キム・イエヨン、キム・ヨングン「お散歩いこ」&花コリスタッフトーク

「お散歩いこ」キム・イエヨン、キム・ヨングン監督&花コリスタッフトーク

2010年4月24日(土)愛知芸術文化センター・アートスペースE,Fにて

10-n0510-n04
ゲスト:キム・イエヨン監督、キム・ヨングン監督

司会:小沢(シネマコリア)、林緑子(ANIMATION TAPES
通訳:田中恵美、加藤知恵(シネマコリア
映画祭スタッフ:田中恵美(広報担当)、三宅敦子(KIAFA日本側窓口)


小沢:「私は今回、主催のシネマコリアの企画担当をさせて頂いております小沢と申します。
司会を務めさせて頂きますので宜しくお願い致します。」

:「私は今回、シネマコリアさんのお手伝いをさせて頂いております。
普段はNIMATION TAPESという名前で上映会の企画活動を行っております。林緑子と申します。
私も小沢さんと並んで司会を務めさせて頂きますのでどうぞ宜しくお願い致します。」

小沢:「ではこちらに並んで頂いております両監督と、通訳をされている皆さん。それから今回の花開くコリア・アニメーションの、まあ名古屋会場はシネマコリアも中心で
やらさせて頂いておりますけれども、東京と大阪でもやっている、全体の活動に関わられていらっしゃる三宅さんと田中さんに。では奥の三宅さんからご挨拶を頂ければと思います。」

三宅:「韓国インディペンデントアニメーション協会の日本側の窓口をしています三宅敦子です。
あとCプログラムで先ほど上映した『廃棄携帯回収大作戦』というのがあるんですが、そのメインアニメーターも務めました。」

oldmobile
「廃棄携帯回収大作戦/Old Mobile Phones Collecting Strategy」
キム・ホンジュン / 2009 / 0:05:58 / Puppet,Pixilation,Cut-out,Object


田中:「今回の花開くコリア・アニメーションで、全体の広報と通訳・翻訳などを務めさせて頂きました田中恵美と申します。
今日こうして日本の巡回上映の最終日を皆さんと一緒に迎えることができて、大変嬉しく思っています。」

ヨングン:「こんにちは。私たちは韓国から来ましたキム・ヨングン、」

イェヨン:「キム・イェヨンです。」

ヨングン:「私たちは先ほど上映したCプログラムの最後から2番目の『お散歩いこ』という作品を共同演出しました。
このように名古屋で皆さんの前で上映させて頂き本当に光栄です。
作品についての考えはこれから随時お話していきたいと思います。」

イェヨン:「私たちは共同制作者ですが、カップルでもありますので、
二人で一緒にここに来ることができてとても誇らしく、楽しいです。」

加藤:「今回サブの通訳を担当させて頂きます加藤と申します。
今回名古屋の企画を一緒にやっておりますシネマコリアという団体のスタッフとして働いております。
宜しくお願い致します。」

小沢:「では私の方から最初に質問をさせて頂きたいと思います。
キム監督の作品についてですが、この「お散歩いこ」の作品の制作のきっかけといいますか、
どうしてこの作品を撮ろうと思われたのかお伺いしたいんですけれども。」

イェヨン:「私たちは大学でアニメーションを専攻したのですが、アニメーションというのは視覚の芸術なので、
視覚について色々と思索する中で、現代社会があまりにも視覚にばかり集中しているのではないかと逆に考えるようになりました。
視覚(デザイン)を専攻する立場として、過度に視覚に集中している事態について一度考えを改めてみて、
視覚を除いた他の感覚にも感心を持ったことで、このことについての映画を作らなければならないと思い、
この作品を企画しました。」


walk01walk02
「お散歩いこ/Shall We Take a Walk?」
キム・ヨングン、キム・イェヨン/ 2009 / 0:08:57 / Clay, 2D, Cut-outs

小沢:「ありがとうございます。この作品は今回の上映作品の中で私も非常に好きな作品なのですが、
色使いも非常に鮮やかで、実際の実写的なシーンからアニメーションのシーンまで非常に色が豊かで。
また音にも非常にこだわりがあると感じまして、視覚障害者の方の世界をイマジネーション豊かに描いていると感じました。
この作品は本当に触覚、手を使ったシーンもございましたし、それから聴覚で感じた体験というのを色々なアニメーションで、
まあ作品としましてはスクリーンを通した音と映像ということで、描いていると思いますが、
どのようにイメージを構築して作られたのかなと。そしてその技法・テクニック、
それから正確なお二人の役割分担についてお伺いしたいと思います。」

ヨングン:「質問が色々あるようですが、まず初めに色と音をイメージ化することについてお話しすると、
最初に私たちは視覚障害者の頭の中に描かれている視覚イメージというのがどんなものなのか興味を持ち、
多くの論文を読んだり実験を行いながら少しずつ開発していきました。
色についても私たちが調べてみて分かったのは、視覚障害者の人たちの世界は暗闇だと考えがちですが、
実際には視覚障害者の頭の中には黒という概念すら無く、黒ではなくむしろ様々な色を想像することができるということが分かりました。
また実際に多くの視覚障害者の友人と過ごす中で、
色に関する形容詞や表現を彼らもよく使っているということが分かりました。
ですので作品に使われている色彩のほとんどは、本当にヨンガンが地図を作りながら、
『風はこんな色だと思う。』『地下鉄のホームから落ちた時は目の前が真っ暗になった。』
『水の色は虹の色だ。』というような彼の言葉を聞いて、
彼が選んだ絵の具を手で塗り、彼の感覚や言葉をそのまま活かして作りました。
触角で表現する部分については、私たちは一部を触った触覚の連続で物体の形態を把握するので、
手で触った跡の連続で一つの映像を作ることが出来るだろうと考え、スタンピングの技法を使い
それを繋げることで触覚をアニメーションで表現してみました。
音についてもお話するならば、まず視覚障害者の人たちは触覚もそうですが、
聴覚に多く依存しているので、サウンドには非常にこだわりました。
また別の点で、私たちを手伝って下さった視覚障害者の方たちに見て頂くことも考え、音には気を使いました。
ですのでこの作品には視覚障害者の人たちだけが感知できる音も含まれていると思います。
最後に役割分担についてお話しすると、私たちは最初の企画から最後に完成する瞬間まで、
全ての作業を一緒に行いました。部分的にはサウンドや音楽に関しては私が多く担当し、
アートやアニメーション部分はイェヨン監督が多く担当しました。」

walk03walk04


:「ありがとうございました。それでは次は三宅敦子さんに『廃棄携帯回収大作戦』についてお伺いしたいと思います。
まずこの作品に関わられるきっかけとなったことを教えてください。何がきっかけになったのでしょうか。」

三宅:「きっかけは、私は2008年の4月から去年の6月まで、韓国のストップモーション・アニメーションのスタジオの
mascoというところで仕事をしていたんですけれども、そのmascoという制作会社に仕事の依頼が来て。
韓国の環境財団から仕事の依頼が来て、
そこで仕事をしていたので私も携わることになりました。」

:「ありがとうございます。本作の技法について具体的に教えて下さい。
質感が立体に見えるんですけれども、質感がペタっとした感じがしていて、不思議に感じたんですけれども。
具体的にどのような形で作られているんでしょうか。」

三宅:「えーとまず怪物と回収ボックスは、人形だけ作ってそれをコマ撮りしたんですね。
コマ撮りした画像をパソコンに入れて、それを全部印刷して半立体にして。
紙にして、何枚も紙にした状態でキャラクターを作っておいて。背景はソウルの街並みを写真に取ったものを、
背景をこう(写真を立てて)置いて、紙になったキャラクターたちをこう(背景の前に)置いてという感じで。
立ててレイヤーを作ってやっていきました。」

:「ありがとうございます。この作品に関わる上で制作のご苦労や、工夫されたこと、
気を遣った点などについて教えて下さい。」

三宅:「この作品のシーンは全部一発撮りではなくて、テスト撮影を何度か試みて、
その中で一番良いものだったり良い表現を使ってやっているんですけど。
例えば怪獣が煙をバーっと回収ボックスに吐くところは、怪物の前にアクリル板を立てて、
その煙をどういう素材で表現するかというのを色々と試した結果、ハンドクリームと墨汁を混ぜて
それをアクリルに描きながらやったり。あと森が汚染されているところで、ぐちゃぐちゃと気持ち悪い液体があるじゃないですか。
それはでん粉に絵の具を混ぜて、筆とかでぐちょぐちょとやりながらやりました。」

:「ありがとうございます。色々と決まった素材を使って決まった様にやるのではなく、
その都度表現したい物に合う素材とかアイディアをみんなで考えて、
工夫して作っていったということなんですね。面白いですね。
それでは最後にこの作品を作るにあたって掛かったお時間と、それからスタッフは大体アニメーターの方は、
テロップでもちょっと出てたんですけれども、三宅さんはメインアニメーターということで、
その他の方はサブになるんですかね。何人くらいで、どういった体制で作られたかを教えて下さい。」

三宅:「基本的に指示するのはmascoのボスみたいな、キム・ホンジュン監督で。
アニメーターはメインは私がやって、あと軍隊が出るところがあるじゃないですか。
そこは兵役で軍隊に行った学生さんがもっとリアルにできるということで、学生さんに頼んでやってもらって。
あとテスト撮影とかもアシスタントの子にやってもらって。
モデリングの担当も一人だけいて、キャラクターを具体的に作ったりする子。
あとメカニック担当ということで、キャラクターの中に骨組みが入ってるんですけども、
その骨組みを作る人が一人。大量にキャラクターを印刷したものを切ったりしないといけないので、
それは監督が教えに行っている学生さんを使って、一番多い時は10人くらいですかね。
でもほとんど撮影する時は、ランチボックスを押す子一人と、アニメーションが私一人で、二人でやっていました。」

:「ありがとうございます。ランチボックスというのは、撮影をする時に確認をするための装置、
コマ撮りの確認をする。ちょっとだけ説明を、もしかして知らない方もいらっしゃると思うので。」

三宅:「動きを確認するのにランチボックスといって、本当にすごくでっかいお弁当箱、
お弁当というよりは爆弾みたいな、変な装置があるんですが。
それを押してコマ撮りすると、一コマ一コマ撮れて、再生するとすぐに動きを確認できるという。
でもそれは動きの確認だけで、実際の映像・写真は、カメラに撮ったものをパソコンに繋げて、
その写真を使って繋げて作品にします。」

:「なるほど。ランチボックスは確認だけで使われて、実際の映画としての作品の方には静止画として
写真に撮られたものをパソコンに読み込んで、ソフトで動画にしているということなんですね。
次は韓国アニメーションについてのフリートークということで、また小沢さんから
韓国アニメーションの制作現場の話についてお伺いして頂きます。ではお願いします。」

小沢:「ではまず両監督からなんですけど、今回の作品のまず資金ですね。というのは資金集めが難しいと思うんですけれども、
資金調達は一体どのようにされていますか。
公的なサポートとかもあれば、それも触れて頂けたらと思います。」

イェヨン:「韓国ではソウルアニメーションセンターで制作支援プログラムというものがあります。
短編アニメーション制作を支援するプログラムなんですが。
作品の企画と、今後どのように制作していくのかプロセスを書いて送ると、そこで大勢の教授と
審査委員が評価をして、毎年10作品程度を選出します。私たちの場合はそれに通過して作品制作をするに至りました。」

小沢:「ありがとうございます。では制作体制、作る段階ですけれども、制作したスタジオですね、
それとポストプロダクション、技術的な面をどのようにされているのか教えて頂けますか。」

ヨングン:「ソウルアニメーションセンターは制作支援金のみ与えるのではなく、サウンド録音室と映像編集室という
技術支援チームがあるんですが、その施設とスタッフの方の助けを借りて仕上げをしました。」

小沢:「ありがとうございます。あとは完成後の展開の仕方、どうやって上映機会を作っていくとか、
コンペティションに出すとか、そういったことについて教えて頂けますでしょうか。」

ヨングン:「韓国内にも色々と私たちの作品のような小さな映画を配給する会社があることはあるのですが、
アニメーションセンターには配給支援のいうものもあって、ソウルアニメーションセンターで主催する
映画祭や行事には自動的に出品してもらえます。他の映画祭については、様々な情報を提供する
クラブサイトがインターネット上にあり、そこで願書や制作・応募締切りを確認して書類を作成して送ると、
センターが持っている資料やサンプルDVDを映画祭に送ってくれるので、
そのようにして映画祭に参加しました。」

小沢:「ありがとうございます。表現として作られたものがそのようにして色んな方に見て頂けるのは
大変良いことだと思います。それからこういった短編のアニメーションというのは、
職業として作っていくというのはなかなか大変なことだと思うんですけれども、アニメーション監督で、
(大学に)在籍されていた方の卒業後の進路ですとか、社会に出てからどうやって両立して作っているのか、
もしくはどうなっているのかというのを含めてお伺いしたいんですけれども。」

ヨングン:「実は私たちは先ほどの『お散歩いこ』という作品が卒業作品でして、
既に卒業して次の作品を制作している最中なのですが、学校で学校の支援を受けて制作するのと、
社会に出て自立して作業をするのは大きな違いがあるというのを実感しているところです。
日本のインディペンデントアニメーションを制作される方も、生活面においては厳しい部分があると思うのですが、
韓国ではもっと、日本のようなアニメーションを活用した広告等が不足していて、商業的な活動をするのには難しい面があります。
その代わり、他の国と比べてどうかは分かりませんが、政府や企業の支援を受け易い環境にあるかとは思います。」

イェヨン:「私たちは去年一年間、そのような悩みの連続の中にあったと言えます。
卒業して社会に出てすぐに経済的な困難にぶつかり、周りで大変な思いをしながら
制作活動をしている友人や作家の方々を見て、今後どのように生活をしていくべきか真剣に悩みました。
多くの友人が悩んでいる問題ではありますが、私たちはアニメーションが大好きですし、
去年一年間悩んだ中で、私たちはまだ若いし、若いからアニメーションの未来と現実を
変えることができると考えるようになりました。
ですので今後もアニメーションの制作活動を続けるつもりですし、同様の悩みを持つ友人たちも、
就職活動や色々な放浪期間を通じて自分はやっぱりアニメーションが好きだということに気付いて、
またアニメーションの道を進んでいます。事実私たちは今作業場も無いし、生活を維持する十分なお金があるわけでも無いですが、
それらは夢を叶える道具であって、これから夢のために道具を揃えることはあっても、
道具のためにアニメーションをやめるつもりはありません。
韓国にいる多くの作家方も既に先に私たちと同じように悩みながら活動して来たわけで、
私たちは先輩方に比べれば多少良い環境で活動できているし、
私たちも今後後輩のためにもっと良い環境を作りたいと思っています。」

小沢:「ありがとうございます。同じような質問を、時間が若干短いんですけれども三宅さんに。
『廃棄携帯回収大作戦』についてと、ご存知の範囲で韓国のアニメーション作家の現状について。
制作費の問題ですとか、撮影後の状況、作家がどのように生活しながら作品を作っているのかについて、
多少なりともお答え頂ければと思います。」

三宅:「『廃棄携帯回収大作戦』の資金に関しては環境財団から依頼が来たのでそこからお金が出てて、
私が働いていたmascoというストップモーション制作会社は主に広告・CMの仕事をしたり、
実写の小道具とかを作ったりして資金を貯めて、余ったお金で自主制作の作品をスタジオで作るという感じでやっていました。」

小沢:「あとは韓国の制作者はどのような感じで両立しながら作品を作られているのかについてご存知の範囲で。」

三宅:「私は制作会社の前に映画祭の事務局で働いていたので、色々な監督さんと知り合うことになって、
その時に色々と聞いた話では、やはり政府からの支援があるということで、
それでお金を貰って制作できるという恵まれた環境があるんだなと思いましたね。日本と違って。
でもその支援金というのは、次の年も同じ場所からは貰えないので、二箇所あって、
一箇所で貰ったら次の年はまた違うところに申請して貰ってってやっているらしくて。
そういう情報とかを色んな監督さんたちが、横の繋がりがとても良くて、
監督さん同士で情報を教え合ったりしていて、すごい羨ましいなと思いましたね。」

小沢:「ありがとうございます。」

:「次は田中さんとまた三宅さんにお伺いしたいんですけれども、
今回この『花開くコリア・アニメーション』を日本で開くにあたって、お二人が全部三箇所、
上映三箇所の運営等色々な作業、広報等もされてらっしゃいました。
この運営を行うにあたって開催までのご苦労や気を遣った点などを教えて頂ければと思います。」

田中:「私は2008年度の東京での開催の時からこちらに参加させて頂いているんですけれども、
一年目は東京渋谷のUPLINKで、二年目は東京渋谷のUPLINKと大阪のPLANET+1という
やはりオフシアター系の映画館で、三回目は東京・大阪・名古屋と三箇所で上映ができることになりました。
正直なところを申しまして、第一回をやる時はですね、
私とか三宅さんは韓国のアートアニメーションの世界をある程度覗いていて、
三宅さんは本当にその中に飛び込んでいる状態で。その魅力やどうして好きなのかというところを
非常に分かっていたのですが、その魅力をどのようにみなさんに伝えていくのかということころが、
3回とも広報をやっていたのですが、非常に大変でした。」
広報については後でもう少しお話したい内容があるんですが、とりあえず三宅さんに。」

三宅:「すごい恵まれてるなと思ったんですが、UPLINKで開催することになったのは、
2007年の映画祭の時に、タイの監督なんですが、ウィスット・ポンニミット監督(通称タムくん)という日本で活躍されている監督がいて
日本人がマネージャーで、その方がUPLINKで上映会を開催したことがあったらしくて、
その関係でUPLINKを紹介して頂いて。その次の年に、2007年(のアニフェスト)が終わってすぐに
東京で上映しようということになってやらせて頂いて。その次の年の大阪は、2008年の時に
Animation soupという大阪で自主上映会をやっている団体があるんですけれども、
その方をインディアニフェストでゲストで呼んだんですね。それがきっかけで大阪でも上映できることになって。
人との繋がりが色々と、映画祭を紹介できる場所へと導いてくれたというか。
名古屋も(2009年)11月の『テコンV』の上映会でシネマコリアさんと繋がって、
こうやって開催できることになって。すごく人の繋がりで支えられてるなと思いました。」

田中:「今、人の繋がりで支えられているというのは非常に本当に私も。今回もシネマコリアさんと
ANIMATION TAPESさんのご協力というか、ぜひやりたいというお気持ちが無ければ
実現しなかったと思っていますが、逆に言えば、普通のビジネス的な配給のルートでやろうとしたら
まだちょっとできないんじゃないかなという、まだこういうことってメジャーな企画としては
なかなか受け入れられないんだなということも、実はその反面、同時に感じていることではあります。
だからこそこうして皆さんの、お子さんのいる友人が誠意と熱意で成り立っている
イベントだと言ってくれたんですけれども、そういうところから、韓国のアニメーション・アートアニメーションが好き、
じゃあこんなに魅力的な作品があるんだねということを誠意と熱意で伝えたり、
またもう一人伝言形式で伝えてもらったりというところをこれからもっと努力していって、
現状を少しでも、ちょっと空いた穴を少しでも大きくしていく努力が必要なのかなと思っております。」

:「ありがとうございます。それではお二人は日本の運営側として、東京会場・大阪会場、
そして本日の名古屋会場と三箇所を回られていらっしゃいます。
名古屋会場についてはまだ開催中で終っていないので何とも言えないところだと思うんですけれども、
それぞれの違いやそれぞれの良かったところなどを教えて下さい。」

三宅:「今回大阪ではワークショップをしたんですね。『お散歩いこ』の監督さんと作品で出てくる技法を使って
参加者を募って。そのワークショップがやっぱりすごい面白くて、具体的に何をやったかというのは
あとで監督さんに話して頂いた方がいいのかも知れないですけども。大阪は二日やったんですけども、
大阪上映&WSレポ)一日目にワークショップをやって、二日目にそのワークショップで完成した作品を上映するということになって。
監督さんが皆さんが作った動画をホテルで半ば徹夜して編集して下さって、音も付けて。
音はその場で参加者が録音したものを使って。上映時間に、はっきり言って間に合わなかったんですけれども、
でも上映するまでイェヨン監督が、『お散歩いこ』に関するメイキングのトークを
ずっとして場を繋げていてくれていて、無事に上映することができて。それがスリリングで面白かったです。」

田中:「私もそうですね。大阪ではやはりただ見に来て、ただ帰って頂くということだけではなくて、
ワークショップで一緒に何か韓国の人たち、もしかしたら初めて韓国の人に接する人もいるかも知れないし、
あるいは初めてアニメーション作ってみるという人もいるかも知れない。
そういう中で一方通行ではなく、一緒に何が出来て、一緒に何が出来るかわくわくして、
一緒に出来たものを楽しめるという機会があったことが、アニメーションの原点をみんなで
共有することができたのが、非常に良かったと思います。
東京での会場の様子なんですけれども、東京は実は三回目になりますのでけっこう常連さんというのが
そろそろできてきまして。『三回目になるんだけど今年も来ちゃいました』
『良かった、今年もやってくれましたね』とか、『来年もぜひやって下さい』とか
『DVD今度新しいの絶対持ってきて下さい。期待してます。』とか、数はもちろん多くはないですが。
UPLINKも大体60席くらいのハコで、その中で大体二日間通しで200人位の方が来て下さったので。
もしかしたら決して自主上映として多いとは言えないのかもしれないですけども、
徐々に韓国のアートアニメーションを身近に感じてもらえる方が増えたのかなということは、
東京では毎年新たに感じていることです。」

:「ありがとうございます。この名古屋開催に至った裏話を小沢さんの方から教えて頂きたいなと思います。
今回この名古屋上映は、巡回は初となりますよね。この開催の経緯について教えて下さい。お願いします。」

小沢:「はい。私シネマコリアでは10年以上前から韓国の映画、まあ当時は韓流ブーム以前でしたし、
韓国映画も長編の劇場用も、娯楽作品を含めてたくさん来る状況ではなかったんですけれども。
その中でより多くの作品を上映して、日本の方に見て頂きたいと。それも放っておいても劇場でかかる映画ではなく、
自分たちで上映するからこそ見て頂く作品をたくさん上映したいということで活動して来ました。
長年経ってきまして、比較的劇場の娯楽作品は放っておいても大分上映される形にはなってきたんですけれども、
こういった短編という作品のジャンルに関しましては、まだまだ紹介の機会が少ないというのが現状だと思っています。
そのようなことがありまして、若干ながら増えて行った上映機会でも、やっぱり東京のみ、
東京・大阪のみで終っていて名古屋の方に見て頂けない作品も少なくなかったというのが現状だと思っております。
それで約2年位前、一昨年くらいから短編の韓国の作品をなるべく上映しようということで
模索しておりまして、その中でも特にアニメーションという観点から上映会をしたら面白いのではないかという風に考えました。
その頃ちょうどこの『花開くコリア・アニメーション』の東京が一昨年始まったところでして、
最初は若干三宅さんなどとメールのやり取りをさせて頂いたという経緯になります。
その後一つの企画としまして、昨年させて頂きました、先ほど名前も出てきましたが、
昨年11月に私どもが韓国60年代・70年代の古典長編アニメの上映会というのをやりました。
この中で特に68年の韓国初の長編アニメの『ホン・ギルドン』という作品に関しましては、
復刻上映に関しましてこのKIAFA、チェ・ユジンさんを含めた団体の方が
たくさん関わって頂いた作品でございまして。その関係でチェ・ユジンさんとも色々やり取りさせて頂きまして。
今回昨年までされていました東京・大阪でやったものを、今年はできれば名古屋でもさせて下さいとお願い致しまして、
その後チェ・ユジンさん、三宅さん、田中さん等と色々お話させて頂きながら進めさせて頂いて、
今回今日を迎えたということになります。」

:「ありがとうございます。それでは今回の開催にあたっての、ご苦労された点や工夫された点、
気を遣ったことなどについて教えて下さい。」

小沢:「なかなか商業的に儲かるといったジャンルではございませんので、一体どうやって宣伝していくのか
といったところから手探りで色々やってまいりました。
その中でもこれだけの方に見に来て頂けたのは本当に嬉しく思っております。ありがとうございます、本当に。
まあこういった名古屋のアートアニメーション誌(REAR)も後ろの方に準備しておりますので
後ほどお手に取って頂けたらと思います。大変緊張してなかなか上手く話せないんですが、
本日に関しては、まあ多少ドタバタしてお見苦しいところもあるかも知れませんが、
上映もそれなりにちゃんと綺麗に写っていたようですし、本当に安心しているところではございます。」

:「どうもありがとうございます。それではそれぞれお一人ずつ今後の展開やご活動について、
教えて頂ければと思います。それでは三宅さんからお願いします。」

三宅:「今私は日本に帰って来ていまして、これからもこのインディアニフェストの日本巡回上映に
携わっていきたいと思っています。東京・大阪・名古屋だけじゃなくて、もっと全国管区地に
遊びに行けるようにしたいので(笑)、もっと巡回できるように、日本でインディアニフェストを面白いぞ
という風に頑張って口コミしていきたいと思います。」

田中:「3年前からこの上映会に関わるようになってきまして、正直始める頃は、そもそも韓国に
アートアニメーションなんてあるの?というところから出発していたらどうしよう
というのがあって、実際にメディアの方に持っていくと、鳩が豆鉄砲食らったような顔をされるというのがあったのですが。
三回目になるとお馴染みのところではなくても、こういう韓国のアートアニメーションの上映会がありまして、
こうこうなんですと媒体の方に説明しますと、『ああそうなんですか』と。載せる載せないはともかくも
『面白そうですね』といって下さったり、あるいは『載せたいのでもっと詳しく話を聞かせて下さい』
というような媒体の方がけっこういらっしゃって、それは韓国のアートアニメーションが
海外の各国で頑張っていらっしゃるというのはもちろんなんですけれども、韓国の文化や社会のあり方
というものが徐々に日本の人にとって自然なもの、あまり違和感が無いものとして受け止められているんではないか
ということを思いました。ですので今後も、もちろんアートアニメーション自体が若干マイナーではありますが
その中でも、私も三宅さんも本当にアートアニメーションの世界が好きなので、という一念のみですが、
韓国のアートアニメーションの作家さんと日本のアニメが好きな人たちがもっと身近に接することが
できるような機会をどんどん作ったりしていきたいと思っております。ありがとうございました。」

ヨングン:「私たちはこれからもずっと作品を作っていくつもりですが、今現在も作品制作中で、
それは(2010年)6月に完成する予定です。その後も続けますが、アニメーションにも関心はありますが、
インタラクティブ・フィジカル・メディアやメディアアート方面にも興味があるので、
様々な形式で自分たちの世界を表現できるように、色々と方法を模索しながら一生懸命努力するつもりです。」

イェヨン:「今制作中の作品が終って次に考えている作品は、先ほどの質問ように、今後アニメーターとして
どのように生きていくかをテーマに、私たちと私たちの周りの友人を主人公にして、
韓国でアニメーションに従事する人たちの悩みと、その悩みをどのように解決するのか、
私たちの姿を一年間写し、私たちが決めた目標を達成する過程をドキュメンタリーとして長編で制作するつもりです。
これは全て実写で撮りはしますが、私たちが考える方式自体がアニメーションなので、私たちの意思疎通の過程や考え、
悩みを解決する過程をアニメーションを多く使って表現するつもりです。
そして今後韓国と日本のインディペンデントアニメーション業界がお互いに交流を深め、
韓国でも日本のインディアニメーションをたくさん見ることができ、
日本でも同様に韓国の作品が見られるようになれば良いと思います。」

加藤:「韓国のアニメーションにこういった形で関わらせて頂くのは初めてなんですけれども、
私自身も韓国ですとか韓国の映画にはとても関心を持って関わってきた経緯がありますので、
今後ものその韓国や韓国映画が好きという気持ちを大切にして関わって行ければいいなと思っています。」

小沢:「今後の私の活動というのは具体的には何も決まっていないんですけれども、基本的には韓国の映画というキーワードで、
放っておけば誰かがやって商業ベースに乗るようなことではなく、
自分たちが機会が作れないようなことを。なるべくそのような機会を掘り起こして、
放っておいたら見る機会を失うような作品を一人でも多くの方に見て頂く機会を作って行きたいと思います。
この短編アニメーションにおきましても、今の段階では来年どうということは言えませんが、
また来年同じように機会を作っていけたらという風に思っております。」



<質疑応答>
質問者:「実は僕は大阪でも一度見たんで、その時も質問いっぱいしたんでちょっと申し訳ないんですけど、
どうしようかな。すごい細かい話をしていいですか?すごく細かい質問なんですけど、
『お散歩いこ』の中でヨンガンのお姉さんが目を開けるシーンが2回位あるんですよね。
それがどういう意味を持ってるのかなというのがすごく気になってて、
もし良かったら。最後お姉さんがなんで手を上げてるのかなとかね。そういうシーンあるでしょ?
いきなり最後にすごい細かい質問で申し訳ないんですけど。」

ヨングン:「実は視覚障害をテーマにした初めの段階から、視覚障害者の感性の正体について表現しようと思っていました。
人と人が疎通するというのは互いの感性を自分の感性で解析する過程だと考えますが、
ヨンガンが世界を見ている感性をお姉さんが自分の感性で受け入れる過程であり、
またヨンガンも自分の話をお姉さんにしてあげながら一緒に散歩をする過程なので、
ヨンガンはお姉さんに目を閉じて一緒に感じることを望んでいたし、お姉さんの場合も完全に
ヨンガンの頭の中を理解することはできないだろうけれども、姉の立場で最大限ヨンガンの感性を
理解しようとしていたと。ですので最後のシーンについては、ヨンガンにとってはあの銅像は、
実際には人魚の銅像なんですが、冷たくて涼しい感じなので海の色だと言っていました。
でもお姉さんがふと見るとそれは橙色で、それでもヨンガンにとってはそれが海の色なので、
『夕方の海の色は橙色だから夕方の海の色なんだね』と言いながら、お互いの立場で同じ感性を
共有するシーンとして表しています。」

質問者:「『お散歩いこ』のそこがすごく良いと思う。(韓国語を交ぜて)たまにお姉さんが目を開けるから良いんです。
それで最後に病院を見ながら目を開けたらだめって言う時があるんだけど、
そこがすごく良いと思う。そこがすごく良いというのが僕が『お散歩いこ』が良いと思うところ。」

:「ありがとうございます。」

小沢:「ありがとうございました、長い時間。」


(文章書き起こし:加藤知恵)
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント