花コリ2014作品小話その4 韓国国外で活躍する作家たち

今年の花コリは留学生や海外で活躍する作家が目立つのも大きな特徴です。

インディ・アニフェスト213で見事グランプリを受賞した『Le temps de l’arbre(木の時間)』(花コリ2014 Aプロ)は
チョン・ダヒ監督がフランス留学中に制作したネイチャー・オムニバス。
インディ・アニフェスト2013の授賞式にはフランスからのビデオレターが届き、受賞所感を述べていました。

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『Le temps de l’arbre(木の時間)/나무의 시간/The Hours of Tree』
2012/8:18/チョン・ダヒ
木の生きる周期は私に、人間の生とは異なる種類の生の時間について、考えさせてくれた。
この映画は、人間と木のさまざまな生のかたちからインスパイアされた物語を、
ひとつにまとめてオムニバス形式で表現している。

Director's note
時間の上を漂いながら、地に足を付ける場所を見つけられずさすらう人間は、木のように根付くことを願う。反対に木は人間を見て自由を切望するからこそ、枝をいっそう遠くに伸ばし、葉を揺らすのだろう。木がひとつの場所で時間と季節の変化を経験するように、カメラを一定の空間に置いてその中で起こる変化を観察するという構成にした。




Bプロ『38 - 39 ℃』のキム・ガンミン監督はカリフォルニア芸術大学(CalArts)の学生です。
日本と同じく銭湯文化のある韓国、銭湯をモチーフにした作品は何作品かありますが
(花コリ2013 Cプロで上映の『The Bathhouse』)、この作品も銭湯の湿度が感じられるような質感と味のある
(日本で言うと昭和な感じの)空間の造り込みがたまらない、センス抜群の作品です。

コマ撮り好きの方に!『38 - 39 ℃』一部入りのキム・ガンミン監督のショーリールはこちらで見られます。
      ↓
KANGMIN KIM_REEL(vimeo)

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『38 - 39 ℃』2011/07:50/キム・ガンミン
銭湯を訪れた中年男性は、温かいお湯に浸かって眠り込む。
夢の中で父親に出会い、気まずい雰囲気の中で、彼は父親の蒙古斑を洗い流そうと必死で垢を擦る。

Director's note
消え行く韓国の文化空間である銭湯を、アニメーションで作ることで観客と共有し、韓国のストップモーションの独特のスタイルとコンテンツを伝えたいと思った。ストップモーションは消え行く古い銭湯のように、CGアニメーションの発展によって随分と肩身が狭くなった。ストップモーション作家として、消えゆく銭湯を表現するだけでなく、ストップモーションの美しさと独特さを観客に伝えることも、この作品の重要な企画意図の一つだと考えている。それによって、アニメーションを志す多くの学生が、CGだけではなくさまざまな技法を試みるきっかけを作りたい。また、海外の映画祭で韓国のストップモーションの独自性を伝えたい。



東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の、キム・イェオン監督『私の額縁』とキム・ハケン監督『MAZE KING』は二つとも台詞が日本語作品。
韓国のインディ・アニフェストで上映するために韓国語の字幕を入れなおしたとか;

C02_My Frame
『私の額縁/나의 액자/My Frame』
2012/07:29/キム・イェオン
妄想に苦しみながら、自らの病気を絵で表現するK。
夢の中で巨大な額縁を見つけ、作品を作ることが自分の運命なのだと信じる。

Director's note
2008年ごろに経験した個人的なエピソードを、アニメーションにしました。
どうしても表現したいという衝動から生まれた作品です。


trailer | MAZE KING

『MAZE KING/메이즈 킹』
2013/07:01/キム・ハケン
もうここにはいられない。明日の朝、ここを出よう。
迷路の中のピエロは、遊園地の住人である少女、女装家、軍人、犬のところを訪ね、
みんなを何としてもメリーゴーランドに間に合わせるよう急かすのだった。

Director's note
誰にでも訪れる人生の分岐点、そこに立つ時の心情を表現した。

キム・ハケン氏の作品(vimeo)



花コリ2014名古屋会場ゲストのBプロ『痛くない』のキム・ボヨン監督もロスとソウルでグラフィック・デザイナーとして活動する国際派。
彼女が手がけた『痛くない』は、誰もが経験する「抜歯」をテーマに、ブサカワキャラの魅力が炸裂する、心優しき逸品です。
彼女のその他のイラスト作品などは、彼女のホームページでみられます。

『痛くない』のトレーラーはこちら↓


『痛くない/아프지않아/Replacement』
2013/18:15/キム・ボヨン
ついにこの時が来てしまった。前歯がぐらついていることが、母親にバレたのだ。
歯を抜く日がカレンダーに書き込まれ、子どもは何も手につかず、歯が抜かれることだけを一日中考えておびえている。痛くないふり、抜かなくてもよいふり、寝たふりをして、恐怖の抜歯から逃れようと抵抗する日々。
自分を捕まえにやってくる、灰色の顔の「歯人間」による恐ろしい罠にはまり、身動きできないまま連れて行かれてしまう。

Director's note
歯を抜くことは、自分の体を切り離さければならないという恐怖と苦痛を伴うが、より丈夫な新しい歯を得るためには避けられない交替(replacement)の過程であると同時に、時期的に一番最初に経験しなければならない、もしかしたら最初の成長の関門だといえる。生きていれば、避けられず乗り越えなければならないことも経験するものだが、痛みがあれば補償も伴うということが全く分かっていなかった、幼いころの瞬間がある。その中で一番恐ろしい経験だった、歯を抜いた記憶を最大限生かして、イメージで表現した。また、成長の過程に押しつぶされそうになった子どもが、歯を抜く苦痛を経験した後に好きな子との共感を得られるという物語から、痛みの後の甘美な補償を予感させるように描いてみた。


今回の花コリ2014では上映しませんが、キム・ボヨン監督が『痛くない』と同時期に作った
『まね/흉내/Impersonation』も、あとからジワジワ来る面白さ。

『まね/흉내/Impersonation』トレーラー
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