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花コリ2016名古屋会場KIAFAスタッフ パン・ギス氏トーク録

名古屋会場トークイベントその1
5月28日(土)14:45短編プログラム2「あなたは遠くに」上映終了後
ゲスト:パン・ギス(KIAFA配給チーム)
司会:西村嘉夫(シネマコリア代表)
通訳:田中恵美

160528talk01.jpg

パン・ギス(以下ギス):韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)のパン・ギスです。
西村嘉夫(以下西村):どういったきっかけで、KIAFAで仕事をするようになったのでしょうか。
ギス:KIAFAでは主に配給・上映に関する仕事、例えば上映会やテレビで放送する際の対処をしています。きっかけは、子どもの頃から映画が好きでたくさん見てきて、自分でも映画を作りたいと思ったり、映画に関する仕事をしたいと思ったりして、映画祭に通うようになり、映画祭で働くようになりました。そんな時、チョン・ユミ監督の『Dust Kid/먼지아이』(花コリ2010上映作)という作品を映画祭で見て、韓国の短編アニメーションに興味を持つようになりました。そんな時期、たまたまKIAFAの求人を知り、自然な流れで応募し、KIAFAに入りました。

■「Dust Kid/먼지아이」
 チョン・ユミ/2009 / 10:00 / Drawing, 2D

dustkid02.jpg

寒い冬、午後遅くまでベッドに横になっていたユジンはベッドの上に小さなダストキッドを発見し、掃除をすることにした。
家の隅々を掃除したユジンは他のダストキッドも見つけ、一つ一つ片付けていく。


西村:以前からインディ・アニフェストに行かれていたんですか?

注:インディ・アニフェストは、毎年9月にソウルで開かれている、韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)主催のアニメーション映画祭。「花開くコリア・アニメーション」は、インディ・アニフェストのコンペ部門に応募された短編アニメーションを紹介している。

ギス:いいえ、実は、KIAFAで仕事する前は存在自体知らなくて行ったこともありませんでした(苦笑)。

西村:韓国のアニメーション・フェスティバルには3つ大きいのがありまして、規模的に一番大きく有名なのがソウル国際漫画アニメーション・フェスティバル(SICAF)、二番目が富川国際アニメーション・フェスティバル(BIAF)、三番目がインディ・アニフェストですかね?

ギス:いいえ、インディ・アニフェストが一番有名です(場内、笑い)。

西村:模範解答をありがとうございます(笑)。

西村:作品について解説をお願いしたいのですが、最初の『非正常』という作品が大変ショッキングな内容だったんですが、これについてお話をお願いします。

■「非正常/비정상/Abnormal Things」
ユ・アラム/2015/08:26/2D

C01_AbnormalThings.jpg

街角で次々と起こる異常な事件、そして噛み合わない会話。生まれて初めてひとり暮らしをすることになった女性は、契約書を書くために、引越先の近くのカフェで大家と会っている。見慣れぬ交差点を見下ろし、期待に胸を膨らませているその時、突然次々と起こる交通事故。彼女は驚いて、大家のおばさんに目を向けると…。 

Director's note
この1年間、大きな事故やさまざまな問題が起こった。だがこれまで、互いに充分な対話の時間を持っていただろうか?



ギス:日本でも大きく報道されていて皆さんご存知だと思いますが、セウォル号沈没事件という大変たくさんの犠牲者を出した海難事故がありました。このセウォル号事件は、今の韓国社会を非常に端的に表した事件であるといえます。本来は「事故」というより「人災」に近い事件だったのですが、政府は解決しなければならない人災とは捉えず、単なる交通事故のような視線で捉えた対応をしており、『非正常』はそのことに対する批判を直接的に表現しています。日本のインディーズ・アニメーションの傾向は分かりませんが、韓国の作品は社会的テーマをかかげて、それに対して声を上げる作品が多く、その中でもこの『非正常』は、それを非常に直接的に表現しています。アニメーションを制作するには非常に時間がかかるのですが、この作品は事件が起きてからほぼ1年で完成しておりまして、こうした事件に対する作品がこのように素早くできるということ自体がこの作品の魅力になっていると思います。

西村:作品を見て思ったのは、記者会見のシーンで「確認してから、確認してから」と何度も言っている。福島の原発事故での東電や政府の対応と非常によく似てるなぁ、という印象を持ちました。また、韓国ではセウォル号事件を描いたインディーズ・アニメーションがただちに出てくるのに対して、日本のインディーズ・アニメーションで、福島の原発事故や、東日本大震災を直接扱った作品はあるだろうか?という点が気になり、日本と韓国のインディーズ・アニメーションの違いを表している部分なのかな、という感想を持ちました。

西村:最後の作品『トイレコンクール』も、韓国的な内容の作品ですね。

■「トイレコンクール/화장실콩쿨/Toilet Concours」
イ・ヨンソン/2015/29:59/2D、ドローイング、ロトスコープ

toilet_m.jpg

娘と妻を留学先のアメリカに送り、韓国にひとり残って仕送りをする父親(通称:キロギアッパ、キロギは雁)サンミン。そんな生活も3年目となったある日、会社から辞職勧告を受けてしまう。だが娘と妻は、彼の窮地にも気づかず留学の延長をねだり、さらに妻は娘にバイオリンまで習わせようと言う。サンミンは何とかして辞職勧告を撤回させるため、潜伏中の本部長を捜し、自らの身を投げ出して実力行使に出るが…。 

Director's note
現代を生きる40代の父親の悲哀を、ユーモラスに表現した。


ギス:『トイレコンクール』は、韓国で「キロギ・アッパ」といわれる父親の話で、「キロギ・アッパ」は「渡り鳥のお父さん」という意味でして、子どもの教育のためにお子さんと奥さんを海外に送り留学させて、自分は韓国に残って働いてお金を稼いで子ども達の海外の生活を支えているという、そういうお父さんの姿を描いています。「キロギ・アッパ」は韓国のものすごい教育熱を端的に表した社会現象であるといえます。この作品では非常にコミカルに描かれ、ポジティブなエンディングになっていますが、実際にはこれに伴う社会問題が起きています。韓国的な内容でもありますが、その一方で非常に普遍的な家族愛も描かれており、色々な人が共感できる作品になっていると思っています。

西村:こちらの作品は短編アニメーションでありながら、劇場で一般公開されたと聞きました。その経緯をお聞かせください。

ギス:私どもでは「劇場公開プロジェクト」といって、KIAFAが配給している作品を劇場公開していこう、という長期的な取り組みを行っています。昨年もハン・ジウォン監督の短編をオムニバスにして、『思ったより澄んだ/Clearer than You think/생각보다 맑은』というタイトルの長編作品として劇場公開しています。

注:『思ったより澄んだ/Clearer than You think/생각보다 맑은』は新千歳空港国際アニメーション映画祭2015で日本初公開された。ハン・ジウォン監督の短編『Kopi Luwak』(花コリ2011上映作)、『学校へ行く道』(花コリ2014上映作)のほか、新作短編2作が収録されている。

■『思ったより澄んだ/Clearer than You think/생각보다 맑은』劇場用ポスター
ハン・ジウォン
ClearerThanYouThink.jpg


ギス:実は『トイレコンクール』はインディ・アニフェスト2015で3つの賞を受賞しています。一般部門優秀賞、観客賞、観客審査団賞(2015年より新設)、そのうちの2つは観客がこの作品を支持して選んだ賞なので、この作品は多くの観客の支持を得られる作品だと判断しました。そこで劇場にかけるには30分という短い作品ですが、この作品ひとつで劇場で公開できるのではという期待を込めて、劇場で単独公開しました。ソウル、地方も含めて、全部で5つの劇場で公開しました。観客動員数は必ずしも多くはありませんでしたが、今後私たちが劇場公開の活動を続ける上で、とても意味のある経験をしたと思います。このような我々の事業をみて、他の監督からも「自分の作品も公開できないか?」と問い合わせが来るようになったからです。『トイレコンクール』のイ・ヨンソン監督は、今、長編を制作中でして、この作品を劇場公開できたというのは、監督にとっても非常にいい経験になったのではないかと思います。

西村:こちらが、昨年のインディ・アニフェストのポスターで、このメイン・イメージが今年の花コリのチラシの表紙になっています。KIAFAは、インディ・アニフェストを開いて、そのコンペティション部門に韓国全土から短編アニメーションが応募され、グランプリ等の賞を授けて、それを劇場公開まで持っていくという事業をしているわけですが、今年、新しいチャレンジをされると伺いました。それについてご紹介ください。

■インディ・アニフェスト2015ポスター
poster2015.jpg


ギス:インディ・アニフェストは今年9月の開催で12回目を迎えますが、アジア各国のアニメーション作家からの応募を受け付ける「アジア・コンペ部門」を設けることにしました。インディーズ・アニメーションのネットワークをアジアにも広げて行きたいと思っており、また、これまで築いてきた日本や他の国とのネットワークを信頼し、今回こういった公募を行うことになりました。

西村:壮大な計画なのですが、例えばインディ・アニフェストに日本人が応募して、その作品が今度はアジア(日本では花コリ)で巡回上映されていく、というようなことが起こるかもしれない、将来的に夢のあるお話しですよね。ひょっとしたらインディ・アニフェストをきっかけにアジア・デビュー、世界デビューできるかもしれませんので。インディ・アニフェストは、アジアのインディーズ・アニメーション界におけるハブ空港の役割を果たすようになるかも知れないですね。

西村:パン・ギスさん、実は外国にいらしたのは今回が初めてだそうです。こういったトークも全然したことがないということだったので、短めの時間設定にしたのですが、どうしてどうして、色々と面白い話しをありがとうございました。来年もぜひ名古屋にお越しください。

ギス:本当に、ぜひ、また来なくては!と思っています。今回、仕事で来ることになりましたが、こうしてアニメーションに関心のある皆さまと上映会を行うことができましたし、観客の皆さまにも直接出会うことができましたし、本当にいい経験になったので、来年からも名古屋は自分が行けるようにしてほしいと、チェ・ユジン事務局長に頼もうと思っています。




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tag : 花コリ KIAFA 韓国 トーク録 名古屋

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