスのダブ・ミュージシャン、ジェイムス・ブレイクを好んで聞くという。高校の時、ユ・ヒヨル(유희열)の『音楽都市』を熱心に聴いていた僕は最近ユ・ヒヨルのラジオ天国を好んで聴くというクムビョルとは、けっこう音楽的趣向があってると思った。しばらくして、彼女の知り合いが一人、二人と到着するとインタビューは終わった。
今まで、クムビョルと仲がいいと思ってきたが、こんなに多くの話をしたのは初めてだった。似た道を歩く人と深い話ができるというのは、本当に楽しくてありがたいことだと思うと帰り道、足取りが軽くなった。

KIAFA CAFE(2011年5月18日)より

★展示でのライブの様子が動画で見られます。
「Hugging Your Flow, Hwangbo Kumbyul」(4分)
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