インディ・アニフェスト2014審査評

インディ・アニフェスト2014審査評

本選審査委員は、日本から来た日本アニメーション協会会長古川タク氏、韓国大衆音楽学会会長のキム・チャンナム氏、花コリ2013上映「パパのおかしな好み」やTVシリーズ「G-FIGHTERS」を演出しているパク・ヒョンギョン監督、詩人で社会学者のシム・ボソン氏、長編「発狂する現代史」のホン・ドッピョ監督、ロンドンから来たMewLabアニメーションスタジオのキム・ノーチェ氏の6名です。

*日本語のタイトルは変更することがあります。

<総評>
私は、ヨーロッパの東側に来たのも初めてで、韓国も初めてで、ソウルも初めてでした。他にもいくつかの映画祭やアニメーションフェスティバルに行き、韓国の作品も観ましたが、いっぺんに吟味して、一つの作品を他の作品と結びつけて、より広い視野を持つ機会が決してありませんでした。韓国アニメーション全体について言うことはできないような気がします。観てこなかったあまりにも多くの作品、音楽のように聴こえる言葉、出会ったばかりの美しい文化、すべて知らないものばかり。
まず初めに、技術力と主題からみえる深みに驚きました。学生作品から独立した作家まで、アニメーションテクニックのクオリティーは非常に高かったです。そしてテーマは常に、彼らの視覚デザインととても素晴らしく合っていました。
スタイルは厳しいものから磨かれた作品まで、大きく変わります。しかし、作品全体において、「アニメーションと映画的言語」の不変的な探求がみられました。個人の声が作品の中で輝いていて、アニメーションという”存在”、アニメーションができることに挑戦し、賛美しています。
このフェスティバルはインディペンデントアニメーションを芯まで擁護しており、本当に素敵なイベントです。ここで作品と作家達が創作のために、韓国、そして世界中の未来のアニメーションを形作るために、主張し、討論し、お互いを大事にすることができます。(審査委員を代表してキム・ノーチェ)
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■大賞
「デフラグ/Defragmentation」 ファンボ・セビョル
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この作品は人間の記憶をコンピューターのメモリーに当てた、新鮮なアイデアをアニメーション固有の媒体的特性と絶妙に調和させた秀作だ。この作品は“人々は誰もが自分だけの苦しい記憶を抱いている”という物悲しい真実を観客たちの心の中に思い浮かばせる。最後にこの作品は、極めて個人的な記憶の問題を女性、家族、戦争のような社会的なイシューとも連結させる。ややもすると思弁的に、あるいはセンチメンタルに片寄る主題を果敢なタッチと躍動的なイメージで表したこの作品は、本選に上がった作品の中で特に著しかった。
そしてこの作品はただ滑らかな完成度のみを見せるだけではなかった。ちょっとしたディテールから全体の構成にまで、作品には監督だけのスタイルと感性と思惟が染みこんでおり、また溢れていた。そのようにこの作品は観客と審査委員たちを自分だけの言語で魅了した。この作品に大賞を授与することは極めて自然な選択だった。(シム・ボソン)
<追記>花コリ2015 Bプロで上映
ファンボ・セビョル監督、東京ゲスト決定!


■一般優秀賞
「椅子の上の男/Man on the chair」チョン・ダヒ
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あれこれと考えに耽ったある男がいます。私はどこから来て、どこに行くのか?私が属したこの宇宙は何か? 分からず、終わりもない質問がつながり、男は自分の考えの中に落ちこみます。彼の考えは果てしなく拡張されて、宇宙を出入りし、自分の実存を疑うに至り、男は結局、自分の存在の深淵の中に消えます。
誰もが果てしなく繰り返す、このような質問を監督は豊かな視覚言語で表現しています。超現実的で、象徴的なイメージたちで構成された画面演出と清潔なアートワークと粋な音楽たちが一団となって、観客にとって映像を見る楽しさを与え、共に深い思惟の世界へ落ちる素敵な作品です。(パク・ヒョンギョン)
<追記>花コリ2015 Cプロで上映


■学生優秀賞
「Checking Man」イ・ウジン、チャン・ジウン、チェ・ジョンワン
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とてもシンプル、とてもクリアーでスマートなグラフィック デザイン。
そして、日々の生活の中のちょっとした出来事を心地よいタイミングで見事に描きだした作品。
なんと言ってもsence of humorが光っている。近頃の世界の短篇アニメーションではsence of humorの力が少し劣っている傾向がある中に、突如として現れた、これはもう絶品のsence of humor作品だ。これから世界中の映画祭で拍手喝采で迎えられることは間違いない。(古川タク)
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<追記>花コリ2015 Cプロで上映


■デビュー賞
「Beautiful」ウ・ジン
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審査会議で、この賞に関する議論は長くはありませんでした。
一人がこの作品を取り上げた時、全ての審査委員達が深く共感して、首をうなずき始めました。ほんの数秒で私達はこの作品が受賞すると分かりました。この作品は変な夢をみて目が覚めて、誰かにそのことを話そうと思う時のように説明するのが難しい作品の中の一つです。作品は深く胸を打ちます。作品は微妙な真実を抱いているようです。しかし言葉での説明は、あなたの期待を裏切ります…。
アニメーションの特性中の一つは、観客を他の世界で包み込むことができるということです。どんなに奇妙な世界でも。そしてそうやって人間の状態の自分自身と自らを照らし合わせます。この作品は索漠としていて超現実的なスタイルに、魅力的なモーフィング技術とシンプルだけど奥深い隠喩で、創造、完成と失敗の世界へと旅させます。まだ観ていないなら、観てください、あなたの中で育つことを約束します。この作品は早く消化するのではなく、ゆっくり吟味しなければならない。
この審査委員によって選ばれる多くの作品のように、この作品はアニメーションだけが成し得る本質、美しさと魔法を掴んでいます。(キム・ノーチェ)
<追記>花コリ2015 Bプロで上映


■審査員特別賞
「悪心(アクシム)/Aksim」イ・ソンガン

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インディ・アニフェストが今年、10周年を迎えました。
しかし韓国のインディーズ・アニメーションはインディ・アニフェストが開催される前、90年代にももう存在していました。
あの時活動した監督たちとその方々の作品が現在韓国インディーズ・アニメーションの原肥になってくれたと敢えて言うことができます。
今回の審査委員特別賞に選定された作品は、
国土が二度変わる歳月が経っても、原肥ではない木になろうとする、彼の夢と相変わらず熱い創作欲を熱くしたこの作品を通じて感じることができました。
この作品は、ちょうど芽生え始めた多くの若芽たちに亀鑑となってくれる作品だと思います。(ホン・ドッピョ)
<追記>花コリ2015 Aプロで上映


■音楽賞
「日々の罪悪」キム・イェオン
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音楽賞は新たに新設された部門です。既存の事例がないので、審査過程は、アニメーションで音楽の役目がどういうことなのかに対して審査委員たちがお互いに意見を交換して合議して行く過程でもありました。画面に対してあまり先に進んだり、遅れを取ったりせず、作品の中によく溶け込み、交じ合いながら全体の主題と雰囲気を適切に表した方が良い音楽というのが、私たちの考えです。全般的に音楽をよく使った良い作品が多くて、選定過程は簡単ではありませんでした。その中で、少し風変りな音楽を見せてくれたこの作品を受賞作で選びました。この作品は音楽賞として劣らない作品です。ユーモラスな作品の雰囲気を壊さず、穏かにかかり、必要な所で適切に耳を打つジャズ風のサウンドが印象的でした。特にコンピューターサウンドではなく、直接スタジオでセッションした演奏を通じて録音されたサウンドという点で、高い評価を受けました。(キム・チャンナム)
<追記>花コリ2015 Bプロで上映


■サウンド賞
「言葉のない時間/Fall into Silence」イ・スンスン
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サウンド賞も、今回新たに作られた部門です。サウンドは画面の中、行為と事件にリアリティーを与え、観客たちが早く自然に受け入れながら没頭できるようにする効果的装置です。本選に上がった大部分の作品は、適切なサウンドの具現という点では劣りませんでした。私たちが受賞作に注目したのは、意思疎通の一番力強い手段である台詞なしに、ただサウンドだけで疎通しているという点です。この作品は沈黙に関して語っています。沈黙が持つ共感と疎通の力を台詞なしに、ただ多くの形態の音だけで伝達するのに成功しています。サウンドを通じて沈黙を語るこの作品に、サウンド賞を授与することに審査委員たちは、合意するのに難しくはありませんでした。(キム・チャンナム)


■KIAFA特別賞
「シルム/SSIREUM」クワク・ギヒョク
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まずKIAFA特別賞の意味についてて説明します。
KIAFA特別賞は韓国インディーズ・アニメーション協会会員たちが私たちの意志を汲んでくれる賞です。審査委員と対象作品という距離感ある接近ではなく、アニメーション作家として仲間としての愛情を汲んだ賞だと言えます。
今年の受賞作品は圧倒的なアニメーティングと小さな筋肉の動きまで研究して描かれた作品です。観るだけでも本当にたくさんの努力が入った作品だとわかります。
私たちは、前作からこういう傾向を維持して来た監督の意志と根気に支持を送ろうと、この作品を選定しました。
(KIAFA特別賞審査委員:キム・チョンファ、チャン・ヒョンユン、チョン・ドンヒ、代表してチャン・ヒョンユン記す)
<追記>花コリ2015 Aプロで上映

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