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インディ・アニフェスト2016受賞作審査評

国内一般コンペ、学生コンペ部門
本選審査委員はキム・デチャン(Tooniverseコンテンツ事業部長)、イ・ウォンジェ(CGVアートハウス・プログラマー)、ファンボ・セビョル(花コリ2015東京会場ゲスト『デフラグ』監督)、ファン・ヘリム(ドキュメンタリー、インディーズ映画監督)の4名でした。

<国内コンペ総評>

2016年インディ・アニフェストの作品を審査する過程は、全ての審査委員にとって本当に興味深く幸せな時間でした。一般コンペ(独立歩行)に出品された22編、学生コンペ(夜明け飛行)に出品された 24編の作品一つ一つから、愉快な発見と驚きの瞬間をプレゼントされたし、笑いと感動、また何かを考えさせてくれたからです。

個人の私的な経験または内面世界を纎細に盛り出したり、暴力や差別などの社会的問題に対する真摯な視線を表し、共感を与える作品にも出会え、アニメーション特有の動きとイメージの魔術、再起溌剌とするアイディアやユーモア感覚が引き立つ作品にも出会いました。独特な作家的個性を表わすさまざまなスタイルと想像力、商業アニメーションの現場で適用しても劣らない技術と大衆的な感覚を見せてくれる作品も見つけることができました。

受賞作で選定した作品は、このような要素の選んだ配合や、少なくともある一地点でその卓越した点を見せたと思える作品です。”独立”、”‘実験”、”情熱”、”ビジョン”というインディ・アニフェストの志向を基にして韓国インディーズ・アニメーションの現在を振り返り、どういった価値を粘り強く支持し、どういった変化の流れを包容しなければならないかという論議も長かったです。商業的資本の秩序の中で具現化されにくい作家的視線と想像力とスタイル、これを伝える自分だけの話法を探し求めるインディーズ・アニメーションの本質的美学に充実しようとすると同時に大衆との疎通に苦戦した作品を支持することはもちろんです。同時に、特に学生作品を含み、商業映画の話の構造やジャンル的慣習など大衆的な文法を賢く借用して変奏する試みが粘り強く増えている最近の趨勢を、もう少し開かれた心で眺めようとする悩みも授賞結果に反映されたと思います。

ありがちのような言葉ですが、このように主題も、形式も、それによる感動と楽しさも色とりどりな作品の中で何作かの受賞作を選定することは楽しい苦悶でもありました。受賞可否を別にして簡単ではないアニメーション制作環境と条件の中でも堂々と”独立歩行”して制作に邁進し、アニメーションの多様性と想像力の領土を広げて行く出品作家の皆さんに、心より感謝と惜しみない応援をお送りします。

(本選審査委員を代表してファン・ヘリム)

*日本語のタイトルは変更することがあります。
*作品のリンクは映画祭の作品詳細にリンクしています。


■大賞:インディーの星
『父の部屋/아버지의 방/MY FATHER'S ROOM』 チャン・ナリ 장나리 JANG Nari

MY_FATHERS_ROOM.jpg

大賞に選定されたこの作品は家庭内暴力を経験した女性の記憶と、傷の中に深く掘り下げて成長期のトラウマとその影響下に置かれた内面世界を描き出したアニメーションです。家庭内暴力という社会的問題に対する真摯な省察はもちろんのこと、暴力の主体に対する恐怖と憎悪、それにもかかわらず、ふるい出すことができない憐愍と絆感に至る複雑で抽象的な心理的風景を視覚化するアニメーションらしい想像力と作画の完成度が引き立つ作品です。また大人になった後にも残っている傷の深さを、勇気をもって直視しながら表わす真率なところが審査委員、皆に胸がつまる余韻を残した作品でもあったため大賞として選定しました。

(本選審査委員ファン・ヘリム)


■独立飛行賞(一般部門優秀賞)
『사슴꽃/Deer Flower』 キム・ガンミン 김강민  KIM Kangmin

Deer_Flower.jpg

この受賞作は、すべての審査委員が楽しみ、ためらわずに親指を持ち上げながら選定した作品です。一番アナログ的な技法に最新技術を巧みに組み合わせた伎芸、幼い時のトラウマを独特の映画言語で表現した勇気、そして恐怖とユーモア、猟奇と敍情を適切に和え出した映画的感覚。 この他にもこの作品の長所を列挙しようとするとキリがないが、それにもかかわらず、ただ一つの選定理由を挙げようとすると耳にタコができるかもしれませんが”大衆性と芸術性の均衡”です。 いつか劇場で幾多の人々がこの作家の素敵な作品に出会えるのを期待し、この賞を差し上げます。

(本選審査委員イ・ウォンジェ)



■夜明け飛行賞(学生優秀賞)
『Devil Cat』 チョン・ヘウォン 정혜원 JUNG Hyewon

Devil_Cat.jpg

アニメーション映画祭で、その上、インディ・アニフェストで、商業的な性質を持っていたりコメディーの要素の強い作品が、芸術性と作家主義的性質がよく表現された多くの作品の中で受賞することは簡単ではありません。
しかしこの作品はスーパーヒーローものを含んだ一般的な商業アニメーションの影響を受けた点を要所要所で垣間見られ荒削りのままだったにもかかわらず、より魅力的な想像力と演出力で約8分余りの間、観客を引き込ませる力を感じさせました。最近の大衆的趣向を反映した作品は多数目立ちましたが、キャラクターと話の構成、ユーモア感覚など、このように実際に大衆を捕らえる演出を見せる事例は珍しいので賞を与えずにはいられませんでした。

(本選審査委員キム・デチャン)


■審査委員特別賞
空き部屋/빈 방/ The Empty』 チョン・ダヒ 정다희  JEONG Dahee

The_Empty.jpg

この賞は審査委員として、今年特有の傾向を突き合わせ、これを考慮した特別な基準やビジョンを提示しなければならないのではないかと思う負担を感じさせる部門ですが、それでもその負担を圧倒する出来映えと演出の力を見せる作品に出会えました。
この作品は一つの空間に残された記憶と、その軌跡を視覚的に再構成し、誰かが去った空間の情緒を細心に盛りこんた作品です。この空間でともにした思い出の破片を反芻する話し手の観照的な独白と、細密なドローイングを土台にした独特の空間及び空間内のオブジェの演出を通じて残された寂しさと空虚さを卓越に表現した作品であったため、受賞作に選定しました。 すでに多数の映画祭で認定を受けていますが、インディ・アニフェストでもう一度注目しなければならない作家主義的アニメーションの美学と完成度を見せてくれた作品です。

(本選審査委員ファン・ヘリム)


■チョロギ賞(デビュー賞)
『Jungle Taxi』 キム・ハケン 김학현  KIM Hakhyun

Jungle_Taxi.jpg

この作品は深夜のミステリーな雰囲気の中に隠喩的な台詞、象徴と記号でいっぱいなイメージによって展開されます。ごちゃごちゃ散りばめられた曖昧なメタファーはその奥妙な吸入力を持って徐々に徐々に集まって話を導いて行きます。
日本犯罪/幻想小説を連想させる奇妙な雰囲気と超現実的で独特のアートワーク、スリラーとノワール映画のジャンル的演出とアニメーションの象徴性をよく活用しながら一つの作家的作風を作り出したため、これからの作家的な歩みを期待して支持するという意味でこの作品を選定しました。

(本選審査委員ファンボ・セビョル)



■音楽サウンド部門特別賞
『OVERLOAD』 ムン・ビョンソン音楽サウンド監督

OVERLOAD.jpg

サウンドデザインは作品全体の雰囲気を単純鼓吹させるのを越えて作品の呼吸、リズム、感情を導く演出の主な部分でもあります。この作品は宇宙空間を背景にして、一個人の”'孤独”、”'罪責感”、”'恐怖”、”'恐れ”のような複雑な心理描写が引き立った作品です。
制作的な側面で見た時に、”非現実的な空間”や”抽象的な感情”のような言葉で説明するのには複雑な要素はサウンドデザインの作業において難しい作業です。そういった意味でこの作品は難しい作業をよく消化し、その結果、主人公の心理が観客の感情にそっくりそのまま転移されて作品を観るに動じる張りつめた緊張感を感じることができました。
ここに作品の中でサウンドデザインの役目が卓越していたことを認め、受賞作として選定いたします。

(本選審査委員ファンボ・セビョル)


■KIAFA特別賞
『ピアノと子ども/피아노와 아이/Piano and Kid』 イ・ヒョンミ 이현미  LEE Hyunmi

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この作品は愛情の回復についてを扱っています。 初めは良かったが、ある瞬間から逃げるようになり、それでも相変らず懐かしがる、それでまた好きになった時には前より精一杯成熟された成長を見せてくれます。この作品は創作に苦しがる現在の創作者を励ますと同時に、しばらくアニメーションから遠ざかっていた仲間に「いつでも帰って来てもいいよ」というメッセージを送っっています。また今までの韓国インディーズ・アニメーションにがっかりしたり、馴染みのないと感じる観客には「私たちは、またアニメーションと愛に陥ります」というラブレターでもあります。

(KIAFA特別審査委員ナ・ホウォン)


■観客賞(祭の星)
『父の部屋/아버지의 방/MY FATHER'S ROOM』チャン・ナリ 장나리 JANG Nari

MY_FATHERS_ROOM.jpg


■観客審査団賞
『TRUE LOVE』 キム・ヨンジョン 김연정 KIM Yeonjeong

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まず観客の代表としてこの賞を伝えることができ光栄です。アニメーションだけが見せられる映像的楽しさ、実験精神、洞察力のある主題などを取り揃えた立派な作品の中で、一つの作品のみを選定するまでには多くの悩みがありました。良い作品を作ってくださった多くの方々に感謝を申し上げたいです。
立派な作品の中で愉快さがどれくらい観客を圧倒することができるかどうかを教えてくれた作品でした。特に普遍的価値に対する軽くはない問いは、トレンディなユーモアと才覚ある背景音楽や歌詞と調和し、圧倒的な楽しみを抱かせてくれました。



アジアコンペ部門

今年から初めて新設されたアジア部門「アジア路」の審査委員は横田正夫氏(花コリ2015東京会場パネリスト医学博士、博士[心理学])、キム・ヘミ監督(花コリ2016名古屋会場ゲスト『Little King』)、イ・ソンガン監督(花コリ2014大阪会場ゲスト『マリといた夏』)の3名が審査員でした。

<アジア路総評>

アジア路の審査について審査委員ひとりとして講評したいと思います。インディ・アニフェスト2016のはじめての試みである「アジア路」では11の国からの作品が集まり、その中には処女作からベテランの作品までが含まれており、ふだん目にすることのない国からの作品もみられました。いずれの作品もその国の置かれた状況をよく示しており、結果的にアジアの多様性を示すものとなっていました。それらを「アジア路」の「路」が示すようにひとつの「路(みち)」として上映することでアジアの国々の相互理解が深まる方向性を示したことは画期的な試みで、インディ・アニフェストの持つ一つの哲学を明確に示した証として高く評価されます。

(アジア路本選審査委員 横田正夫)

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■アジア路グランプリ
『We make Images』 Nina SABNANI

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今回のインディ・アニフェストのアジア路部門で、私たちはこれまで接しにくかったインドのさまざまな短編アニメーションに出会えました。その中でも一番インドの伝統的な美的世界を見せてくれた作品があります。地域に伝え受け継がれた土着説話を土台にして民間の会話を組み合わせたこの作品は、私たちがアニメーションに魅かれた根本的な理由を思い起こさしてくれます。荒削りではあるが纎細で、派手ながらも淡泊な演出によって、まるで夢を見ているように自然に観客をシャーマニズム的世界観の中に陥らせるこの作品はアジア路部門の最初の大賞作として引けを取らないものです。


■アジア路観客賞
『あたしだけをみて/Look at Me Only』 見里 朝希 Tomoki MISATO

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左から音楽サウンド賞『OVERLOAD』ムン・ビョンソン音楽サウンド監督、KIAFA特別賞『ピアノと子ども』イ・ヒョンミ監督、観客賞及び大賞をダブル受賞した『父の部屋』チャン・ナリ監督、審査委員特別賞『空き部屋』チョン・ダヒ監督、学生部門優秀賞『Devil Cat』チョン・ヘウォン監督、観客審査団賞『TRUE LOVE』キム・ヨンジョン監督、一般優秀賞『Deer Flower』アメリカ在中のキム・ガンミン監督に代わって奥さんが登壇、デビュー賞『Jungle Taxi』キム・ハケン監督の代理登壇した村上寛光氏(映画祭リレーアニメーションプログラムに参加)。

皆さん、受賞、おめでとうございました!
受賞作の上映は、日本の皆さんは、花コリ2017までお待ちください!
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tag : 審査評

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