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花コリ2016東京会場オ・ソロ「Afternoon Class」監督 x 土居伸彰氏トーク録

4月23日(土)18:25- 土居セレクション上映終了後
ゲスト オ・ソロ(「Afternoon Class」監督)
パネリスト 土居伸彰(ニューディア― 代表)

オ・ソロ(以下 オ):はじめまして、『Afternoon Class』を作ったオ・ソロと申します。よろしくお願いします。

土居伸彰(以下 土居):皆さん、おっと思われたかと思いますが、よくあるように日本語で挨拶だけ覚えてきたというのではなく、オ・ソロ監督、日本と深いつながりがあって、日本語を達者に話せるんです。

オ:子どもの頃、北海道と沖縄に暮らしていたことがあり、韓国に帰国し、最近になって12年ぶりに日本に来ました。高級な日本語は話せませんが(笑)。

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土居:インディ・アニフェストというソウル開催のインディペンデントの作家達の作品を上映するフェスティバルがあります。今回の上映は、その傑作選です。僕は去年、その映画祭に招待していただきまして、日本の作品を何本か持っていって紹介上映とトークをしました。その際現地で様々な韓国作品をみて、すごくいいなと思った作品を、今回「懸命に生きる」というタイトルでセレクションさせてもらっています。

★インディ・アニフェスト2015の土居伸彰氏による日本プログラムの様子&映画祭スタッフによる土居伸彰氏インタビュー

土居:韓国のインディペンデントアニメーションの魅力というか特徴といえるのは、私たちが普通に日常で暮らしていく中で、おそらく誰もが感じていくであろう社会での不安だったりとか感情ーー人間関係から生まれるものだったりーー、そういった地に足のついた題材を、生き生きとした人間の感情とともに描くのが非常にうまいというところだと思います。今回のプログラムを観ていただくと、日本人の私たちでも、自分でも何かしら身に覚えのある、わかるという感情を抱くような作品が多かったはずです。その中でも一番最後の『Afternoon Class』は、誰もが学生時代に体験したであろうことを描いた作品になっていると思います。

オ:共感させようと思って作った訳ではなく、僕の経験をヴィジュアル化してみたくてこういった作品を作りました。誰もがそういう経験があるかもしれないですが、眠たいけれど先生がいるから、もうちょっと踏ん張ってみる、でも眠たい、という感情というか欲望が強かったと思うので、それが矛盾というか、それが笑える、眠さと戦って負けて、幸せなオチになる…。

土居:この作品は大学の卒業制作として作られたものなんですよね。

オ:はい、4年生の時に。


■『Afternoon Class』トレーラー

Afternoon Class Trailer (2014) from Seoro Oh on Vimeo.


「Afternoon Class/애프터눈 클래스」2015/03:50/2D
午後の授業、眠気が押し寄せ頭が重くなっていく中で、何とか意識を保とうと奮闘する。

Director's note
学校生活でも特に眠い時間である、午後の授業。眠気が押し寄せて重くなる頭、そして肉体的・精神的に眠気と闘った自分の経験や、皆が経験してきたはずこの体験を、ファンタジーを半分くらい混ぜて描いてみた。


土居:どうしてこういう作品を作ったのか教えてください。

オ:3年生の時に作った作品『ARTIST110』というのがあって、『Afternoon Class』と雰囲気が違って、ちょっとかたくて暗い感じで、ロボットが主人公で人間は一人だけ出てきます。これを作るときは若い勢いで、大作を作って映画祭に招待されたい、皆をおーっと言わせたいと思って、作っていたんですが2、3カ月もすると大変で、完成するだけでいいやと思いました。1年かかったのですが次に作るものは、もうちょっと軽い、肩の力を抜いたものを、楽しめる作品を作ろうと思いました。手描きで柔らかい感じのを作ろうと思い、こういう感じに仕上がりました。休みたいという感情を強く入れた作品だったので、韓国では、男は徴兵制度があり、2年間軍隊に行って疲れたのですが、やはりアニメーションは作りたいと思って…。

土居:ある種ドキュメンタリー的なところがあるわけですね。兵役やら大作の制作やらで突っ走って疲れたところで、「休みたい」という感情が強く入った作品ができあがったと。

オ:今は勉強すべきだ、いや、でも寝たい…じゃあ、寝よう!と(笑)。

土居:そしたら、皆、幸せになると。

オ:先生さえも…。

土居:この作品の面白いところは「眠い」という感情をどう表現しているかというところですね。皆が共存している教室という空間があり、一方で、自分の頭の中の空間がある。眠いけど寝ないようにするときのメタモルフォーゼ、そのアイデア出しというのは、どうやってやっていったんですか?

オ:頭が重くなるという気分、普通に生活していると別に重いという気持ちはないのだけれど、人の頭は実際、ボーリング並みの重さで、眠いと頭が重くなるので、ストレートに重い物質を描いて、眠いけど起きなくちゃいけないという感情をそうやって表現しました。

土居:この作品を最初に観たのはザグレブの映画祭でしたが、とにかく、うまいな~と思いました。「重い」というのを感じさせるには、重力や頭が垂れてくる様子とか、重さをいかに表現するのかが重要ですが、それを実現するアニメーションのうまさが特筆すべきかなと。この作品を作るにあたって、何か参考にしたアニメーションはありますか?

オ:特別に作品があったわけではないですが、技術的に、ヴィジュアル的に普通の頭から何か重いものに変化する、タイミングを色々観察して。バッと起きる時、自分が恥ずかしいと思う瞬間とか。

土居:自分の実感に重きをおいて。

オ:できるだけ、はい。

土居:そもそもなぜアニメーションを作ろうと思ったのでしょう?

オ:実はイラストレーターやコンセプトアーティストを目指していました。脚本やストーリーを考えること自体、僕には器がないと決めかけていたんですが、ストーリーはなくてもデザインはできるかもしれないと思い、それ1本でやろうと思っていたんですが、時間が経つにつれテレビアニメや短編アニメ、映画を観ているとキャラクターが動くのをみて、キャラクターを動かせるのは面白いかも、と思い、高校3年生の時にフラッシュというツールで個人作をちょっと作ったことがあって、それもロボットでしたが。作ってみたら面白くて、短編はストーリーがなくても見せられるんじゃないかと、自分でも作りたいものが作れるんじゃないかと思い、大学に入って、大学でもいろいろ教えてもらって、コンセプトアートや3Dなんかも、ちょっと欲張って全部いろいろなものをやってみて。課題をやったらデビュー作になって…。

土居:学校というのは美術大学ですか?

オ:僕の大学は青江(チョンガン)文化産業大学といって、そこにアニメーション科があって、そこには150人くらい学生がいて、2Dや3D、コンセプトアートと専攻が分かれていて、1年生の時は皆いろいろなジャンルの技術を学んでいます。2Dやりに来た学生は3Dやってみたら、3Dが面白いといって3Dに移った人もいるし、その反対もいて…。僕は3Dに興味があったんですが、昔から手で絵を描くことが好きだったので、2Dの道を歩むことになりました。

土居:大学としてはエンターテインメントの技術を学んでいくところなんですね。

オ:産業的なアニメを作るように学校はしているんですが、その中でもアーティストとして活動する学生もいるので、学校が指示しているわけではなくて人それぞれの目標に分かれています。

土居:その中で興味があったロボットを作ってみようとしたんですね。

オ:昔からロボットが好きで、特に操縦するロボットじゃなく自分で動くロボットが好きで、ディズニー・ピクサーのウォーリーが特に好きで、ウォーリーが出たとき、自分が作りたかったものが出てしまってガッカリしたんです。その時は中学3年生でしたが(笑)。

『ARTIST-110』の全編が上映されました。

■『ARTIST-110』トレーラー(2013)

ARTIST-110 trailer (2013) from Seoro Oh on Vimeo.



土居:大作ですね。3年生の時にグループワークで作ったものですね。

オ:キャラクターとか特殊効果とかは全部自分がやったんですが。アシスタントの手助けがあったので、15分もの作品が作れたんだと思います。
鈍感で力仕事しかできないロボットが絵を描くとどうなるか?絵を描くというのは専門の機関や大学に入るまでは、寂しく感じるものなんですよね。周辺にはそんなに絵を描く人がいなかったり、そういう感情もあったと思います。あまり考えてなかったんですが、無意識に社会的に、ちょっとそういうことも入れたかったのかと思います。人間の管理人も、最初はロボットだったんですが、家族についてのことも入れたくなったので…。

土居:オ・ソロ監督にとって、ロボットの魅力とは何なのかな、と考えさせられます。この作品が描く「意識を持つロボット」というのは、「操縦されるロボット」とは違いますよね。この作品はある意味、人間についての話にも見えます。

オ:ロボットがプログラムされた、ただの機械なのか、それとも意識があって自分で動いているのか、そんな微妙な感じを見せたかった。僕は無生命が動くというのが好きで、特に参考になったのがドキュメンタリーで、火星探索ロボットの話で、最後の任務を果たしたのに動ける時間がまだ残っていて、独りぼっちで火星に残って探索しているという話だったのですが、この話がすごく響いていて、物語ではなく、実際にあった話なんですが。それが感情的にすごく共感できて。僕も、機械は感情を持てるということを伝える作品を作ってみようと思いました。

土居:普段は物を運ぶという仕事をしているロボットが、運んでいた荷物の中にクレヨン、チョークをみつけて、絵を描きはじめる。この展開は突拍子ないものにも思えるんですが、プログラムを組み込まれた時点で何かしら一つの進化というのが始まっていると考えることができる。本来の目的を超えた何が生まれていくという。
『Afternoon Class』の構造は、『ARTIST-110』にも似ていますね。皆が画一的に存在していて、一方で、個人の空間が描かれる。

オ:大学に入る前は、少し寂しい人間だったので、大勢の中で一人寂しいという感情を作品に入れたんだと思います。でも大学に入ると同じ道を歩く人がいたり、自分がやったことを認めてくれたりして、そういうのがとても幸せだったので、作れる技術を得られ、2つの作品ができたんだと思います。

土居:孤独さを孤独さとして受け入れると、ある種の尊厳さえも感じられるようになる。今回2つの作品を観て、オ・ソロ監督の作家性が見えた気がします。そのあたりをテーマに今後も作品を作っていったら面白そうだなと。今後の予定は?

オ:去年大学を卒業して、去年は休んでいて、今は次の作品を企画したり、前から趣味でやっているフラッシュで作った『トランスフォーマー』のファンメイド動画も、完成しなくちゃいけなくて、今はそれを作っているんですが、新しい短編も企画していて、『Afternoon Class』と似ているかもしれませんが、今度は完全に個人的な話で一人だけ出てきます。僕は昔から鼻炎がひどくて、鼻水に関する作品を作ってみようと思っています。鼻水が出たり詰まったり、その苦しみを見せたいですね(笑)。そんなにハードな話ではなくて、楽しめるような、ストーリーは別にないんですが。その作品が終わったら、ストーリーや世界感のある作品も作ってみたいですね。今は一人で作れるものを作ろうと思っています。

■『Squeezing』

Squeezing from Seoro Oh on Vimeo.



土居:実はオ・ソロ監督、YouTubeにチャンネルを持っていまして、そこに話に出たすごくたくさんの『トランスフォーマー』のファンメイド動画をアップしているので、それを一つお見せしたいと思います。

■BUMBLEBEE (1967 camaro) Short Flash Transformers Series


オ:これをシリーズで作ってまして、大学1年の時から趣味でフラッシュで作っていて今も続けているんですが、『トランスフォーマー』の映画に出てくるロボットのキャラクターを全部こういう感じで再現したくて作ったのですが、実は2、3体ぐらい作って終わろうと思ったんですが、キャラクターがいろいろあるので、他の人に、これ作って、あれ作ってと言われ続けて6年作り続けています。ファンも多くなって、You Tubeで広告料がもらえるようになって、お金になってます(笑)。

土居:ものによっては何百万再生とかもありますよね。

オ:そうですね。一番うれしかったのは9歳の息子さんがいるお母さんのコメントで、息子がこれを何回も観て楽しんでいる、というのを読んで、ウルっときて…。これは最後までやめるわけにはいかないな、と思いました(笑)。

土居:オ・ソロ監督、こうみてみると全く得体のしれないキャリアを持った人だということがわかりましたね(笑)。

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オ・ソロ(「Afternoon Class」監督)
2015年青江文化産業大学アニメーション科専攻卒業。「Artist-110(2013)」で2015年Short Short Film Festival & AsiaでFutureCity Yokohama賞を受賞、「Afternoon Class(2014)」はSICAF映画祭公式学生コンペ部門審査委員特別賞、ザグレブ国際アニメーション映画祭で審査委員スペシャルメンションを受ける。

http://oseoro.tumblr.com/
https://vimeo.com/oseoro
https://www.instagram.com/osro_o/


土居伸彰(ニューディアー代表)
ニューディアー代表。新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター。短編やインディペンデント作品を中心に、アニメーションの研究・評論・配給・プログラム選定などを手掛ける。亜紀書房より「ワールドアニメーショントラベルガイド」が今年出版予定。GEORAMA主宰。


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