『ウリビョル1号とまだら牛』チャン・ヒョンユン監督”今じゃなきゃダメ”スタジオ訪問記 

チャン・ヒョンユン監督「Now or never 今じゃなきゃダメ」スタジオ訪問記by KIAFA
(KIAFA CAFÉより2013/07/13)

 訪問当時、『ウリビョル1号とまだら牛』を制作中だった、チャン・ヒョンユン監督のスタジオ「Now or never 今じゃなきゃダメ」をKIAFAスタッフが訪れました。
チャン・ヒョンユン監督の、『ウリビョル1号とまだら牛』は花コリ2015の長編プログラムとして本州初公開にて上映されます。また、大阪会場のゲストとして来日、過去の短編上映とトークがあります!

★大阪会場イベントその1「チャン・ヒョンユン監督 短編集上映&トーク」



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壁一面に新作の長編アニメーション『ウリビョル1号とまだら牛/우리 별 1호와 얼룩소』の制作スケジュールです。
たくさんのスケジュールが見受けられますね。この多くのスケジュールが集まって、作品が出来上がるのでしょうか?
『우리 별 1호와 얼룩소/ウリビョル1号とまだら牛』を制作中の「Now or never 今じゃなきゃダメ」スタジオの現場に来ています。

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数多くの作画紙が積まれていますね。
このたくさんの作画紙が集まって、たった一つのアニメーションになります。
その瞬間が、ぴりっとして楽しい瞬間ですね。
早く新作が見たいですね。

KIAFA:まず、インタビューの手始めに先立って、いかにもな質問ですが、どうしてスタジオの名前を「Now or never 今じゃなきゃダメ」にしたんですか?
チャン・ヒョンユン(以下、チャン):久しぶりに話すから、ちょっと恥ずかしいけど。
僕が映画を始める頃、他のことをした方が良いんじゃないかと、よく思いました。
それで、今を生きて行こうという意味で、「Now or never 今じゃなきゃダメ」にしました。

■『メイビー・アイム・ブラインド /어쩌면 나는 장님일 지도 모른다』
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KIAFA:監督の作品の中で一番憂鬱な作品だとか。
チャン:実は、『メイビー・アイム・ブラインド』は、そんなに憂鬱じゃないですよ。
上の中くらい憂鬱だと言えます。

■『ティータイム/티타임/TEA TIME』
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KIAFA:その後の作品『ティータイム』からは相対的にみて、憂鬱さがけっこう消えているので。初作品と他の作品とは感じが非常に違いますが、それほど変わるようになったきっかけが何かあったんですか?
チャン:アニメーションをやる人は元々憂鬱で暗い、そういう人が多いようです。普通、明るい人がアニメーションをやると、長く続けていくことは難しいです。作品を制作する人というのが、基本的に社会との不協和音というか、内面的な暗さ?そういうものがある人が多いんですよ。だから作品を制作するのかもしれない。
もちろん明るい人も作品を制作することはできるけど、基本的には暗い人が多いです。明るい人が作品をつくるようになれば、商業的な作品をさっさとやった方が良いですね。僕にとって『メイビー・アイム・ブラインド』という初作品を始めた時、その時の20代の暗さ、そういうものなどが盛りこまれている作品と言えます。作品を一つ作ってからは、暗い部分が多く解消されて、次の作品はもうちょっと明るくなったようです。

KIAFA:パク・ジヨン監督とは、いつから一緒に制作しているんですか?一緒にやるようになったきっかけは?
チャン:僕が韓国映画アカデミーにいた時、『ティータイム』という作品を作っている時でした。その時に僕がスタッフの求人広告を出したんです。パク・ジヨン監督は、当時近くの予備校でアニメーションを教えていました。その時は映画アカデミーが明洞にある時で。パク監督が仕事していた予備校と近かったんです。距離も近くて、制作に参加するようになったことが今につながりましたね。初めて一緒にやったのが 2002年だったと思います。

KIAFA:『ティータイム』以降の作品には、パク監督の名前がクレジットにいつもありますね。
チャン:はい。ずっと一緒にやってきたから。

■『レター/편지』
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KIAFA:『レター』を見ると、手紙を食べる恐竜が出てきます。とても珍しいメタファーですが、恐竜が象徴しているものは何でしょうか?
チャン:恐竜は都市にいるのに、人々がよく感じることのできない種類の物です。例えば、男女の別れ、実際は、たいそうな理由で別れるわけではない、日常的でちょっとしたことが狂って別れるようになるのです。こんな風に男女関係周辺のちょっとしたことが、結局はお互いの本音を話すことを妨げる、まさにこのような状況を恐竜が手紙を食べることで表現したんです。
昔はすごく変だったんです。なんで相手は僕の心が分からないのか?そういうことをよく考えていました。でも今はそうは思わない。分かってみれば当然ですよ。生きて行くうちに、生活の中の疑問がたくさん消えたみたいです。あ、その時に映画をもっとたくさん作っとけば良かったんだけど…(笑)

KIAFA:それでは「恐竜」というのが、人々が疏外される、疎通の問題を意味するのでしょうか?
チャン:疏外されたとは言えません。男女を別れさせる、さまざまな状況を意味するのです。確かにそういう状況が二人を別れさせたけれど、これが良い悪いと言うことはできないと思います。

■ 『わたしのコーヒー・サムライ~自販機的な彼氏~/무림일검의 사생활/A coffee vending machine and its sword』
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(2007 / 2D / 30mins / 35mm)
最強の武林第一剣と呼ばれていたジン・ヨンヨン。ある日おびただしい強敵に遭い死んでしまう。ところがどうしたことか現代にコーヒー自販機として生まれ変わった。食堂で働く女の子ヘミとの出会い。彼女は食堂の前にある彼の世話をする。ほんわか心温まる感情に奇抜な想像力&ユーモアをトッピング、爆笑ロマンチック・コメディ。

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ファンの方がつくった『わたしのコーヒー・サムライ~自販機的な彼氏~/무림일검의 사생활』(花コリでは『武林一剣の私生活』として2008年に上映)のクレイの人形。チャン監督が大切に保管しています。その隣は『ウルフ・ダディ』でヒロシマ賞を受賞した時のトロフィー


KIAFA:監督の作品の中の女性キャラクターたちは、大部分男性の理想像とは距離感があるようです。かなり現実的なキャラクターですが。
チャン:僕の作品の主人公の女の子は、自然なら良いです。例えば僕が、アイドルが好きだからといって、アイドルが主人公の映画を作ることはできないんですよ。理想的なキャラクターが、平凡で自然な役を演じるのは似合わないと思います。そんなきれいなキャラクターがバイトして生活苦に苦しむ役をするのは似合わない。

KIAFA:そう考えるとそうですね。監督の主人公の女の子は皆、おかっぱですね。
チャン:長い髪の女性が持つ典型性があるんじゃないか、メロドラマみたいな所に出てくる典型的な女性の姿が嫌いで。短い髪の方がうそっぽくないというか。

KIAFA:宮崎駿監督の作品中の女の子のキャラクターがおかっぱの理由は、監督の理想像がおかっぱだからだという話があるんですよ。チャン監督も同じ理由なのかと思いました。
チャン:宮崎駿監督もそうじゃないんじゃないかな。僕と同じ理由だと思います。宮崎駿監督の場合、長い髪といっても髪を結って出てくる場合が多くて。大部分の主人公たちは活動的なキャラクターですよ。
キャラクターが争うとか飛び回る場面が多い場合、キャラクターを表現するのに、長い髪は合わないですよね。
宮崎駿監督も単純におかっぱの髪が理想だからといって、作品の中の女主人公のおかっぱに固執するとは思わないです。長い髪というの自体が、男性が好きな女性的なイメージじゃないですか。でも、そういう女性性を活動的なキャラが持っていたら、それはぎこちなくて似合わないと思います。

KIAFA:一般的にアニメーションを見ると、動物や事物に人格を入れる場合が多いです。ところで監督の場合は、その中でもよほど独特な、意外性のある事物を主人公にたくさん使っていますが、特別な理由があるんでしょうか?
チャン:いかにもっぽくないように、わざわざ意図したのです。典型的でないことが好きで。

KIAFA:典型的というのは、どういうのを意味するんですか?
チャン: 例えば劇場用アニメーションでの動物があげられます。
『アイス・エイジ』や『ファインディング・ニモ』などの商業的に成功したアニメーションが出ると、似たキャラクターの他のアニメーションがたくさん出るようになります。これが典型的なのです。
こういう典型的なアニメーションを作れば、曖昧になる場合がたくさんあるんですよ。
ところで、むしろ典型的じゃないから観客が受け入れるのに問題が生じたりします。
観客が理解できないかも知れなくて、これからはもっと典型的にしようかとも思っています。

■『ウルフ・ダディ/아빠가 필요해』
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KIAFA:『ウルフ・ダディ/아빠가 필요해』をみると、結局は自分の夢をあきらめて子どもを選択するんだけれど、この結末とは全く違う考えを持っていらっしゃいますね。
チャン:この作品のせいで隠し子がいるんじゃないかと、うわさされました。(笑)

KIAFA:監督の作品の中の男性キャラクターは主に人ではないけれど、女性キャラクターは人ですよね。
チャン:今度は女性も人ではないです。人工衛星だから。
元々、すべてのキャラクターが人か、それともみな、動物というのが自然です。でも僕は動物と人が一緒に出てくるアニメーションをつくりたかったんですよ。これも典型的になりたくなくて。僕にとっては、自動販売機は珍しくて大丈夫だったようです。でも、このように典型的じゃないキャラクターを使ってみるとリスキーな点があります。 キャラクターというのは観客が一目で何なのか分かるもの、それが良いキャラクターです。自動販売機みたいな場合は説明が必要だったから、そういう面では、パッと見るや否や何なのか分かるようなキャラクターではありませんでした。

KIAFA:監督の作品をみると、ユーモアやウィットがよく出ています。私もアニメーションを作ってみたけど、作品の中にユーモアを入れると流れを崩すんじゃないかと心配でした。監督はこの部分に対する心配はなかったですか?
チャン:心配になります。芸能と似ていると思います。10個投げて5、6個だけ引っ掛かるように願うのです。ユーモアは、ほとんど僕が意図的に入れたんです。予想してなかったけれどサウンドとかみ合って、笑いを誘発する場合もあります。でも大部分は意図的に僕が笑わせようとコードを入れました。

KIAFA:他の作品をみると、ユーモアを入れると意図的に入れたようにみえるけれど、監督の作品の場合はユーモアが自然でその点が良かったようです。
チャン:意図したんですよ。作品を作っていると、笑える場面をたくさん入れたくなります。映画館で僕の作品を見る時に観客が笑えば一番気持ちが良いんですよ。それでもずっと笑わせる場面だけ入れることはできません。脈絡がうまく合えば観客を笑わせられるのに, この点が難しいですね。

KIAFA:監督の作品は大部分ナレーションが入っていますね。ナレーションをたくさん入れる理由があるんでしょうか?
チャン:ナレーションが元々好きです。ウォン・カーウァイの映画が好きで。『恋する惑星(1994)』や『楽園の瑕(1994)』のような映画の中のナレーションの感じが好きです。そんな感じのトーンが好きで、ナレーションをたくさん使うみたいです。

KIAFA:監督の作品をみるとイ・ジンソクという方の声をたくさん使っていますね。プロの声優の方ではないようですが。
チャン:学校の同期です。声が優しくて、やってもらうようになりました。

KIAFA:アニメーションを作る時、予算が少なくても声は大部分声優を使うと思いますが、 友達をキャスティングした特別な理由は?
チャン:声優を使うと、典型的じゃないようにしてくれと言っても、訓練された人々なので自然ではなかったんですよ。ジンソクは一般人だけど、ボイスカラーがすごく良くて。声のトーンがすごく純粋で。でもそれを声優がやると、いかにも声優っぽい演技のトーンになります。僕はそんな感じよりは新しい感じが欲しくて。

■『ウリビョル1号とまだら牛』
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『ウリビョル1号とまだら牛/우리별 1호와 얼룩소/The Satellite Girl and Milk Cow』
(2013 / 82mins / 2D Computer)
宇宙に打ち上げられた人工衛星「ウリビョル1号」ことイルホは、長い間地球を観察しているうちに、人間の心に興味を持つようになっていた。イルホはミュージシャンを夢見る大学生、キョンの歌に惹かれ、彼を探しに地上へと落下。だが地上では、キョンは魔術の力によってまだら牛に変えられ、動物になった人間を狩るオー社長に狙われていた。イルホはキョンを危機から救ううちに人間の心を理解し、2人は徐々に接近していく。ふたりの恋の行方は? そしてキョンは、再び人間に戻ることができるのか?
★花コリ2015 長編プログラムで上映 大阪花コリ・ゲストで来日!★

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(この記事が出た当時のポスター:これも実際に映画で使われたシーンですが、パイロット版の絵を使っているため、実際の映画とは少し絵が違います。どこが違うかは、映画を観て確認してみてくださいね!)

KIAFA:『ウリビョル1号とまだら牛/우리별 1호와 얼룩소』もイ・ジンソクさんが声をなさるんですか?
チャン:今度は俳優がやるようです。まだ決められないんだけれど。
(追記:声優はユ・アイン(ドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』)と女優チョン・ユミが初挑戦して話題になりました!)

シン・ドンヒョン(以下、シン):僕もアニメーションを勉強して、いつも自分の話をしたいという思いはあるけれど、制作していると生活していかなければならない、という問題にぶつかるようになり、実際に制作するのが難しくなります。最初は制作しながらバイトも並行してやっていたと聞きました。大変な時、どんな風に堪えましたか?
チャン:お母さん。

KIAFA:お母さんを想いながら制作に臨んだんですか?
チャン:いいえ、親の手を借りました。
少しずつお金を返しています。

KIAFA: 監督は外大政治外交学科出身ですね。アニメーションに比べれば相対的に未来が保障されている学科ですが、アニメーションをやると言った時、ご両親の反対はなかったんですか?
チャン:なかったです。両親は僕がしたいことをして欲しいと。

KIAFA:監督は安定的な職業を願わなかったんですか?
チャン:一般的な大企業に行っても、家を買って子どもを育てて他人とまったく同じ人生を生きて行くのに、そうやって暮らすことに別に意味がないと感じたんですよ。
僕が大企業に入るといってもすごい富を蓄積できるわけでもなくて、僕は僕の人生を生きたいです。

シン:監督の作品のスタッフロ-ルでは、他のことを最大限排除して、作品のために努力したスタッフたちの名前を入れると聞きました。
チャン:僕は元々クレジットに映像が出るのが嫌で。ピクサアニメーションスタジオの作品をみるとスタッフロ-ルに映像が出たりするけれど、個人の趣向だと思います。僕はあまり好きではないだけです。
僕はクレジットも作品の一部分だと思います。作品全体のトーンと合わせないと。商業映画みたいなのは、楽しいトーンだから、深い感動を残す目的でない場合にはクレジットに違うのが出てきてもいいのでしょう。
ジャキー・チェーンの映画の場合、クレジットとともにNG場面が入ってるでしょ。ジャキー・チェーンの映画は娯楽映画だからNG場面が入ってもおかしくない。
でも『ぼくのエリ 200歳の少女』のような映画のクレジットにNG場面が出ると思うとおかしいでしょう。その映画の期待や幻想を壊してしまう。
たまに卒制で、エンディングクレジット部分に作った人の写真を入れている場合があるけれど僕はあまり良くないと思います。

KIAFA:長編アニメーションを準備している間での、何かエピソードありますか?
チャン:エピソードって大変だったということ? 長編は易しくないですね。実は監督として作品を作ることと、会社の社長として会社を導いて進むのとでは、かなり違うんですよ。 でもその二つの職を持つということは、本当に大変な仕事だと思います。

KIAFA:今まで短編アニメーションを多くやってきましたが、長編アニメーションと違う点は?
チャン:長編と短編アニメーションは完全に違います。
短編アニメーションを必ずすればこそ長編がうまくできるとは思いません。はじめから長編アニメーションをうまく作ることもできます。これはドラマや話を取り上げる面について言えることで、問題は、監督が、長編ができる技術的なノウハウやシステムは短編アニメーションを作っていればこそ分かる、ということです。また、そういう技術的な部分が裏付になるとしても、会社でまさに僕を長編アニメーション監督としては使わない。会社に見せるに値する何かがなければなりませんね。そうなると短編アニメーションを作らざるを得ないと思います。

KIAFA:長編アニメーションを作るということはとても大変な事のようです。
チャン:はい。制作コストを手に入れるのが大変です。投資家は自分がお金が儲かるような場合にだけ投資をします。でもアニメーションの場合、必ず成功してお金が儲かるという確信がなくて投資を受けるのがより難しいようです。

KIAFA:制作コストの部分以外に制作する時に大変だった点はなかったんですか?短編と長編はストーリーの進行方式とかが、かなり違うようですが。
チャン:完全に違います。

KIAFA:シナリオだけで1年書いていたと聞きました。
チャン:シナリオは今も書いています。長編商業映画のシナリオをうまく書くのはとても難しいようです。面白くないといけない、興行もよくないといけないから。僕が書きたいとおりに書けば、そんなに難しくはないだろうに。結果が必ず良くなければならないというプレッシャーがあり、より難しいようです。お金がたくさんかかるから、その責任を負わなきゃいけないものなどが生まれるのです。

KIAFA:作品を作っていない時は、主に何か仕事をなさるんですか?
チャン:元々はバスケをしていました。最近はスイミングをしていて。バスケをしている最中に足首をけがしたんですよ。それかゲームをするとか、お酒を飲みます。

KIAFA:時間管理は主にどうしているんですか?
チャン:下手です。スケジュール管理はユジン氏( KIAFA事務局長)が上手だが(笑)。
それでも出退勤時間はあります。作業する人が 4人を越えると出退勤時間ができるんですよ。出退勤時間ができて食事する時間もできて自然に規則的になります。
これは一緒に作業する人が増えてから、『コーヒーサムライ~』の時からそうなりました。短編制作だけ主にする時は、時間の概念なしに作業しました。

KIAFA:インターネットで検索してみつけたんですが、知識in(지식in:韓国のヤフー知恵袋みたいなコーナー)に監督がコメントしている文を見ました。普段、監督の名前で検索をたくさんするんですか?
チャン: はい、よく。作品がちょうど出た時はやるし、 ある程度経つとしなくなって…。
KIAFA:知識inのコメントの中に、生きるのが辛かったり、学生だったりすると監督が実際にコメントを送ったりする事があるんですか?
チャン:はい。最近は面倒でできてないけど。体力が以前のようになくて。

KIAFA:監督、ゲームが好きだと言っていましたが作品にたくさんアクションが出るじゃないですか、ゲームにたくさん影響を受けましたか?
チャン:僕は歴史ゲームが好きで全然関係ないです。「三国志」や「トータルウォー」というゲームをよくします。
歴史ゲームで、文明/三国志/トータルウォー(ローマ時代、日本将軍) は、作品に全然影響してないです。

KIAFA:作業しながらゲームする人をたくさん見ました。同じコンピューターで作業しながらゲームをするには誘惑が多いでしょうに、どうやって誘惑に勝つんですか?
チャン:だから良くない。僕たちの仕事は、外でやる仕事じゃないから。体も悪くなって。 ゲームして、それで情けなく感じて。この頃あまりしないです。やめました。全部片付けました。他の趣味を捜すつもりです。

KIAFA:映画の封切りはいつ頃する予定でしょうか?
チャン:今年しようと思う。年末にできると思います。

KIAFA:『ウリビョル1号とまだら牛』のトレーラーをみたんですが歌が良かったですよ。

OSTバージョン


チャン: コ・キョンチョンという方が歌いました。「熱いジャガイモ/뜨거운 감자/ Hot Potato」のキーボディストですよ。以前パク・ジヨン監督の音楽をやっていて、つながりました。 実は今作っている作品も初めはコ・キョンチョンさんをモデルに作りました。内容がかなり変わったんです。それでも主人公の名前は相変らず「キョンチョン」です。

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(パイロット版の時のイメージ画像)
実際に映画で使われたシーンですが、よくみるとイルホの洋服が違います。

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(パイロット版の時のイメージ画像)
こちらも、実際に映画で使われたシーンでポスターにも使われているシーンですが、よくみると、いろいろと違いますw
会場で確認してみてください!

KIAFA:監督の作品をみると背景に韓国がたくさん出てきますね。
チャン:意図したんです。現在の韓国のソウルの姿を盛り込もうと。でもやってみたらソウルの姿があまりよく盛り込まれてないですね。これからはファンタジーの世界に行こうかなと思います。

KIAFA:本も歴史小説が好きですか?
チャン:ローマ人の話、ナポレオン時代みたいなのが好きです。
小説も好きで、最近は本もたくさん読めなくて。最近何してたかな?


これから『都市で彼女が避けられないモノたち』『ラクダたち』を作ったパク・ジヨン監督にインタビューします。

■『都市で彼女が避けられないモノたち/도시에서 그녀가 피할 수 없는 것/The Things She Can't Avoid in the City』
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★インディ・アニフェスト2008大賞受賞★
パク・ジヨン/2008/12:45/2D, 3D
都市で一番安い家を購入した彼女の家が
都市の撤去作業によってクレーンで宙吊りにされてしまう。

■『ラクダたち/낙타들/Camels』
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パク・ジヨン/2011/10:30/2D Computer
昔恋人だった男女が再会する。男は何かを探し求めて彼女の元を去った。
女は何度となく別れを繰り返し、今や砂漠をさまようラクダのような心境だ。

‘今じゃなきゃダメ’スタジオで作品を作るもう一人の監督! わくわく!
チャン・ヒョンユン監督のインタビューが終わって、パク監督にインタビューをしようとすると、監督は学校に行かなきゃいけないとのことですが、KIAFAスタジオ訪問はこのままでは帰りません!
パク・ジヨン(以下、パク): 学校に行かなきゃいけないのに…。
KIAFA: どんな学校に行くんですか?
パク:ゲームコンセプトの学校です。
KIAFA:うわ~素敵です。他の分野を開拓するんですね. インタビューお願い致しますよ~。
パク: では、少しだけ。

KIAFA:> それではパク監督のインタビューを始めます。
スタジオ‘今じゃなきゃダメ’の創始期には大部分、男の方と一緒に働いていましたね。女性一人で、さびしくはなかったんですか?
パク: 年を取ると会話も似ていて、楽になるんですよ。若い頃は猫かぶるために控え目なとこもあったけど。今はほとんど同性友達のように過ごします。私は元々、人見知りが激しい方だけど、チャン監督は社交的で誰にでもよく接して、すぐ親しくなることができたようです。

■『レター/편지』

KIAFA:アニメーションの仕事をする前に郵便局で働いていたそうですが。郵便局は比較的安定した職業だから、これを捨ててソウルに上京して来ることは簡単な事ではなかったと思いますが。
パク:その頃には、物心がなかったのか衝動的に上京しました。安定的な職場、そういった所を去って、簡単に考えていたんです。今思えば、その時の選択を後悔してはいないです。当時の組職生活みたいなものがとても大変だったんですよ。実績主義の運営方式とか、そういうものが合わなかったみたいで。

KIAFA:郵便局で働いていた時も趣味で絵を描いていたと聞きました。
パク:初めはマンガからでした。マンガはアニメーションとは違い同好会みたいなのがあって接近しやすかったんですよ。その後、晋州で少し通った画塾があったのだけど、そこでアニメーションに触れ、そこで知り合った人々と一緒にソウルに上京しました。衝動的でした。

KIAFA:アニメーションをやりながら家族とトラブルはなかったんですか?
パク:どうしても両親は安定した職場が好きでした。今もたまに昔の話をしながら惜しがります。でも今、特に問題もなく、うまく暮らしているから、それで満足しているようです。

KIAFA:チャン監督の『レター』という作品を見た時、監督をモチーフにして話を作ったのかと思いました。主人公の女性が郵便局で働いているのが。
パク:実は私とは関係なく出たストーリーです。でも、みんな関係付けて見るようです。 私の話に似ていたりします。私が郵便局にいる時に、とても暇だったんですよ。でも『レター』を作っていた当時、私はスタッフで参加しただけで企画には参加していませんでした。

KIAFA:『都市で彼女が避けられないモノたち』の演出が印象的です。ボーイフレンドとの関係が、空中に浮いた家が搖れることで表現される点が面白いですが、このような演出はどこから影響を受けたんですか?
パク:まず初めに、空中に家を浮かべなきゃと思いました。その後に話を付け加えて行ったんです。どうせ恋愛話をする予定だったし、私がソウルへ来た時の心細い状況などを話そうとしたんです。これが言葉だけで表すには難しいから「バランス」という素材を「空中の家」という設定に入れました。

KIAFA:この作品で、女が猫の口の中に入って行った時、技法がかなり変わりました。その理由は何かあるんですか?
パク:口の中だから変えないとな、と思いました。

KIAFA:タイトルを『ラクダたち』にした理由は?
パク:ラクダは砂漠にいる動物でしょう。主人公の辺りの空間が徐々に砂漠に変わって行きながら、主人公の心も荒れてさびしくなるんです。ラクダたちは主人公の女だけではなく、そこにいる全ての人々を意味します。オウム男もそうで、コーヒーを配達する男もそう。皆が砂漠を歩いている、さびしさを感じるのはラクダではないか、という考えからタイトルを『ラクダたち』にしました。
実は最初企画した時は、ラクダが後半部分に出てきました。作品がとても長くなりそうなのでカットしたんです。

KIAFA:知りませんでした。『ラクダたち』をみると、ボーイフレンドがオウムで表現されています。
パク:ボーイフレンドは、表からみると紳士みたいな姿をしているけれど、実際の内面は違います。様々な姿を表現するためにオウムを使いました。

KIAFA:『ラクダたち』の男の声がチャン・ヒョンユン監督ですね。
パク:声優での録音もしたんですが、私の願う感じが出なかったので。

KIAFA:『ラクダたち』の終わりに女が宇宙へと去りますが、その理由は何でしょうか? 男とどんな関連があるのか。
パク:女が去ることは、男とは関係ないです。男は昔、付き合っていた人なだけです。女は、心が砂漠のように変わってしまったんです。宇宙に行ったのは、そういう選択をする時間がきて、行っただけ。宇宙に行くということは脱出とか、極端な選択を意味していて。男が女の生き方を砂漠にしたのではなくて、女が自らそういう生き方をして来ている途中で、ここでやめなくちゃいけないと思うようになったんです。

KIAFA:監督の作品をみると、素材で演出を意図することが多いですね。『都市で彼女が避けられないモノたち』の空中の家とか、『ラクダたち』の砂漠とか…。そういったアイデアはどこから来ているんですか?
パク:作品を作らなければと思っていると、徐々に輪郭が掴めてきます。思いつく絵を色々と描いてみてから、文章も書いてみる方式で進めます。私は演出をするやり方が明確ではなくて、制作を進めながら見つけていく方です。なので、より難しい点もあります。最初から起承転結が完璧に掴めているわけではないんですよ。

KIAFA:制作期間が長くならないですか?
パク:そうはならないです。制作は、作家が手放す瞬間に終わることだと思うんですよ。『ラクダたち』を作るには 3ヶ月かかりました。『都市で彼女が避けられないモノたち』は出勤時間が決まった状態で仕事をしながら作った作品です。作品に3Dが入っていたので、2Dと合わせるために長くかかったんです。

KIAFA:監督の作品は全て、女が別れた男との話を取り扱っていますが、次の作品も男と別れた女の話にする予定でしょうか?
パク:まだ分からないけれど、まったく同じではないと思います。キャラクターも似ていて、まったく同じ話だという感じがするようです。今度も主人公が女性になりそうだけれど。

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KIAFA:監督の最初の作品である『インスタントメモリー』は以後の作品と感じが非常に違いますね。
パク: 当時『インスタントメモリー』を制作支援の申請に出したけれど、いっぱい落ちました。
その時ソウルアニメーションセンターで商業的なアニメーションに支援をしていて、幸いにも私の作品と合って。
その次の作品を作る時には『インスタントメモリー』と話は似ているけれど、絵のスタイルを変えてみました。それが『都市で彼女が避けられないモノたち』でした。
実は『インスタントメモリー』のような作品は、これからもまたやってみたいとも思います。

KIAFA: 監督の作品のアートワークをみると、画家のモジリアーニが浮かび上がります。
パク: モジリアーニが好きです。そういう絵柄で試みたものです。『都市で彼女が避けられないモノたち』で終わりに出てくる場面がモジリアーニの作品に出てくるキャラクターです。

KIAFA:次に作品を作ろうとするなら、どんな作品を作るつもりでしょうか?
パク:特に決まったことはないです。もう少ししたら早く決めないと。

KIAFA:好きなアニメーション監督は?
パク:押井守監督の作品が好きでした。最近の作品はよく分からないですね。アニメーションだけでなく、まんべんなく見ていると思います。
KIAFA: 好きな本は?
パク:うーん…村上春樹の本はよく読んでいます。アルベール・カミュが好きです。
KIAFA: チェ・ユジン局長と一緒に、以前日本語の勉強をしたと聞きました。
パク: 時間が出来れば、やります。やってたのは5年前だったっけ? ずっと忙しくて。

KIAFA: ありがとうございました。 それでは最後にスタジオ訪問記恒例の、監督にとって○○とは?の質問 をします。

KIAFA:チャン監督にとってスイミングとは?
チャン:ダイエットすること。
KIAFA:チャン監督にとって結婚とは?
チャン: しなければならないけど、お金がなくてできないこと。
KIAFA:アニメーションとは?
チャン:したくないのに、しなければならないこと。
KIAFA:> 監督にとって他人の食べ物とは?
チャン: おいしいもの、大きく見えるもの。
KIAFA:監督にとって自動販売機とは?
チャン: 軍隊。軍隊に自動販売機があるんですよ。部隊ごとに違うんだけど、そこでコーヒーをたくさん飲みましたね。
KIAFA:監督にとって、模様のある動物とは?
チャン:猫?昔飼ってた猫に模様がありました。
KIAFA:監督にとって優しさとは?
チャン: 一日に2時間位。本性。 考えてみたら優しくないね。
KIAFA:監督にとってアニメーションセンターの支援とは?
チャン:生存。
KIAFA:監督にとって絵とは?
チャン: 好きなこと。最近は、あまりたくさん描かないですね。あ、最近はインターネットをやるね。知らない記事はないです。
KIAFA:監督にとってシスターとは?
チャン: ナンバーワンの子ども


パク・ジヨン監督
KIAFA:パク・ジヨン監督にとって絵の予備校とは?
パク:お金を捨てる所、捨てたお金の10パーセントだけ返してもらう所。新しい人生のための準備。
KIAFA:監督にとってチャン監督とは?
パク:捨てることができなくて連れているもの。
KIAFA:監督にとって広島とは?
パク:征服しなければならないもの。
KIAFA:監督にとって恋愛とは?
チャン: 不倫だろう。
パク:今すれば不倫。
KIAFA:監督にとって3Dとは?
パク:チャン監督が覚えて、私に教えてくれないといけないもの。早く覚えて~。
チャン:これを終わらせないと学べない!
KIAFA:監督にとって声優チャン・ヒョンユンとは?
チャン:タンコブできて固まったもの。
パク: タンコブできて固まったもの。
KIAFA: 監督にとってKIAFAチェ・ユジン事務局長とは?
チャン: ママ
パク: パパ


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チャン・ヒョンユン(「ウリビョル1号とまだら牛」監督)
1975年韓国生まれ。韓国外国語大学政治外交学科卒業後、韓国映画アカデミー・アニメーション学科に進学。在学中に短編「メイビー・アイム・ブラインド」「ティータイム」、またNHK「デジタルスタジアム」でも紹介された「レター」を制作。03年にアカデミーを卒業後、自主制作の「ウルフ・ダディ」が、DoGA CGアニメコンテンスト2007優秀賞をはじめ、広島国際アニメーションフェスティバル 2006で広島賞を受賞するなど、世界各国で数々の賞を受賞し、絶賛を浴びた。

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