花コリ2018大阪会場『星が輝く夜に』イ・ジョンフン監督トーク録

大阪会場スペシャルイベントその2 イ・ジョンフン監督トーク
日時:4月7日(土)13:30~短編プログラム2上映終了後
会場:PLANET+1(パイロットビル2F)
ゲスト:イ・ジョンフン 이종훈 LEE Jonghoon (『星が輝く夜に』監督)
通訳:田中恵美

180408-02hp.jpg


チェ・ユジン(以下ユジン):こんにちは。チェ・ユジンと申します。
お客さんから質問を受けていこうと思っています。
皆さんが質問を考えている間に、まず私の方から、簡単な質問をしたいと思います。
この作品をつくったきっかけを最初に聞きたいと思います。

イ・ジョンフン(以下ジョンフン):思い出をテーマにした作品を作ってみたいと思いました。人間というのは時間が経っても変わらない愛というものもありますし、そういう気持ちを思い出を通して表現してみたいと思いました。



2017TheStarryNight.jpg
「星が輝く夜に/ 별이 빛나는 밤에 / The Starry Night」
イ・ジョンフン 이종훈 / 2017 / 09:05 / 2D, 3D
星が輝く夜、老人と愛犬ブラックは荷物をまとめ、故郷へと思い出探しの旅に出る。
お酒を飲んで、通りを駆けて、潮風に誘われてビーチまで降りてきた老人とブラックは、静かな夜の海でひとりの女性に出会う。

Director's note
世界の無数の作品が「愛」について語っています。今この瞬間にも、それらは途切れなく作られているでしょう。それはおそらく、私たちは皆、愛しながら生きていくしかないからです。『星が輝く夜に』は、過去にくるおしく女性を愛した老人が、人生を整理していく過程を通じて、時間が経つにほどに、忘れること以上に鮮明になっていく「愛」について、語りたいと思いました。

インディ・アニフェスト2017学生部門優秀賞
インディ・アニフェスト2017音楽サウンド部門特別賞






ユジン:この作品は卒業制作で作ったとお聞きしていますが、卒業制作では自分の経験を話にする人が多いと思うんですが、自分が経験したことではないことを話にしたのは、なぜか聞きたいと思います。

ジョンフン:結婚はしていないんですが、2回ほど別れを経験しています(笑)。だから作れたのではないかと思います。

ユジン:お客さんの中で、質問したい方がいましたら…。韓国でも最初にする質問は皆さん怖がるんですが。

CO2小川:監督の作品は、絵がとても可愛いのですが、すごくうまいといいいますか、しっかりデッサンを勉強してこられた方のデフォルメだなと感じたのですが、絵画の勉強をもともとされていたのでしょうか?

ジョンフン:背景の絵について言えば、私のスタジオで、もう一人アートディレクターと一緒に作っていったんですが、彼がいわゆる絵画専攻というのではないのですが、非常に絵で表現するのが得意な人なので、上手に表現することができたのではないか、と思います。
私は4才の頃から絵を描いてきたんですが、アニメーションとして動きをきちんと表現するためには、もとになる画力や描写力、デッサン力が非常に大事なものだと考えていて、絵画の専攻で勉強したわけではないのですが、クロッキーですとか、より良く動かせる絵を描く勉強というのは、たくさんしてきたと思います。

ユジン:4才から絵を始めたというのは、どういう意味ですか?

ジョンフン:最初は、普通に子どもがやるように壁やカレンダーの裏とかに落書きをどんどんしていくような子どもだったんですが、親が幸いにもそういうことを、ダメだと言って止めずに、好きなようにもっと描いたらいいと言って、絵具とクレヨンや紙とかをたくさん買ってくれましたし、絵画教室にも小学校の時から通わせてくれました。

ユジン:先ほど、背景は他のスタッフが描かれたということですが、キャラクターはもともと監督のオリジナルのものなのでしょうか?

ジョンフン:この作品に出てくるキャラクターや背景等の絵のスタイルですが、私は直線的な描き方というのは、あまりしないで、できるだけ曲線を使って、柔らかく柔らかく表現していこうと心掛けて作ってきたのですが、キャラクターに関しても、背景に関しても、基本となる曲線のスタイルですとか、絵の調子というものは全部、私が整えて、さっき話したアートディレクターというのは、それを具体的なものに発展させるという役割をしてもらっています。

質問者1:すごく完成度の高い作品だと思いますが、最初からこういう形で作っていったのか、それとも考えながら変わっていったのか?

ジョンフン:全体的な物語の流れというのはプリプロダクションの段階で、きちんと決めていました。大きな流れは最後まで、最初に作って、例えば場面を入れ替えたりですとか、そういう編集上での細かい変更というのは、その都度やっていました。ただ、物語自体の流れは、最初に、こういう流れにしようと、はっきり決めていました。

質問者2:韓国の作品にしては珍しく、国外の、地中海あたりを連想させるのですが、そういったものを選んだ理由というのは何なんでしょうか?

TheStarryNight02.jpg

ジョンフン:韓国でも、そういった質問をたくさん受けました。
この作品に必要な要素としては、まず浪漫がある絵でなくてはいけないことと、美しくなければいけない、と、それらの要素を考えた時に、島のような場所がよくて、例えば、海がぱーっと広がっているような、そういう抜けた感じの風景を表現の中に入れたらいいのではないか、と思い、いろいろ舞台の設定を考えました。それで、考えていくと地中海のギリシャのサントリーニ島の辺りの風景が非常に自分の考えている物語に合っているのではと思って、その島にあるような要素というものをいろいろ入れてみました。

ユジン:行ったことは?

ジョンフン:行きたいんですが、ないです(笑)

ユジン:花コリのチラシの監督写真では、犬と監督と海が写っているんですが、この海はどこですか?

LEEJonghoon_DirphotoHP.jpg


ジョンフン:韓国の束草(속초/ソクチョ)という、東側の、日本海側に面している方の、平昌(ピョンチャン)オリンピックをやったところの近くですね。束草(ソクチョ)というところの海です。

ユジン:この写真は、作品を意識して撮ったものですか?

ジョンフン:話の中にでてきたおじいさんのようにヒゲを生やして、いつかあんな風になれたらな~という願いがあります。

TheStarryNight01.jpg

ユジン:がんばってください。

質問者3:主人公は、いつも楽器を持っていて、いろいろと上手くいかないことがあったみたいですが、最後まで楽器と犬と一緒にいて、それが彼の癒しになっていたのかもしれませんが、監督自身は、人生の中で、楽器なり音楽がある程度の重要な位置を占められていますか?

ジョンフン:「伴侶動物」と韓国では言うんですが、いわゆるペットですが、自分の同伴者として自分の人生に必要なものだと思っていますし、話の中の、あの老人にとっては、音楽が自分の気持ちを表現できる唯一の手段として楽器を持たせています。私にとって、ここでの楽器のような存在になるのが絵を描くことであったりアニメーションであったりすると思います。本当は楽器もやりたいけれど、上手にできません。

ユジン:音楽の話が出たので、少し付け加えますと、インディ・アニフェストでは音楽サウンド部門特別賞というのがあって、この作品は学生部門優秀賞と一緒に、音楽サウンド部門特別賞も受賞しています。音楽がとても綺麗ですが、音楽はどうやって作ったのか、教えてください。

ジョンフン:実は、私は韓国芸術総合学校が出身なので、音楽科の学生もいまして、この作品でギターを弾いてもらっているのは、その時に出会った音楽科のクラシックギター専攻の友人です。ネパールでボランティアをやっていた時に出会って、彼が演奏している所をみたんですが、そのクラシックギターを演奏している姿というのがとても格好良かったんです。
こんな作品をやるんだけど、と、作品の企画を見せたら、その友人が、ぜひ音楽で参加したいということで一緒にやりまして、この作品にポルトガルの民族歌謡でファド(fado)という音楽を取り入れてはどうか?というのも彼が提案してくれました。

ユジン:音楽制作は、どうやって作業したのですか?作品を見せて、それに合わせて作られたのですか?
音楽について話しながら一緒にやったのか…。

ジョンフン:音楽を先に作ってもらった部分もありますし、絵が先の部分もあります。絵が先である時は、先に場面のイメージを見せて、ここはこういう感情を表現したいということを話して、合わせて演奏してもらいました。最後に物語の中で実際に演奏をする場面ですが、あそこは先に演奏をしてもらって、録音しながら自分がその場面の動画を撮って、それを見ながら合わせてアニメートしました。

質問者4:韓国の作家さんは、どのような作品の出会いから、自分自身の作品を作ろうとお考えになるようになったのでしょうか?どういう作品、作家の出会いが、自分の作品を作ろうという選択を選ばせたのでしょうか?

ジョンフン:子どもの頃、ディズニーの番組を観て育ちました。ジブリのアニメーションを知るようになり、ジブリを越えてやりたい、と誓いました(笑)。

ユジン:好きな作家は?

ジョンフン:たむらしげるさん、それから宮崎駿さん。スタジオ4℃
一番美しいと思った作品は『千と千尋の神隠し』です。

ユジン:最後にこのイベントの感想を…。

ジョンフン:韓国でも、上映して、こうやって観客の皆さんと出会って、話ができるのは非常にありがたいことなんですが、アニメーション大国と呼ばれる日本で、自分の作品が上映されて、このような場が設けられたことが、とても恥ずかしいと思うと同時に、とてもありがたいな、と思っています。また、このように日本での巡回上映ですとか、韓国の作品が紹介される機会が、これからも長く続くことを願っています。

ユジン:これからの作品の計画は?

ジョンフン:たくさん計画はあるのですが、仕事もしなければいけないんですが、もう少し短編の作品を作りたいというのと、ゆくゆくは長編もやってみたいので、それを目指すというのが今の夢です。

ユジン:VCRWORKSという作家のグループのスタジオがあるんですが、そこで一つの作品を作りながらCMや映像等、いろいろな商業のアニメーションを仕事として、しているので、本当にいろいろな形で、短編とか上映会やCM等で、いろいろな所で、彼の作品をこれからも観られるといいなと思っています。

花コリ2015で上映した『Dis COVERS』もVCRWORKSに所属するキム・ボソン監督作。
A02_DisCovers.jpg
「Dis COVERS/디스커버즈」キム・ボソン/2014/3:47/
1965年から、ナップスターが登場した1999年までの音楽アルバムのジャケットが、連続的に描かれる。

Director's note
音楽との接点やスタイルが変化した現在において、
過去のスタイルのアルバムジャケットが無作為に繋がるよう、作品を構成した。



イ・ジョンフン(『星が輝く夜に』監督)
1988年にソウルで生まれ、加平郡大成里で幼年時代を送る。4歳から絵を描き始め、アニメーション監督になることを夢み、韓国アニメーション高校アニメーション科を卒業、韓国芸術総合学校アニメーション科を卒業。2015年大学の同級生とVCRWORKSというアニメーション/出版スタジオを創業し、絵本出版とアニメーションの制作をしている。2005年短編『夢想の歩み몽상걷기』制作、2008年短編『my ball』制作、2017年短編『星が輝く夜に』を制作。 人生を盛り込んだアニメーションは、多くの人々の心を動かすと信じている作家である。




関連記事
スポンサーサイト

tag : 花コリ トーク録