『恋人たちの部屋』『走る男』のチョン・ヨンソク監督スタジオ訪問記

『恋人たちの部屋』『走る男』のチョン・ヨンソク監督スタジオ訪問!
by KIAFAスタッフ KIAFA CAFE(2014/2/20)より

『ソロ脱出鬼(仮)/솔로탈출귀』というホカホカの新作を制作しているといううわさを聞き、チョン・ヨンソク監督のスタジオを訪ねてみました!
監督のウィットのある作品のように、面白い話をたくさんしていただきました。

弘益大(美大:通称ホンデ)エリアにある韓国映画アカデミーにある監督の制作室。
現在『ソロ脱出鬼(仮)』という長編アニメーション作業真っ盛りでした。

『별주부』のキム・ソゴン監督も長編を一緒に制作していました!
それからアートディレクションを担当するソン・ジェオさんは、チョン・ヨンソク監督の制作に関わるのは、既に今回で4回目だそうです!
キム・ソゴン監督とソン・ジェオさんはタブレットで、蛍光灯が反射する物を遮るために孤軍奮闘中でした。
超大量に積まれている作画紙!! 映画アカデミーで作られた長編アニメーションの痕跡です。
1作品を完成させるために流れた血と汗が目で確認できました。

chon01.jpg


KIAFA:こんにちは、チョン・ヨンソク監督、スタジオ訪問に応じてくださってありがとうございます。アカデミーの建物がよくわからなくて横の建物に入ってしまいました。
チョン・ヨンソク(以下チョン):元々サンアム洞のDMCの方にいたんだけど、去年ここに移りました。
KIAFA:アカデミーを卒業して、制作支援を受けて今、長編を作っていらっしゃいますが、アニメーションは大学の時から専攻していたんですか?
チョン:初めはデザイン学部に入って、専攻分けの時、視覚デザインに進みました。元々はマンガが好きで、幼い頃からマンガ家を夢見ていたので、美大に行かなきゃと思って、入試準備をしました。それがどうしてかデザイン科に入り、それでもマンガを描きたい気持ちからサークル活動をしていました。そこでちょうど同じような同期達の中に、ソゴンやボンス(チェ・ボンス『かわいい少女』Link into Animated Korea2008で上映)のようなアニメーションをやりたい友達に出会い、一緒に制作をするようになりました。専攻ではなくて。
KIAFA:では、動き等は独学で?
チョン:はい、高校の時からパラパラ漫画とかたくさん作っていて。
KIAFA:私達もそのパラパラマンガ関連のワークショップがあって、教科書に描くアイデアとか…。
チョン:パラパラマンガにしやすいメモ用紙みたいなのも売ってますよねw
KIAFA:パラパラマンガはどこに描いていたんですか?ノートに?
チョン:教科書にも描いてみたし、足りなくてパラパラマンガ用の分厚いメモ用紙を買って描いてみたこともあります。
KIAFA:では学ばずに、ただ好きで始めたんですね?
チョン:ええ、そうです。それにやってみたら「イケるじゃん?」と思って…。大学入試の時にポートフォリオとして出したら、かなり関心を持って観てくれました。
KIAFA:元々好きでずっとやってきてたんですね。マンガではなくてアニメーションをしなきゃと思ったんですか?
チョン:高校の時まではマンガでしたが、高校の特別活動の時間にアニメーションを観る部活動をしていたんですが、その時に観た『風の谷のナウシカ』がとても感銘深くて…。
KIAFA:『風の谷のナウシカ』なら完全に日本式、という絵柄ではなかったですよね。
チョン:そうですね。顔の半分が目で、アゴが尖ってるような絵柄じゃないから、個人的にジブリの絵柄が好きです。
KIAFA:ジブリスタジオの作品の中で特に好きな作品は?
チョン:『ルパン3世』『天空の城ラピュタ』みたいな、ちょっと躍動的なモノが好きです。穏やかなモノよりは『紅の豚』も本当に好きです。
KIAFA:最近のジブリの作品についてはどう思いますか?
チョン:実は最近のは、まだ観てないです『風立ちぬ』を観なきゃと思うんだけど上映館があまりなくて…。
KIAFA:評が割れてるみたいです。
チョン:予告編を観て、口が開いてしまいました。「最初から決意して作ったんだな…」と。
KIAFA:アニメーションをやってる人は『崖の上のポニョ』の話をよくしますね。波の上を走るシーンのような部分の技術性と映像美。
チョン:物々しいですしねww
KIAFA:では、高校の頃からアニメーションをずっとやりたかったのに、なぜ美大に行ったんですか?
チョン:美大は…基本的に絵を描くことが好きだから…。話すと長くなるけど。僕は元々小学校の時からノートにマンガをたくさん描いていて漫画家になろうと思っていました。当時、僕が中3で河南(ハナム)市にアニメーション高校ができて、入るのが難しい上にまだ卒業生がいなくて、その学校に行けば勉強は別にしないといけないという話を聞きました。両親が勉強を別にすることに対して心配しており、絵を描くのは賛成だけれど大学に行ってしなさいと言われました。それで人文系の高校に進学し、美大に行くことになりました。高2から美大入試予備校に通って。最初は世宗大マンガアニメーション科をねらってたけど、予備校で半分に分類され、ホンデの実技科目だった石膏水彩画もやったし…その当時はそれも面白かったです。
KIAFA:石膏デッザンとか、後でアニメーションやるのに役立ったでしょう。
チョン:とても役に立ちました。形態能力を育成するのに基本的に。実はストップモーションの場合は、他の友達にたくさん手伝ってもらいました。
KIAFA:ストップモーションで一番大変なのがアーマチュアだとか…。
チョン:そうですね。アーマチュアも、手足をつくるのも大変です。
KIAFA:監督の『恋人たちの部屋』とても面白かったです!クマのぬいぐるみの登場も、とても細かくて、子どもの頃流行ったキーホルダーの模様に似てて。
チョン:姉の机の上にあって小道具に良いと思って使ったんですよ。

KIAFA:では、大学で美術を専攻して、アカデミー入学への経緯は?
チョン:大学の時、学科の先輩の中に、卒業してアカデミーにいった人がいて。パク・ジェオク監督(花コリ2014東京ゲスト)。その時、パク・ジェオク監督がアカデミーで短編を作っていて、実習作品を作っている時、僕もここに来てスタッフとして参加していたんです。その時、色々見聞きしていたら、僕は大学の時アニメーションや映画、シナリオ等を学べなかったから、もうちょっと体系的に学んでみたいと思って入学しました。
KIAFA:アカデミーに入るのは、とても難しいという話ですが、ポートフォリオを準備したりしたんですか?
チョン:長編トリートメント10枚ぐらい、短編作品、自己紹介10枚ぐらい…?
KIAFA:自己紹介10枚!?
チョン:ええ、10枚w。それはかなり大変でした。アカデミーのアニメーション科は、そんなに競争率高くないですよ。志願者がそんなに大人数でなくて。だからうまくいったんだと思います。
KIAFA:アカデミーは特に大学卒業後に行く所だから、大学でアニメーションを既に専攻した人達も多いでしょう?
チョン:ほとんど半々ですね。アニメーションを既に専攻した人の場合は4年間専攻で勉強してきたのに、ここでもう1年やる必要があるのかと思う…。
KIAFA:専攻者についていくのが大変な点はなかったのか…。
チョン:個人的に練習作をたくさんやってきたから…まあ大丈夫だったけど、一度図案を作ってみただけの友達の場合はちょっと大変だったでしょう。アカデミーで制作技法を教えることのみを目的とする授業をあんまり提供しないんですよ。主にシナリオ、演出、映画作品分析等に焦点を合わせるから。
KIAFA:監督は演出がとても絶妙ですね。ギャグコードとかタイミングが。
チョン:ありがとうございますw
KIAFA:では『翼』『かわいい少女』これらの作品は大学の時に趣味で作ったものですか?
チョン:映像サークルの上映用に作りました。モーショングラフィックみたいなのもやって、アニメーション、実写撮影もして。

lovelygirl.jpg
「かわいい少女/Lovely Girl」
チェ・ボンス/2007/0'50"/drawing,2D
親指ほどの可愛い少女、可愛い少女に巨大な手がいたずらをする。

wing.jpg
「翼/The Wings」
チェ・ボンス/2007/2'33"/drawing,2D
鳥をつかまえて食べる原始人の背中に翼が生えてきた。
原始人は自由に飛行を満喫する。

KIAFA:サークル活動がけっこう役に立ってますね。
チョン:そうでしょう!
KIAFA:『かわいい少女』をみて衝撃を受けました。
チョン:ああいう血噴いて割れちゃうような感じ…そういうのがうまい友達がいて。チェ・ボンスという。
『ソロ脱出鬼(仮)』を一緒に制作しているキム・ソゴン監督が登場。
KIAFA:お2人はいつから親しいんですか?
キム・ソゴン(以下キム):そんなに親しくないけどw
KIAFA:『かわいい少女』について話していたんですけど、一緒に制作されました?
キム:その作品、超嫌いw
KIAFA:エンディングクレジットが流れて出てくる声…特に強烈でした。『かわいい少女』がとっても短くて強烈で…。
チョン:その強烈さは、ボンスの功が大きいです。
KIAFA:でもなぜ『かわいい少女』というタイトルなんですか?
チョン:少女が最大限かわいくなければいけなかったんです。
KIAFA:消しゴムというコンセプトにした特別な理由は?
キム:よくわかりません。なんでそうしたか。僕は生かす部分をやるといって自分なりに努力しました。残忍さを抑えようとしてw
KIAFA:『翼』もチェ・ボンス監督と一緒に?
キム:ええ、チェ・ボンス監督が主導的に、作ろうと言って。
KIAFA:『翼』はどうやって企画したんですか?
キム:皆で集まって、韓国の「宮崎駿」とか冗談いって、アニメーションをつくらねばという考えから。その時、ボンスがアイデアが浮かんだ、と言って。

KIAFA:ではチョン・ヨンソク監督がキム・ソゴン監督の雇い主なんですか?
キム:実は契約書にはチョン・ヨンソクの名前はないです。「教授の話をよく聞くこと」というのはあります。
チョン:ええ、僕には権利がありません。
KIAFA:ずっと共同監督してらしたでしょう、個人制作をする長所は?
チョン:個人制作の方がかなり楽です。僕がシナリオも書いて、演出も思いのままにできて。共同制作をすると分担してやらなきゃいけないんだけど、個人制作は自分ひとりで全部できるから。
KIAFA:フィードバック面では少し不足しがちじゃないですか?
チョン:個人制作をしていてもフィードバックぐらいは別に頼めます。
キム:誰と共同監督をするかによっても違ってくると思います。
KIAFA:共同監督をしながら、意見の衝突みたいのはなかったですか?
チョン:特にそういうことはなかったです。パートを確実に分担してやってるから。
KIAFA:ストーリーを作ったりする時は?
チョン:ボンスがアイデアを出して、『かわいい少女』の場合は、僕が簡単な絵コンテを描くことから始まりました。
KIAFA:結局は『かわいい少女』はチョン・ヨンソク監督から始まって…あ、監督!その『吸血鬼の初恋』に『翼』のキャラクターが出てくるって?
チョン:よくわかりましたね?そうです。カメオ出演。

chon02.jpg
現在制作中の長編アニメーション『ソロ脱出鬼(仮)』の静止画イメージ

KIAFA:今、制作している『ソロ脱出鬼(仮)』という作品、コンセプトを見ましたが、まだ初期段階なんですか?
チョン:はい、まだ初期段階です。
KIAFA:『Greendays~大切な日の夢~』に若干似た感じがしました。
チョン:実は僕は『Greendays~大切な日の夢~』の絵柄が好きで。マンガの絵柄はあまり好きではないんですが、『Greendays』の絵柄はなぜか丸々して、アニメーションしやすく描いてあり、韓国的な感じもして好きです。
KIAFA:とても好きです。監督の作品を観るとキャラクターが皆異なった顔つきで。いろんなスタイルを消化しているみたいで…。
チョン:僕もまだ明確に「僕の絵柄はこれだ!」というのがなくて。僕が好むスタイルは暖かくて、観た時、楽な絵が好きです。若干昔っぽい感じがしても。

「Green Days~大切な日の夢~」アン・ジェフン監督スタジオ訪問
『Green Days~大切な日の夢~』「真!韓国映画祭」試写会&監督トーク

KIAFA:『ソロ脱出鬼(仮)』は『吸血鬼の初恋』をもうちょっと発展させた感じですね。
チョン:意図したわけではないんだけれど、なぜかコードがうまく合ってしまったようです。僕がちょっと超現実+現実的な雰囲気みたいなものが好きで。幽霊というコードも…。
KIAFA:少女の幽霊…韓国の幽霊じゃないですか。わざわざ少女の幽霊をその素材に選んだ理由は?
チョン:ただ僕は幽霊、オバケ、宇宙人というものに関心が高くて、そういう素材で話を作ることについて、たくさん考えていました。初期コンセプトは、一度も彼女ができたことがない窮極のソロ(シングル)男が死んで少年の幽霊になる話から始まったんだけど。ただそのソロ男が少女の幽霊に出会い、恋愛をする話を作ることになりました。
KIAFA:キム・ソゴン監督は『ソロ脱出鬼(仮)』ではどんな部分を担当しているんですか?
チョン:全体的なスタイルを作っていくこと…?アートディレクターです。ソン・ジェオという人と2人で、背景、小道具、キャラクター、カラー雰囲気といった視覚的な部分を全部担当しています。
キム:うまくやらないと…。
チョン:うまくできてるよ。
KIAFA:監督の作品を観ると、全部本当に細かいですね。思わぬところからパッと広がるのも多いし。
チョン:そういう部分が多くないと。成敗の要因と言えます。
KIAFA:そういったギャグコードは、主にどこから影響を受けるんですか?
チョン:影響というよりは、場面を考えながら頭の中で一度それをプレイしてみます。そうすると「こうすると面白い」と思うものが生まれます。
キム:動作、アクティングから来る楽しさのようなものも多くて。『恋人たちの部屋』の場合は、見えない感情的な部分を視覚的に表現したりしました。

A02_A_Couples_Room01.jpg
「恋人たちの部屋/연인의 방/A Couple's Room」(花コリ2013 Aプロで上映)
 2012/4:46/チョン・ヨンソク
ソンミンとスジンは恋人同士だ。ある日ソンミンはスジンから突然別れを告げられ、何とかしてスジンを繋ぎ止めようと必死になる。

Director's note
別れの場面で感じる心理的な衝撃と不安を、視覚的に表現しようとした。


KIAFA:私はちょっと悲しかったです。
チョン:悲しかった?なぜ?
KIAFA:100%経験談みたいだったからw 台詞が短いのに深くて、共感できて面白かったです。
チョン:台詞を書く時、皆に助けてもらいました。もっと面白いの何かないか…男女間で行き交う言葉が『恋人たちの部屋』のポイントなので、台詞一つ一つがもうちょっと面白くなきゃと思いました。もうちょっとパッとした展開があれば良かったけど、あのくらいで仕上げました。
KIAFA:その時作った背景やキャラクターは、今も保存しているんですか?
チョン:背景は大きすぎて既に分解しました。キャラクターは保存しています。手垢がたくさんついて、後半の方、キャラクターの顔黒くなって、服もヨレヨレになっちゃって。
KIAFA:『恋人たちの部屋』の企画を始めたきっかけは?
チョン:昨年アカデミーに通っていた時、最初の実習作品でストップモーションをやらなければいけなくて…。ストップモーションだから最大限一つの空間で解決しなきゃ、それに最小のキャラクターでやらなきゃ、というアイデアから出発しました。
KIAFA::ストップモーションの方でも才能があるようですが、続ける計画は?
チョン:実は僕、キャラクターを作ったりとか手作業にあまり自信がなくて。映画を撮影するみたいで、とっても面白かったけれど、モデリングを手伝ってくれる誰かがいて、適したストーリーがあれば、またやってみても良いと思います。でもストップモーションやってると、間違って触っちゃったり、弾いたりしたらちょっと大変だったから。
KIAFA:今回インディ・アニフェスト2013では、ストップモーション特別展もやったりしたけど。
チョン:ストップモーション自体は面白いけど。キャラクターコントロールは絵の方がしやすいし、楽だと思いました。ストップモーションの場合はキャラクターが浮いてたりすると針金で固定しなきゃいけないけど…。
KIAFA:構図みたいなものは頭の中で全て考えているんですか?
チョン:はい。頭の中には完成した絵があって。何度か試みて一番近いものを選びます。
KIAFA:それでは、これからはほとんど2Dで制作するつもりですか?
チョン:「2Dだけやる!」というわけではないけれど、でもそれが一番楽だから…。
KIAFA:2D+3Dの形態も考えてますか?
チョン:ええ。それに僕は、描かれた絵が動く時に得られる感動、喜びを放棄できないから…2Dにしろ3Dにしろアニメーション自体を続けていかなきゃ…。
KIAFA:『ソロ脱出鬼(仮)』の完成は、いつ頃ですか?
チョン:2015年くらい?そしたら僕は(韓国の年で)30になる。ずっとやっていたい、アニメーションは。これ終わったら短編制作も続けたいし、機会があれば長編アニメーションも一緒に続けてつくりたいし。
KIAFA:今、この時、長編を作れるのは幸運だと思います。他の監督達をみると何年もかかる方も多くて…。長編のような場合は、制作支援の有無によって制作期間がかなり変わってくるそうですが。支援を受けられなければ、もっと時間かかるみたい。
チョン:ええ。なので僕もかなり良い機会だと思っています。僕の夢が30になる前に長編アニメーションをつくってみる、ということだったから。それがこんな風にちょうど機会ができて。
KIAFA:アカデミーでは長編作品はどうやって支援してくれるんですか?
チョン:年によって実写映画3作、アニメーション長編1作、というように支援してくれます。昨年アカデミーに通ってたし、卒業する時、長編のシナリオを提出したんです。卒業生の中から当選しました。
KIAFA:では、監督のシナリオが選ばれたんですね?
チョン:ええ。その時と話の内容はかなり変わったんですけど。昨年(2013)シナリオデベロップ課程を経てコンセプトだけ維持して内容は、かなり補強、修正されました。今はシナリオが追い込み段階で、細かい部分のディテール修正をしています。

KIAFA:『走る男』が卒業制作でしたよね。
チョン:はい。アカデミーで最初の作品が『恋人たちの部屋』で、『走る男』が2番目の作品ですが卒制になります。
KIAFA:1年で2作?では各6ヶ月ずつ制作していたんですか?短い期間に…。
チョン:ええ、短いでしょう。充分な時間ではなかったです。スケジュールを合わせて走るのに大変でした。
KIAFA:短い時間で作業をたくさんされたのをみると不思議です。監督の年に比べて作品歴がけっこう多いじゃないですか。出勤退勤時間を決めてやっているんですか?
チョン:今はそうしています。この作品はスタッフと一緒に作業しているので。でも僕一人作業している時は、実はデッドラインがあれば、また分からないか…1年に一つ作ったか?一人は大変でしょう。アカデミーの場合はいつまでに終わらせろ!って言うから「そうなのか。その時までに終わらせなきゃ」とw。あ、『走る男』をもっといっぱい上映してもらわなきゃいけないのに…。
KIAFA:私は主人公にすごく共感しました。『走る男』(花コリ2014 Cプロで上映)の企画意図は競争社会に対する表現でしょうか?
チョン:文章上の企画意図は「競争で苦しむ現代社会の私達若者たちの自画像」でした。
KIAFA:実際の企画意図は?
チョン:元々、強迫観念のある男から出発したんだけど、例えば、境界線を踏むことができないとか、そういう人いるじゃないですか、周囲に。そういう男の日常を描いてみれば面白い、と思って。最終入社を控えて競争しようというアイデアを考えると、韓国社会の現実ともよく合っていたんです。
KIAFA:キャラクターを最初に考えて作品を作ったんですか?
チョン:『走る男』はそうです。普通は面白そうな場面、またはイメージから始めます。
KIAFA:他の監督は、日頃自分が持っている世界観を表現するためにアニメーションを作る方も多いですが…。
チョン:僕は、僕が面白いと思う作品をやるのが一番重要です。最初の観客はいつも自分だから。自分が楽しく作れるのが重要。それに自分が面白く作業して、面白いと思う部分を他の人も面白く見てくれているようです。

C09_The_Running_Man.jpg
「走る男/달리는 남자/The Running Man」
2012/10:00/チョン・ヨンソク
ヒョンテは入社試験の最終面接を前に、これが今まで通過してきた無数の競争の、最終段階だと思っていた。彼は何としても合格して、競争から脱けだそうとするが、最終面接に受かるには、どんな状況でも必ず勝たなければならないと考え、面接会場へと向かう間も、些細な競争に執着する。そんな中、彼は自分と似た境遇のライバルに出会い、競争はますます激化するのだった。

Director's note
韓国の若者たちは、受験戦争、単位取得、就活戦線など、さまざまな競争の中で生きている。競争から脱するために異常なまでに競争に執着する主人公の姿を通して、生き残るためには嫌でも走らなければならない韓国の若者たちの自画像を描いてみたかった。



KIAFA:短編と長編の作業は、けっこう違うでしょう?
チョン:ええ、まだ長編は制作に入ってないから…プリプロダクションの段階で…。確実に初っ端から違うと感じています。短編は結局簡単だ、とは思わないけど、長編は本当に全然違います。プリプロダクション・コンセプトをつかむ時も考えなきゃいけないことが多すぎて…出てくる人物数、背景数も比較できないから…。参加スタッフもはるかに多いし…。既にやっている先輩の話を聞いてみると人間関係が一番大変だと。スタッフ達との関係とか…。
KIAFA:定期的な会食と宴会を頻繁にやって親睦を深めないとですねw。

KIAFA:監督が一番好きなアニメーション作品は何ですか?
チョン:宮崎駿の『天空の城ラピュタ』を好きで一番何度も観ました。
KIAFA:何回観たんですか?
チョン:10回は越えてます。高校の時以降…宮崎駿を知ってからずーっと。映画はクリストファー・ノーランが好きです。『メメント』『プレステージ』『フォロウィング』等々。その時から構成を混ぜながら息苦しく駆け抜ける演出をしていました。積極的に一緒に推理しながら参加しながら観るような映画が好きです。そういうアニメーションをつくってみたいです。演出も呼吸も速くて、映画的、シナリオ的によく構成された作品。今敏監督がそれに近いと思います。『千年女優』『パプリカ』のような作品…。
KIAFA:影響を受けた作品もそういう作品ですか?
チョン:ええ、ジブリ作品にたくさん影響を受けました。『カウボーイビバップ』『エヴァンゲリオン』とかは観てなくて。

KIAFA:ではアニメーションを作るとき、アメリカ、日本、どのスタイルが好みですか?
チョン:日本、アメリカ二つとも混ざっているようです。リミテッドやフル作画…主にリミテッドをやりますが、二つが絶妙に混ざっているのが観るのにも良いですし、作るのにも容易だから。アニメーションは言葉通り、生きて動いている味がなければいけない…リミテッドだけに固執しても観る面白みが減るし、だとしてもディズニーのような全てフルの作画はできないから。

KIAFA:作品を作っている時、ストレスを受けると思いますが、その時の解消法は?
チョン:カフェで何も考えずに休みます。一人で。それか友達呼んでカラオケに…。
KIAFA:アニメーションをしていない時は何をしていますか?趣味とか。
チョン:友達と遊んだり、お酒も飲んで、話したり、ゲームしたり、趣味で家でギターも時々弾きます。

KIAFA:友達は皆さん卒業して就職してますよね?
チョン:ええ。女の子達は既に就職して何年か経ってるし、男の子達も多くは就職して…。留学して勉強したりフリーランスで自分の制作をしている友達もいます。

KIAFA:スタジオ訪問恒例の「監督にとって○○とは?」の時間です!
監督にとってアニメーションとは?
チョン:一生涯の友達
KIAFA:ではキム・ソゴン氏、チェ・ボンス氏は?
チョン:彼らはただの友達です…大学の同期w
KIAFA:友達とは?
チョン:辛い時、助けてくれる存在。
KIAFA:レーシック手術とは?
チョン:早くやらなきゃいけないこと。
KIAFA:反転ある男とは?
チョン:僕とは少し距離があって、意図しなくなってしまったこと。
KIAFA:カラオケの18番は?
チョン:カラオケに行くたびに歌う曲。
KIAFA:それは辞書的な定義じゃないですか!w
KIAFA:ひまわり式の愛とは?
チョン:退屈なのに真実の愛。
KIAFA:死後の世界とは?
チョン:僕がこの世界を行きながら何をしてきたかによって変わってくる世界
KIAFA:別れとは?
チョン:別離というまた違う始まり(キャーと自ら感嘆する)
KIAFA:女の人とのケンカとは?
チョン:負けながら勝つこと(また感嘆)
KIAFA:最後に監督にとって制作との恋愛とは?
チョン:契約恋愛2014年1年間恋愛代行。答えがどんどんおかしくなっていくw
KIAFA:ケンカせずにうまく恋愛できますように。以上でスタジオ訪問を終わります!

忙しい時間を割いて、スタジオ訪問をさせてくださったチョン・ヨンソク監督からのメッセージです!
『ソロ脱出鬼(仮)/솔로탈출귀』ご期待くださ~い!
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント