インディ・アニフェスト2015受賞作審査評

2015年の本選審査委員はカン・ミンジ監督(『Natural Urban Nature』)、メン・スジン氏(全州国際映画祭、DMZ国際ドキュメンタリー映画祭プログラマー)、ソン・ユンドゥク(大邱インディーズ映画専門館代表)、トム・ムーア監督(『The song of the sea』)、マックス・ハットラー(ニューメディア映像作家)の5名でした。

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左から閉幕式司会をしたスタジオYOGのキム・ヨングン、イェヨン監督、観客賞及び一般部門優秀賞をダブル受賞した『トイレコンクール』イ・ユソン監督、デビュー賞『心鏡』キム・スンヒ監督、学生部門優秀賞『アフタヌーンクラス』オ・ソロ監督、大賞『Little King』キム・ヘミ監督、KIAFA特別賞『繭』ヨ・ウナ監督、審査委員特別賞『環』キム・ジュンギ監督、音楽サウンド賞『環』キム・ドンウク音楽監督。

*日本語のタイトルは変更することがあります。

<総評>
今年、本選に上がった独立歩行(一般部門)と夜明け飛行(学生部門)の作品を審査をする際、審査委員の中で多くの意見が割れたり合わさったりしました。
作品の面々をみるとネラティブに.が充実した作品もあり、キャラクターの心理や作家の内面世界を通じて観客と疏通しようと試みる作品、そしてアニメーションそのものが持つ楽しさと感動を伝えようとする作品など、さまざまな作品がみられました。
いくつかの作品の場合、審査委員の間で激しい対立があったり、ある作品では皆の意見が一致した作品もあり、その位多様な作品が第11回のインディ・アニフェストを編み出したと思います。
独立歩行(一般部門)に出品した作品は、作家的な力量を感じることができる作品が多かったです。 新しい挑戦と実験をする作品を通じて国内のインディーズアニメーション監督のアニメーションに対する真摯な接近に対して拍手を送りたいです。
夜明け飛行(学生部門)の作品は、まだ学生の身分ではありますが、いくつかの作品はすぐれた力量を見せてくれる作品と向かい合うことができて何よりも幸せでした。 また様々な主題意識を込めた、私達の社会が持っている問題点に対して語る新人監督の目は、インディ・アニフェストを愛する観客そして先輩アニメーション監督に少なからず反響を与えたはずだと思います。
様々な作品ほど審査委員は多く悩み、受賞作選定にどの年よりも多くの時間がかかったということが分かっていただければと思います。
受賞した作品に祝辞を送り、独立歩行と夜明け飛行の監督が第12回インディ・アニフェストでもっと多様な作品を伴ってお会いできるのを心待ちにしております。
(本選審査委員を代表してソン・ヨンドゥク)


■大賞:インディーの星
『Little King / 배다리뎐』キム・ヘミ

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作品を作る一人として、今回の審査を通じて良い作品に出会い、受賞作を選ぶことができるということは楽しくて光栄な事であったが、すべての監督の情熱と努力がよく分かるで審査が難しく、気を悩む過程であったということを申し上げたいです。伝統文化は一国のアイデンティティを象徴する固有した文化遺産です。しかし古くて退屈で田舍臭いという感じもあります。そのためか私たちの物を大事にして受け継がなければならないということに皆共感はするが、伝統文化を近付けるには気経に気が向かれないのが現実でもあります。そのためこのような素材で作品を作った監督は勇敢だと思います。ややもすると退屈で嫌気がさす伝統的素材を自分だけの独特の感覚を通じて期待と好奇心が湧き上がる可愛らしい作品として作ったからです。作品のストーリーとビデオ、オーディオすべての部門にかけて韓国的な色感と小味の利く音を選び、おいしそうに作品の中に溶かしこんだ監督の果敢性に魅力を感じました。
(本選審査委員カン・ミンジ)


■独立飛行賞(一般部門優秀賞)
『トイレコンクール / 화장실콩쿨 / Toilet Concours』イ・ユソン

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韓国社会で雁パパと呼ばれる人々がいます。 これら大部分は40代の家長であり、家庭の責任を負いながら同時に会社では本当に忙しく生きて行くが、また一方で解雇に直面している平凡な会社員です。
こんな現実をアニメーションでどのように紐解くか?という疑問を持って制作した作品があります。40代の哀歓をコミカルながらも悲しい視線で紐解いて行くこの一作のアニメーションを見てからは、心の一方には何かが生ずることは観客の皆が感じる部分でしょう。
雁パパのような状況ではないとしても、すべての子のために生きて行くお父さんが共感して感じることができる穏かながらも切ない作品を作った監督に喝采を送ります。
(本選審査委員ソン・ヨンドゥク)


■夜明け飛行賞(学生優秀賞)
『アフタヌーンクラス / Afternoon Class / 애프터눈 클래스』オ・ソロ

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今年、夜明け飛行賞に出品された作品を見ながら驚くくらいに発展した学生アニメーションの現在をもう一度確認することができました。
何より創作者自身のテーマを具現化するために選んだテクニックの水準は優に既成の作家に迫る水準であると感じるほどでした。
今年、夜明け飛行賞の審査では審査委員が各々4作ずつおススメ作品を選び討論を始めました。結果は圧倒的でした。すべての審査委員はこの作品に夜明け飛行賞を授与するのに全く異見がなかったのです。学生時代誰もが経験した状況をこんなに簡潔で才覚あってユーモラスに表現することは易しくないです。短いランニングタイムの中に慣れた状況をこんなに新しい感覚で、自由自在に表現する能力はこの監督の次の作品にもっと大きい期待を持たせます。審査過程で私たちはたびたびこのような質問を投げました。"これはアニメーションか?" このような質問にこの映画は明快に答を出しました。はい。この作品はアニメーションです。それも非常に立派なアニメーションです。
(本選審査委員メン・スジン)


■審査委員特別賞
『環 / 환 / Cycle』キム・ジュンギ

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作品は独特の洞察力を土台にしたCG アニメーションを使い、よく知られない歴史の一部分を思いもよらない観点で話を伝えます。アニメーションはリアルだがとてもスタイリッシュな味わいがあり、制作過程において圧倒的に高い価値を持っていると思います。中盤部分には立派なエフェクトを使い、形而上学的な世界だけではなく第二次世界大戦の太平洋を舞台にした空戦を実感できるように描かれていました。
(本選審査委員トム・ムーア)


■チョロギ賞(デビュー賞)
『心鏡 / 심경 / Mirror in Mind 』キム・スンヒ

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今年の審査過程は順調ではなかったです。審査委員の意見が行き違いながら難しい討論が起こったりしました。デビュー賞部門も同じでした。 もう少し完成度ある作品にこの賞を与えるか、でなければこれからの可能性に重きを置いて、言葉通り学校卒業以後名実共にデビュー作にこの賞を与えるか論議しました。結論は後者でした。そのように決めてからこそ、自然にデビュー賞受賞作も決まりました。この作品は万華鏡のように開かれる内面の鏡の中で様々な姿に変化する人物を見せます。社会的に固定化されたアイデンティティと違い、内面で開く幾多の自我のイメージが女性の目を通じて広げられる姿はとても面白かったです。また独特の音楽及びサウンドを含めてほとんどすべての作業を監督一人で担当したという点は、これから底力のあるインディーズ・アニメーション作家として監督のより活発な制作を期待させます。韓国インディーズ・アニメーション界に、また一人有能な女性監督の出現、おめでとうございます。
(本選審査委員メン・スジン)


■音楽サウンド部門特別賞
『環 / 환 / Cycle』キム・ドンウク音楽監督

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音楽サウンド特別賞は、観客をすぐ動きの中に導いた実感的なサウンドを作った作品に送ります。 審査委員は音楽的技巧と感性的でシネマティックなインパクトに感銘を受け、この賞を受賞する事にしました。
(本選審査委員マックス・ハットラー)


■KIAFA特別賞
『繭 / 고치 / Cocoon』ヨ・ウナ

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KIAFA特別賞審査を引き受けながら一番主眼点を置いたことは、作家としての明確な個性と可能性でした。この作品は10年を経たインディーズ・アニメーションの歴史の中で類例をみないくらい強烈なイメージと衝撃的な演出力を見せてくれました。 当特別賞審査委員3名は満場一致でこの作品を選定しました。素敵な蛾になって飛ぶ日を期待します。


■観客賞(祭の星)
『トイレコンクール / 화장실콩쿨 / Toilet Concours』イ・ユソン

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