ホン・ハクスン監督「ウィンク・ラビット」スタジオ訪問記by KIAFAスタッフ

ホン・ハクスン監督「ウィンク・ラビット」スタジオ訪問記by KIAFAスタッフ
(KIAFA CAFÉより2013/2/21)

外大駅近くのホン・ハクスン監督のスタジオへ、やってきました。

Hong_S01.jpg


KIAFA:ホン・ハクスン監督、お会いできて嬉しいです。スタジオが全体的に白いですね。穏やかな感じで。木のテーブルは手作りですか
ホン・ハクスン(以下 ホン):白くて薄い色は、自分で塗りましたが、テーブルはネットで買いました。

KIAFA:部屋を見回してみると、とっても不思議なんですが、監督の作品の中でみた監督の文字があるじゃないですか。その文字が、シンクに「水」ってくっついているから、まるで部屋がアニメーションみたいです。元々、あの字体は人気のようですね~。
ホン:ええ。僕のフォントです。

KIAFA:フォントが、とてもドローイングと合っているようです。
ホン:あ、フォント?かわいくて、愛らしい(笑)!ありがとうございます。

KIAFA:インディ・アニフェスト2009年『ティ・ティリブーのマンディンさん』は大賞を受賞、『走り続けるインカさん』も招待上映されましたよね。2010年にも映画祭トレーラーを制作して、2011年には映画祭ポスターにもイメージが起用されて。そして2012年『全宇宙の友達』までインディ・アニフェストと縁が深いようですが、どうでしょうか?
ホン:インディ・アニフェストはアニメーションをやる人は、ほとんど知っていますから。僕もどっかから聞いて、知りました。2012年にはトークもあって良かったです。来られたお客さんに作品の話がたくさんできて。

KIAFA:トークで、一番たくさん受けた質問は?
ホン:『全宇宙の友達』のような場合、作られた背景について、たくさん聞かれました。

インディ・アニフェスト2010トレーラー
花コリ2011のプログラムの冒頭でも流れました。



KIAFA:フリーマーケットも積極的に参加され、販売されましたね。成果はありましたか?
ホン:(笑)少し、売れました。本当に少し。準備した量に比べれば(笑)。

KIAFA:監督のは、パネルもあって、バッチもあって、目立っていました。
ホン:観客は販売物に対する情報がないから。それで案内用のパネルも作ったんだけど、他の人もそうすると思ってたら、僕だけだったから、ちょっと恥ずかしかったです。
KIAFA:いいえ、積極的でよかったですよ。

Hong_S02.jpg


Hong_S08.jpg


監督がお茶を入れてくれました。かすかな香りが逸品のお茶でした。

KIAFA:コースターが不思議。
ホン:ちょっと前に「友樂部落우락부락」の創意力ワークショップに行った時に、他のチームのところに行ったら、この木があって。それで何個か、もらってきました。

KIAFA:これ、何のお茶ですか?
ホン:外国のお茶です。何か、わからないけれど、プレゼントでもらったもので、好きです。

KIAFA:では、作品について話を聞きましょう。最近、お忙しいですか?
ホン:そんなに忙しくないです。アニメーションセンターで支援を受けたものが、9月に審査を受けます。それで8月までに完成しようと。インディーズ・バンドのミュージックビデオを一つ、ほぼ完成しました。
*インタビュー記事は2013年3月のものです

KIAFA:どんなバンドか、聞いてもいいですか?
ホン:はい、「アン課長안과장」という知る人ぞ知る、インディーズのバンドです。

KIAFA:知り合ったきっかけは?
ホン:アン課長は元々、知り合いで、それで依頼がきて作っています。それからアーティストのためのアニメーション・ワークショップをやっています。ここで、1回3時間9回やっています。金曜日夕方クラス、土曜日昼クラス、日曜日昼クラス。1回に6名ずつ。もう一つ、ドローイングのワークショップをやろうと思っています。

KIAFA:対象条件は特になく?
ホン:アニメーション・ワークショップは、アニメーションの監督じゃなくて、ただ学ぶ人です。

KIAFA:なぜですか?
ホン:そうすれば、たくさんくるから(笑)、制作でやるんじゃないから、自分がやりたいように自由に表現するのです。

KIAFA:特にテーマもなく?
ホン:テーマはあります。アーティストのためのアニメーション・ワークショップ。「アーティストのための」じゃないですか。ここでのアーティストは、分野に関係なく創作をする人ですが、アニメーションを学べば自分の役に立つと思う人たち、本格的にアニメーションの監督をする思いはないが、自分の分野に関連して、アニメーションに一度慣れてみたい人達…そういう人々のためにつくりました。

KIAFA:やってみて、どうですか?
ホン:とても面白いです。毎年、アニメーション科に入学する学生が多いけど、卒業して社会に出るとアニメーションの仕事をする人は少ないです。アニメーションは面白いのに、職業としてのアニメーションは大変です。どちらにせよ、アニメーションは魅力があるから、負担なく、慣れ親しんで、自分の分野に応用したいという人はたくさんいます。それで、こういうワークショップを作ったんです。

KIAFA:それでは、さまざまな職業の人がいそうですね。
ホン:ええ。イラストレーター、美術家、プログラマー、書道家、フリーター、企画者…いろいろですね。

KIAFA:きっかけは?
ホン:僕は、ただ絵だけ描いていたんですが、動かしたくなったんです。それで始めました。僕もそうだったから、僕みたいな人に役に立つと思って。3年ぐらい前からやってみたかったんですが、怠けていて、できていなかったんだけど、お金が切実で、つくりました。それでクラスも3つ(笑)。

KIAFA:制作もして、ワークショップもやって、お忙しそうですね?
ホン:ワークショップはアニメーションのクラスを3つやって、ドローイングのワークショップをもう一つ開いて、4月になったら、クラスを一つだけにするか、やめようかと思っています。メインはアニメーションをつくることだから。ワークショップは状況によって調節しながらやろうと思って。

KIAFA:募集はどうやって?
ホン:facebookですよ。ブログに詳細をアップして、facebookに「募集します」って投稿します。

KIAFA:facebookの友達が、たくさんいるようですね。
ホン:実際の友達は、そんなにいないですよ。

KIAFA:いろいろな地域から来るんですか?
ホン:ソウル、富平(プピョン)、龍仁(ヨンイン)からも。

KIAFA:終わると打ち上げとか、やるんですか?
ホン:いいえ。あとで全部、終わったらやるかも(笑)。

KIAFA:制作をするようになったきっかけは?
ホン:幼い頃から、絵を描くのが好きでした。絵を描きながら、この絵を少し動かしたいと思い、アニメーションをやるようになりました。

KIAFA:どこかで学んだのではないですか?
ホン:絵は、桂園芸術大学で専攻しました。桂園にはアニメーション科があるじゃないですか。そこの1年課程の基礎だけ一瞬、聴講して、忙しくて聴講できなくて、後で、韓国映画アカデミーに正式に入りました。

KIAFA:そこで『ティ・ティリブーのマンディンさん』を作ったんですね。
ホン:はい。

KIAFA:ではその前に『走り続けるインカさん』は、一人で作ったのですか?
ホン:はい、一人でつくりました。『インカさん』を作っておいて、『マンディンさん』を作った後に、シーンを一つ修正して、音楽だけ新しくしました。なので、『走り続けるインカさん』は、アニメーションを学ぶ前に作ったものです。

『走り続けるインカさん』


KIAFA:『走り続けるインカさん』も、『ティ・ティリブーのマンディンさん』もそうですが、クレジットをみると、音楽に、「JIM」とあるんですが、その方とはずっと一緒にやっているんですか?
ホン:その当時、アカデミーの教授に紹介されて出会いました。僕と息が合って、今も一緒に制作しています。

KIAFA:音楽が、よく耳に入ってきます。動きに合わせて音楽が生き生きと聴こえてきます。
ホン:うまいでしょ?JIMは、一般的に音楽をやる人とはエンジンが違います。音楽をやってる人から聞いた話です(笑)。

KIAFA:監督は、暗い色を使わないですね。
ホン:あ、そうですか? 僕、そんなに暗い色がない?

KIAFA:色がみんな、華やかで、パステルトーンが多いようです。
ホン:原色をたくさん使うからですかね。暗い色を使うとなると、色を混ぜないといけないから。

KIAFA:暗い面を見せるのがイヤだからではなくて?
ホン:暗い雰囲気は好きですよ。

Hong_S03.jpg


KIAFA:何かを隠すとか、そういうのはなくて?
ホン:僕の作品は、本当は悲しい作品です。まだ世にあまり出てないから。後で作品がたくさんできれば、できるほど、その中に悲しみが見えるでしょう。

KIAFA:人より動物の方が多くでてきますが。私は監督が犬を飼っていると思っていました。
ホン:僕が26歳の時まで、両親と住んでいたんですが、その時は動物をずっと飼っていました。

KIAFA:どんな動物を飼っていたんですか?
ホン:犬、猫も飼ってました。ガチョウ、鯉も飼ってました。幼い頃は、庭があって。26歳までは、動物達と完全に一緒にいました。両親が豚の農場もやっていて、スズメも飼っていました。

KIAFA:故郷は、どこですか?
ホン:忠清道(チョンチュンド)鳥致院(チョジウォン)の桃畑です。でも一人暮らしになってからは、何も飼ってないです。

KIAFA:それは、なぜ?
ホン:ウンコがイヤだから(笑)。

KIAFA:『走り続けるインカさん』や、『ティ・ティリブーのマンディンさん』も、全て主人公の名前がタイトルになっていますね。インカさんは、なぜ「インカさん」なんですか?
ホン:あ、インカさんは、車に乗ってずっと走っていますよね。Ing進行形+car、それで「インカ」です。

KIAFA:あ、私はインカ文明のインカだと思っていました。
ホン:その話は出ないんですけど、インカさんがインカにも、よく行きます。

KIAFA:なぜ、グリーンカーなんですか?
ホン:グリーンカーは、工場で作ったものじゃなくて、その車自体が、生体エネルギーで進むので。食事して、ウンコもして。なので、本当にグリーンカーです。なので、エンディングにもグリーンカーと表示しました。

KIAFA:私は、車が体の一部だと思っていました。クレジットが出るまでは。
ホン:ちゃんとみていましたね!

KIAFA:でも、突然脱ぐから。
ホン:でしょ。ヘルメットも脱いで。

KIAFA:あ、あれ、ヘルメットだったんだ!私は、あの子が外に出る時、眉毛をつけているんだと思っていました。
ホン:眉毛で合っていますよ。地球の人は、それをヘルメットと呼びますが、あの子にとっては眉毛みたいなものです。ヘルメットの役割をするのは眉毛と同じです。

KIAFA:クレジットにグリーンカーと出てきたので、あれは車だったんだ、と、でも名前があるから、小さなものまで名前があるのが面白いです。正直、入れなくてもいいものじゃないですか。
ホン:地球の人のために書いたんです。本当は、グリーンカーと呼ばないんですが。インカさんも。

KIAFA:まったく呼ばない?
ホン:ええ。でも地球人のために書いたので。

KIAFA:『インカさん』では南極とアフリカが、『マンディンさん』では、「マンディンさん」に名前が変わっていました。名前は「アフリカ」が「マンディンさん」じゃなかったんですか?名前をつけたのは、どうしてですか?
ホン:インカさんでは「マンディンさん」の名前が隠れていたんですよ。

KIAFA:どうして?次の作品のために?
ホン:いいえ。『インカさん』では、「寒い」「暑い」という観点で「南極」「アフリカ」と呼んだのです。そこでは、インカさんが、主人公なので。インカさんにとって、寒いところと、暑いところが一緒にいるのが印象的なんです。なので、「アフリカ、こんにちは」、「南極、こんにちは」って出てくるんです。
『マンディンさん』では、マンディンさんとペンギンが主人公だから、名前が出てくるんです。その主人公達の観点によって。ちょっと理由が簡単でしたかね?

KIAFA:いいえ、良かったです(笑)。
元々、そういう、いろいろな地域にいる動物をよく知っているんですか?動物園によく行くんですか?象も、ただの象じゃなくて、インド象だったじゃないですか。
ホン:インドは象が接待を受けるじゃないですか?だから、インド象。

KIAFA:『マンディンさん』で、ペンギンのイグルーに、マンディンさんが種を植えてあげる場面が印象的でした。
ホン:アニメーションには、出てこないけれど、『マンディンさん』は、直感的にペンギンが地球ととても仲が良いと感じます。 僕のキャラクターには地球と太陽との「仲良し指数」があるんですが、ペンギンが地球との「仲良し指数」10点満点中、10点です。マンディンさんがお茶を飲む瞬間、味に感動してペンギンが地球と普通の関係ではないと感じたのです。

KIAFA:キャラクターの行動を発見しながら、監督が感じるところもありますね。
ホン:『走り続けるインカさん』と『ティ・ティリブーのマンディンさん』は、僕にとってはドキュメンタリーです。僕が作っている「全宇宙」では、言葉が必要ない原始世界と、言葉が必要な現実世界があります。1998年から「ウサギの設計図」という本を作っているのですが、これは「原始世界」です。この世界では言葉がなく、不思議な模様と記号があります。その代わり、この世界でもこの世界なりの感性があります。そして言葉で進む現実世界では、原子世界の感性を反映しています。その反映された日常的な話が、まさに『インカさん』と『マンディンさん』です。その日常を中継するような観点で作った、一種のドキュメンタリーです。『全宇宙の友達』は観点が違います。教育用アニメです。その世界を適当に説明する教育用アニメです。

KIAFA:『全宇宙の友達』と『マンディンさん』には主題歌が入っていますね。
ホン:ええ。マンガ映画では主題歌がなくては。

KIAFA:『全宇宙の友達』は、どうして教育用という目的で作ったんですか?
ホン:そういうジャンルで一度作ってみたかったので。でもインディーズ・アニメーションの監督が、自分の世界を子どもたちに説明する教育用です。そういった試み自体が面白かったです。


『全宇宙の友達』


KIAFA:先ほど、ペンギンが地球との「仲良し指数」が高いとおっしゃいましたが、監督は地球との「仲良し指数」は高いんですか?
ホン:僕も行ったり来たりしてます。人と遊ぶ時が良い時もあったり、お花や木や山がもっと良い時もあります。

KIAFA:『全宇宙の友達』は、tumbblbug(韓国のクラウドファンディング・サイト
)で支援を受けて制作されたんですね?
ホン:はい。CCコリア(creative commons Korea)で3分の1受けて、残りはtumbblbugで70%受けて。

KIAFA:監督が、ご自分で支援を受ける方法を探したんですか?
ホン:CCコリアから、面白いことをちょっとやってみないか、という連絡が来ました。tumbblbugを提案されて。その前は知らなかったんですが、調べてみたら、面白かったんで。

KIAFA:tumbblbugでは、多くの方が参加されたんですか?
ホン:50名ぐらい参加されて、230万ウォンくらい集まりました。

KIAFA:支援された方の中で、作品に、登場する本能アバターを作られたんですか?
ホン:ええ。出てくるキャラクターの大部分が本能アバターです。その中で、少女がたくさん出てくるでしょう。

KIAFA:ブログをみたんですが、「フェネック」とか、いろんな本能アバターがありますね。アバターの依頼を受けたんですか?
ホン:ええ。その方々といろいろ話をしました。じゃあ、あなたは、これですね、って送ると、そうですって返信がきて。そうやってデザインしました。

KIAFA:特に少女の比重が高い理由は?
ホン:あ、その方が出演するキャラクターの中で、初めての相談者でした。それでたくさん出てきます。

KIAFA:本能アバターが出てくる所に美容室を選んだのは、どうしてですか?
ホン:本能をデザインした所だからです。あ、作品には出てこないんですが、アバターを持っていても飽きたら、修正もします。美容室に髪を切りに行くように。

KIAFA:たくさんの動物達が手伝いますね。ウサギはご飯をくれて…。でも、どうして葛藤がないんですか?ケンカはしないんですか?
ホン:キャラクターたちが、言うままに作りました。ナラティブを完成するために、わざわざ葛藤をさせはしません。もし、葛藤が起きるアニメーションを作るなら、本当に葛藤が起きるでしょう。

KIAFA:一番、愛着のある動物はウィンク・ラビットですか?
ホン:ええ。だから主人公です。ウィンク・ラビットは動物ではないです。図形生物です。アニメーションで作ってはいなかったんですが…。話しすぎて、恥ずかしいな…(笑)。僕のキャラクターは、本当の生物、図形生物、本能のキャラクターで、区別されます。本当の生物と本能のキャラクターは現実世界にいて、図形生物は図形で作られた原始世界にあります。それが、「ウサギの設計図」です。

KIAFA:監督が、出版された「牛乳パック少女」の絵本も図形生物ですか?
ホン:そうです。彼らが、みな、図形生物です。作品をみれば、図形生物が、地球人たちがわかりやすく観られるように、姿を現すのだけれど、それがウィンク・ラビットと『走り続けるインカさん』に出てくる「本当のニワトリ」です。

KIAFA:図形生物とは、元々ある単語ですか?
ホン:「原始世界」に元々あるんですが、僕が発見しました。そういう意味では、僕が作りました(笑)。

KIAFA:名前が、みんな独特ですね。キリンも、ロングスターキングキリンだし、短足なダチョウ、豚もラブブタだし。
ホン:僕たちが知らない事情が彼らにはあります。その中で、今、一番切実なことが、自分の名前になるんです。

KIAFA:そのことは、コンプレックスと似てますか?
ホン:コンプレックスともいえるし、長所ともいえるし。僕たちと一緒です。状況によって長所だと思ってたら短所だったり。その反対の場合もある…(笑)。

KIAFA:監督は、元々、ユーモアを重要視されてますね?
ホン:ええ、ユーモアも重要だし、悲しみも重要だし。

KIAFA:監督の作品は、悲しくはないと思いますが。
ホン:まだ、悲しい作品のように見えないだけです。

KIAFA:私は、『全宇宙の友達』で、人が本能を隠して、本能アバターになる時、ちょっと悲しいです。アバターとして変身する前は無色だった人が、少女に出会って、色を着るじゃないですか。それまで色がなかったのに…。
ホン:あ…、核心をちゃんと把握してくれてるから、嬉しいです(笑)。

KIAFA:監督の作品をみると、一番先に浮かぶのが、「リンク」という単語です。絵本もみると、記号がピョンピョン飛び上がるようで、線がいつもあって、ゼンマイのような輪と円があって、電柱とつながった絵だったり、3つの作品も、脈絡が一緒のようです。
ホン:リンクそのものですよ。リンクしないわけには、いかない。今すぐfacebookをやれば、すべて繋がって、暮らすことが、すべてリンクなので…。僕が作ることも、僕の中で生まれることも全てリンクしています。

KIAFA:では、助けという言葉も脈絡を一緒にしたんですか?
ホン:助けというのを離れて、仕方なく起きる自然現象。明日、日が昇ることのように、リンクは極めて自然な現象。問題は、リンクは誰にでも、自分の観点の中からみえるものではないです。僕の脈絡で、表現すれば、リンクからリンクで表現ができ、自分が判断つかなくなったりすると、絡まったように見えるし。絡まったように表現しないようにするならば、制作を続けなければ。

KIAFA:絡まっているのは、悪いことですか?
ホン:絡まっているのに、美しく、よく絡まっています。絡まったけれど、何かよくわからない。感動がない、それは悪いこと。

KIAFA:ドローイングではなく、他の技法を使ってみるお考えは?
ホン:とりあえず、今はキャラクターの生活を明瞭に見せようと思います。ドローイング・アニメーションが続くと思います。僕の線は生きていますか?

KIAFA:ええ。
ホン:他の表現も超うまくできますが、まだやってないだけと思っていてください。僕だけじゃなくて、他の人も、たぶんそうだと思います(笑)。

KIAFA:元々、ドローイングが好きなんですか?
ホン:ええ。

KIAFA:なぜですか?
ホン:先ほど、リンクの話が出たように、思考がしっぽをつかんで、展開するから、それに従って表現しようとすれば、ドローイングが、うってつけだからです。

KIAFA:では、作品を作るとき、全然ストレスはないですか?
ホン:ストレスなんて全くないですよ。本当に。

KIAFA:絵を描くのに対して、プレッシャーはないんですか?
ホン:ないです、まったく。僕は、描いていて、だめだったら、描きません。自分で描けないものは描きません。僕ができることだけをしても、死ぬまで全部はできないと思っています。うまくできるものをやってみると、いつの間にか、できないこともやっています。

KIAFA:『全宇宙の友達』のタイトルにも出てきて、2003年にも絵本で出てくるんですが、あの乗り物、インカさんみたいな名前ありますか?
ホン:その模様は、1998年に作りました。根っことも呼びます。または宇宙船とも呼びます。図形生物が生きる原始世界全体が、言葉がないんです。名前ということ自体が必要ない世界です。でも現実世界と出会うと、現実世界と関わったあることが起きて、現実世界と当て付けて、人々が呼べる名前。宇宙船になったり根っこになったり…。でもオリジナル世界では名前がないんですよ。とにかく、その形は原子世界と、この世界とをリンクする現実世界全体を象徴しています。

KIAFA:では、絵はいつ始めたんですか?
ホン:始めは、丸を描いていたら。1998年には丸だけを描いていました。丸を描くと模様がみんな違っていて。あとで、それが丸い世界になりました。ドローイングも多くなりました。「ウサギの設計図」は、そのドローイングを再構成して要約した本で。2001年から2002年に最初に整理したものが出て、今も、ずっと作っています。(ポストイットの壁を指して)キャラクターが集まっているものです。これが全てつながっています。結局は『インカさん』と『ティ・ティリブーのマンディンさん』『全宇宙の友達』は、この世界の性格を反映するんです。どうして葛藤がないのか、聞きましたね。創作過程の観点からみれば、葛藤は、まだまだ重要ではないんです。丸のワールドだから、原始世界を反映しているのが現在の手順です。まだまだです(笑)。

Hong_S04.jpg


ホン:初めて、音楽のJIMに出会った時、『ティ・ティリブーのマンディンさん』より、「ウサギの設計図」の本を先に見せました。君がつくらなければならないのは、この世界だ!と。みると、何かわかったと言って、これは音楽だ~って。うまくやれるだろう!という感じがありました。そうして『ティ・ティリブーのマンディンさん』につながりました。その後はペンギンタイムとマンディンタイムを区別してくれと言いました。区分するというのは、どんな意味かサンプル素材を渡して、JIMの自由にやってくれと言いました。

ホン:音楽をする人の音楽性以前に、どんな事物を見た時、客観的に入ることができるか、できないかが一番重要です。その世界の中に入ることができれば、その時、自分の才能が広がるし、入れれば、観念的に広がるだけです。

KIAFA:入れないのは先入観があるということですか?
ホン:先入観というよりは、簡単に言って、対象に対する理解力が落ちているということです。JIMのような場合は、キャラクターの立場から音楽を作ります。
例えば、作品にキャラクターの行動に従って、「これは美しい場面だから、美しい音楽をつけなくてはいけない」と普通そうアプローチするけれど、そうじゃなくて、キャラクターの立場から考えるんです。音が美しく聴こえるか否かというのは観客の取り分です。JIMのような場合は、本人の言葉でも、自分の思うがままにできるから本当に楽だそうです。自分がそれほど楽にその世界に入って、思いきりできるというから…。

KIAFA:充分に理解しないとですね。
ホン:理解しようとして、理解できるものではないです。それは作品とその人の間での∞字です。

KIAFA:占い師のようにおっしゃいますね。
ホン:これは直感的な部分だから。直感はすぐ勝負が出るじゃないですか。

KIAFA:『マンディンさん』のような場合は歌がつきますね。
ホン:僕が作詞して、JIMは作曲して歌も自分で歌います。マンディンさんは世界を周るから、いろいろな国の言葉が歌詞に出てきます。

KIAFA:2003年度の絵本にはない内容がこの本にあるんですか?
ホン:2003年に出版されたものは基本版で、これは拡張版です。

KIAFA:『全宇宙の友達』は教育用とおっしゃいましたが、子どもたちは、本能という言葉がわかりました?
ホン:ええ。「本能キャラクターつくり」というワークショップをやる前に『全宇宙の友達』を見せて、「じゃあ、僕たちもつくってみよう~」とすぐに始めました。説明しなくても、子どもたちは、わかっていましたよ。

KIAFA:素材の話をすると、他の動物も出てくるけれど、『インカさん』は、なぜニワトリなんですか?
ホン:実は、インカさんはニワトリじゃないですよ。この世界に出ると、人は、アリやハエという名前をつけますが、10名中、7名はニワトリと呼ぶから、ニワトリなのでしょう。本人も面白いから、「コッコー」と言いながらニワトリになったんですよ。

KIAFA:絵本からも「汚い布団」が出てきて、『インカさん』の最後の部分にもインカさんが布団をかぶって寝るじゃないですか。布団という素材が監督にとって大きな部分を占めるんですね。
ホン:汚い布団は、布団を長いこと使っているからで。毎日使うものだから。

KIAFA:何か大きな意味があるのかと思いました。
ホン:意味はありますよ。作品が作り続けられれば、ポンと意味が出るでしょう。これは特にシリーズですから。

KIAFA:作品が出続ければ、観客が一つの作品に抱いていた疑問点をヒモ解く味がありますね。
ホン:ええ。ある部分が面白かったなら、特に、自分に面白いものならば、理解するのでしょう。それで意味の役割は、すべてやれたと思えます。敢えて言葉で説明しなくても。

KIAFA:『インカさん』も、他の人の助けが燃料になって、円を作る原動力になっているようでもあり、空間と時間がひっくり返って、ころころ変わるじゃないですか。その全世界が頭の中に、入力されているのか、旅行が好きなのか。
ホン:僕は海外にも少し行ってみたけど、他の人のように、旅行に行くスタイルではないです。近所に散歩に行って、たまに梨泰院(イテウォン)や弘大(ホンデ)でおいしいものを食べるくらい。

KIAFA:宇宙に行きたいですか?
ホン:宇宙?まだ、宇宙船が良いのが出てないし…(笑)。

KIAFA:見るということに対して、何か事物を見るとき、斜めにみる人もいるし、ある人は、まっすぐ、長いこと眺める人がいますが、監督はどちらですか?
ホン:僕は服従心と順従心が強いです。

KIAFA:順従心が強いのに、どうやって本能を見つけるんですか?
ホン:僕は本能を見つけるとき、最初に、その人の本能なのかと一番先に考えます。そのキャラクターが言ったことを聞いて、描くのです。相手が指図をするわけじゃないけれど、その人の感情と気質に耳を傾けなければいけないから、それは言葉だと、服従心と順従心ですね。
僕もストレスがたまったり、コンディションが悪い時は、うまく順従できなくて、斜めにみることもあります。ありのままが見られない時も。ありのままを尊重して得られる独特なものは、ニュアンスだけです。

KIAFA:監督が考える独特なものとは?
ホン:独特というのは、どちらが古いか新しいかに対する基準自体がないです。対象に忠実なものだけある。平凡でもそうでなくても、それが偽りのない独特なものです。スタイル自体を追い求めれば終わりです。

KIAFA:独特なものが真正性とも関連するんですか?
ホン:独特なものはoriginalityじゃないですか。それが、まさに本質です。

KIAFA:全ての人は固有性が全てだから。何かを描くというより、ありのままをよく理解すれば、独特なものですね。私達は、みんな独特なのでしょうか?
ホン:そうです。ワークショップをすると、初日、何かをつくるんだけど、既に、みんな違うんです。人によって気質と性格と観点が違うから、お互いの作品をみれば、面白さも感じます。

KIAFA:『全宇宙の友達』で本能美容室のドアは、わざと描かなかったんですか?
ホン:ウサギが本能美容室を設計した時、ドアを設計するのを忘れて。窓から出入りしろと言います。

KIAFA:主人公は、なぜドアがないのか聞きますね。
ホン:作品には出ないけれど、ウィンク・ラビットと牛乳パック少女は知っているみたい。

KIAFA:普通、なんでかと聞くよりは、ただ、そういうこともある、とする方ですか?
ホン:なんでかと、たくさん質問しますよ。全てのものに理由があると思っているし。僕の作品にも全部理由があるし。

KIAFA:時間がある時は、寝て、おいしいものを食べに行くでしょう?
ホン:ええ。

KIAFA:たくさん人に会う方ですか?
ホン:たくさんではないですが、時々、会う機会があれば、会います。

KIAFA:おしゃべりな方ですか?
ホン:僕は話さない方ですよ。元々、あまり話さないんだけど、一度、口封じが切れるとたくさん話します。

KIAFA:tumblbugで支援を受けたじゃないですか。また他には、やらないんですか?
ホン:スプンクプロジェクトがあります。

スプンクプロジェクトについては、こちらをクリック

KIAFA:スプンクプロジェクトについて紹介してください。
ホン:イ・ムンジュ監督が立ち上げ、5人が参加しました。作品を人に知らせる方法で、こういうのをやってみてはどうか?と。イ・ムンジュ(『ミッシェル』)、キム・ジンマン(『Noodle Fish/でこぼこ魚』)、カン・ミンジ(『Natural Urban Nature』)、パク・ソヨン(リレー『The Water ~ 船頭多くして ~』)監督たちと僕で、各自アートブックをつくって、5巻で一つのセットになります。アニメーション作品とリンクした内容で、具体的なことは各自、自由に構成しました。このインタビューが終わったら、イ・ムンジュ監督のスタジオで打ち合わせがあって、行かないと。今日は支援してくれた方々に送るDVD撮影をする日です(笑)。

KIAFA:いつ出版されますか?
ホン:tumblbugで、まず支援目標額が成功すれば、出版費用が出ます。成功すれば、春に出ると思います。そうしたらカフェや文化空間で、無料で出ると思います。

KIAFA:あ、無料で?その印刷費はtumblbugで支援を受けたんですか?
ホン:その支援を受ければ、制作して、有料でやっても問題ないです。でも今回の本は無料です。普通、カフェのようなところに行くと、無料で配布されている薄い本みたいな感じで。

KIAFA:このプロジェクトは続くんですか?
ホン:このプロジェクトは、アートブックのプロジェクトです。イ・ムンジュ監督がまた色々考えているみたいです。アニメーションをやっている方々が自分の環境、立場に合わせて、様々な試みをすれば面白いと思います。一人でやるのが大変なら、誰かと一緒にやるものいいし。インディーズ・アニメーション監督たちは、商業的じゃないから。だから不利なこともあるけれど、有利なこともありますよ。ルールがないから。自分でルールを作れます。自分が何かをすれば、それがそのままルールになるから。方法が他にあるとは思いません。

KIAFA:ルールで思い出したんですが、監督は学校を辞めたじゃないですか。幼いのに怖くはなかったですか?
ホン:中学校だけ卒業して。その時は怖くて、そんな考えは全然なかったです。

KIAFA:簡単じゃなかったでしょう?
ホン:簡単とか難しいというのがなかったです。ただ、行きたくなくて行かなかったんですよ。

KIAFA:お母様は反対されなかったんですか?
ホン:反対しましたよ。父も。

KIAFA:なにが、一番イヤだったんですか?
ホン:ただ空間自体がイヤでした。小学校に入学した時からイヤでした。教育課程も気に入らなくて。科目も多く、覚えることも多くて、誰が何を根拠に自分の、勉強をしなきゃいけない内容を作ったのか疑問でした。

KIAFA:でも大学には行きましたよね。
ホン:ええ。大学は行きました。

KIAFA:大学は、息苦しくなかったのですか?
ホン:全然、大丈夫です。なぜなら、やりたいことをやったから。

Hong_S05.jpg


KIAFA:(ドローイングブックの表紙に書かれたタイトルをみて)ハクページとは何ですか?
ホン:僕がホン・ハクスンだから。ハクページとしたけど、核心という意味からヘクページ(韓国語で核心は「핵심ヘクシム」)にして、今は、ただ「ウサギの設計図」です。

KIAFA:ウサギが設計して、問題点みたいなものはありますか?
ホン:問題は、僕が怠けることでしょ。

KIAFA:ブログに、牛乳パック少女の日記の中で、「モニターばかり観てないで、世の中をみよう」という言葉がありました。どんな世の中をみていらっしゃるんですか?
ホン:モニターばかり観てないで、外に出て、散歩もして、おいしいものも食べよう、そういう意味です。

KIAFA:たくさん生き抜きしてますか?遊びすぎたって言っていましたが。
ホン:遊びすぎました(笑)。

KIAFA:がんばってください!
ホン:あー、がんばれと言われると心に響きますね。一生懸命やります。やってないんじゃなくて、やってますよ(笑)。ここでアニメーションのワークショップをやってるし。皆さん、アニメーションが好きですね。

KIAFA:みなさん、どんなところを一番楽しんでおられますか?
ホン:絵が動くから、喜びますね。

KIAFA:動きに興奮するようですね。
ホン:そうですね。アーティストのためのワークショップだから、普段、絵を描いている人が来るので、自分の絵を動かしたいロマンがあるじゃないですか。実際、それができて、見られるから、とても嬉しいんですよ。実際につくってみて、目で確認できるから、すごく良いみたいで。絵を描いたことがない人でも、自分の絵が動くから、とても不思議なんですよね。

KIAFA:ワークショップが終わるたびに、1作品ずつ完成するんですか?
ホン:ええ。自分だけの結果物が、一つずつ、できあがるようです。完成度がある作品というよりは、また作ってみたいと思える作品が結果物のようです。

KIAFA:キャラクターも、みんな、様々ですね。みんな、構想してからいらっしゃるんですか?それとも、即席で?
ホン:普段から自分が考えていたものをやる方もいるし、即席でやる方もいますし、色々です。

KIAFA:SNS活動を活発にされてますね?
ホン:技術的にします。表面上では、たくさんやっているように見えますが、実際に、見ている時間は30分にもならないんですよ。(この言葉を絶対、入れてくれという監督^^)

KIAFA:では、最後の質問にいきますが、その前に自由に言いたいことを話してください。
ホン:ワークショップやってます。みんな喜んでいます。みんな気に入るだろうと予想はしていたけれど、予想以上でした。そんなに好きなの?って思うくらい。僕の作ったカリキュラムがみんなを魅了させたんです。本当ですよ(笑)。

KIAFA:カリキュラムについて、ちょっと教えてください。
ホン:普通、アニメーションを学校で教えるじゃないですか。そうじゃなくて。監督になる、そういう強迫観念のない人達だから。人によって自分なりのリズム感があるんだけれど、それを引き出す過程です。
各々、歩く時のリズム感が違います。人によって固有のリズム感を持っています。

KIAFA:ええ、そうですね。
ホン:体形が違うからというのもあるけれど、実際、人によってリズム感が全然違ったんですよ。ドローイングの線の感じが違うのと同じで。ドローイングごとに、線の感じが違うように、リズム感、時間概念が全て違います。それは無意識的に持っているのです。でも、その固有性を芸術で表現する機会があまりなくて。

KIAFA:そういう機会があまりないのは事実ですね。
ホン:だから自分の持っている固有のリズムをぱっと引き出すのが、このワークショップの目的です。そうなると、こういう質問が出ます。この現実世界にある物理の法則にちゃんと従えば、アニメーションが動くのが、ちゃんとみえるはずだけれど、現実の法則によって作用する時計、標準的な時間を無視して、個人的なリズム感さえ表れていれば、動きがうまく表れるのか、という質問が。それは違います。

KIAFA:あ、どうしてそうなのでしょうか?
ホン:僕たちは、成長過程で、この現実世界にある絶対的な標準と言われる時間概念、リズム感に慣れていきました。身に沁みて分かっています。同時に、僕らは主観的なリズム感を持っているんです。だから、主観的なものを、アニメーションをやりながら、うまく表現すれば、その過程で自分が分かっている客観的なリズム、Realityの時間概念も自然に出るようになるんですよ。

KIAFA:本当に面白そうですね。
ホン:でしょ?(笑)

KIAFA:監督の願いは?
ホン:僕の願いは、こうやって面白いものを作ることです。アニメーションもつくって、絵も描いて、お金も稼いで。

KIAFA:様々なことをされていますね。展示もされて、ワークショップもして、活動的です。
ホン:実際、そんなに活動的ではないんですが、機会があれば、やる方です。

KIAFA:平凡という言葉に対して、どうお考えですか?
ホン:いいですね、僕も平凡だから。

KIAFA:でも、みなさん、ホン・ハクスン監督は独特だというでしょう?
ホン:でも個人的に、僕のことが分かれば、大部分、平凡だといいますよ。僕は本当に平凡な人間です。

KIAFA:監督が独特だと思う人は、いますか?
ホン:あまりいないですね。みんな、平凡にみえます。

ホン:みんな平凡といえば、平凡だけど、その平凡さも珍しいんですよ。例えば、ワークショップをしても、みんな珍しい。想像がつかない。だから、そういうもんなんです。どこに行っても、人がいるじゃないですか、みんな珍しいんですよ。

KIAFA:うまく描くということは、どういうことですか?
ホン:うまく描くということは、自分が思う対象をうまく忠実にそのまま表現するのが、うまく描くということです。

KIAFA:歪曲されずに?
ホン:ええ。

KIAFA:ウィンク・ラビットは、うまく描けた方ですか?
ホン:ええ、かなりうまく描けました(笑)。僕、本当にうまいんです。でもまだ不足な点が多いです。

KIAFA:ホン・ハクスンにとって本能とは?
ホン:本能とは、それ自体。とても本質的なもの。

KIAFA:本能の反対語は何でしょうか?
ホン:殻です。

KIAFA:ではインカさんが眉毛をつけているのは殻ですか?
ホン:いいえ。それも本能です。本能があれば、殻もあります。でもその殻が本能を反映しています。そうならば、本能の拡張です。でも本能があるのに、殻と全然似ていないなら、それは、本当に殻なんですよ。

KIAFA:殻でも種類がありますね。本能の拡張か、ただの本当の殻なのか。
ホン:そうです。

KIAFA:ホン・ハクスンにとって、ホン・ハクスンとは?
ホン:生きて、死ぬ人(笑)。いつかは。

KIAFA:ホン・ハクスンにとって、戦争とは?
ホン:悪いことでしょ。

KIAFA:動物園は?
ホン:刑務所です。 拉致して閉じこめるとこ。

KIAFA:インカさんが、あとで、家に帰るじゃないですか。マンディンさんはペンギンの家に行って、『全宇宙の友達』からはお客さんが本能美容室に行って…。家とは、どういうものですか?
ホン:僕のアニメーションでは、家は彼らの世界です。彼らの世界に招待するんです。反対に、ある人の家に入るということは、その人の世界に入るということです。

KIAFA:本能美容室はドアの代わりに窓がありますね。もし、窓がなかったら入れないんですか?
ホン:入る穴が、彼らの何らかの形であるでしょう。

KIAFA:窓がなくても、入ってたと思います。煙突や下水溝から。
ホン:核心を、パシッと、つきましたね!(笑)。僕の作品に対して、良い質問をたくさんしてくれて、ありがとうございます。うまく答えられたかな?

Hong_S06.jpg

 
KIAFA:ええ。
ホン:これは、どうしてですか?みたいな質問はないですか?

KIAFA:ありますよ。なぜ、ペンギンがマンディンさんの髪をやってあげるんですか?
ホン:マンディンさんが、こんにちはって言うじゃないですか。ペンギンからみたら、髪のスタイルをなおせば、かっこよくなると思ったからですよ。

KIAFA:なぜ、ダチョウの足が短いんですか?
ホン:僕もわかりません。インカさんが、通り過ぎるとき、短足のダチョウがいるんです。彼らなりの事情があったんでしょう。

KIAFA:リンゴはなぜ、宇宙船から出てくるんですか?
ホン:これは言ったら面白くないと思うけど(笑)。どちらにしろ、自分の本能を探す過程じゃないですか。本能を探しに美容室に行く内容。宇宙船に乗って行かなきゃいけないのに、自分の本能を探すための努力を一旦、宇宙船から取り出さなきゃいけない。宇宙船から取り出す方法が、何かを食べるということなんです。ある問題を解くという方法が1次元的な方法なんです。

KIAFA:空腹がイヤなんですか?
ホン:そうかもしれません。ここでは何か問題を解く方法が、一次元的な方法、何かを食べなきゃいけなかったのでしょう。

KIAFA:あまり考えない?
ホン:1次元は、あまり考えないのではなくて、根本的なことから考えるということです。日常生活の一番平凡なことから、問題が解決するということです。その中の一つが、食べることです。

KIAFA:そこに、たくさんの意味がこめられているんですね。
ホン:ええ。

KIAFA:次の作品は?
ホン:仮のタイトルはつけました。『ウィンク・ラビット』です。
*追記:仮ではなく、このタイトルになりました。

花コリ2015 Aプロにて「ウィンク・ラビット」上映
A06_Winkrabbit.jpg
「ウィンク・ラビット/윙크토끼/Wink Rabbit」
2014/16:22/ホン・ハクスン
”ウィンク・ラビット”が、おいしい料理を作って仲間たちと一緒に食べる。

Director's note
”ウィンク・ラビット”と、仲間たちの世界を表現した。


KIAFA:そこにもテーマがあるんですか?
ホン:ええ、テーマは必ず入ってないと。なぜなら、幼い頃、マンガ映画をみるとテーマが必ず出てきたから。だからマンガ映画はテーマが入ってないと(笑)。
『全宇宙の友達』には、ラブブタも出てくる。本能美容室の壁紙をみれば、模様が水玉でしょ、あれはラブブタが全部塗ってあげたものです。

KIAFA:何で?
ホン:コロコロで塗って、とにかく、塗ってあげたんです(笑)。

KIAFA:隠れた話が多いですね。
ホン:質問をたくさん準備してきましたね。

KIAFA:作品をみて、気になったことを伺いました(笑)。質問に正直に答えていただき、ありがとうございました。
ホン:ええ、ありがとうございました。



インタビューを終えても、新しい質問はないかと、ずっと聞いてきたホン・ハクスン監督。子どものような、あどけなさと愉快な笑いがとても魅力的な方でした。

アーティストのためのワークショップは、金曜夕方クラス、土曜日午後クラス、日曜日午後クラスの3時間、計9回開催中!

ホン・ハクスン監督ページ
ホン・ハクスン監督のブログ…ワークショップと日常
Naver castホン・ハクスン作品配信
Facebook ウィンク・ラビットファンページ

<関連記事>
花コリ2010東京レポ(ゲスト:ホン・ハクスン監督、チョン・ユミ監督)
「Secret Garden」イ・ハンビッ監督インタビューbyホン・ハクスン監督

Hong_S07.jpg

ホン・ハクスン HONG Hak-soon
花コリ2010東京ゲスト。インディ・アニフェスト2009で『ティ・ティリブーのマンディンさん』で大賞を受賞し、大会審査評で「インディ・アニフェストだから見つけることができた特別な才能」と評価された。「愛は言葉がなくても通じる」という純粋であどけない作品世界を持つ。「牛乳パック少女」という名前でイラストレーターとして活躍してきた彼が自身の世界に生命を吹き込み、動くキャラクターをつくりだした。花コリ2012のチラシのイラストを担当。

関連記事
スポンサーサイト

tag : ホン・ハクスン 「ウィンク・ラビット」

コメントの投稿

非公開コメント