『Kopi Luwak』ハン・ジウォン監督スタジオアロ訪問記by KIAFA

『Kopi Luwak/커피루왁』ハン・ジウォン監督のスタジオアロ訪問記by KIAFA
(KIAFA naver CAFÉより2013.03.21)


KIAFA記者は春を目前にした3月のある日、作品制作中のハン・ジオン監督がいるスタジオアロ(알로)を尋ねました。仕事部屋は慶煕大学がある回基(フェギ)駅に位置していました。スタジオアロのこじんまりした雰囲気に惹かれました。スタジオに入るや否や目立つ大きな植物。植物があまりにも大きいので冷蔵庫がかわいく見えます。植物の名前は"スタジオアロ"の名前とも関連ある熱帯地方の観葉植物“アロカシア”です。横にあるストーブのおかげでスタジオの中がとても暖かかったです。

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KIAFA:去年(2012)1月からスタジオを準備していたんですか?
ハン・ジオン(以下ハン):ええ。

KIAFA:長編を準備しているんですか?
ハン:今やっているのは、短編のものを仕上げるのが1つあります。

KIAFA:他の方々もアニメーションを制作しているんですか?それとも違う分野の人もいるんですか?
ハン:基本的には皆、アニメーションです。

KIAFA:スタジオがこじんまりしてステキですね。
ハン:他の人が少しインテリアに凝っていて…(笑)。

KIAFA:光を遮っている感じがしますが、何か意味があるんですか?
ハン:ええ、建物が2階だから向かい側が見えちゃうのもあって、集中力が増すのも事実だし。春になると窓を開けたりしますけど。少し暗い方が落ち着いた感じで。


KIAFA:AniSEED(KIAFAの配給事業)契約はどのような経緯で?
ハン:よく覚えてないんですけど、インディ・アニフェストの時、初めて訪れたんですが、初めて事務局に行った時の印象がとても良かったので。私は初めてなのに、私と一緒に作業した方々を皆知っていてびっくりしました。愛情がたっぷりな感じがして信頼できました。あの時、配給についての話を聞いて、確かフェスティバル以後に契約したと思います。


KIAFA:2010年度にインディ・アニフェスト、グランプリーを受賞したでしょう。その時、ジヨン氏がボランティア活動をしていて監督を見たと言っていましたが、とてもきれいな監督だと絶賛を…。
ハン:ありがとうございます(笑)。

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「Kopi Luwak」 ★インディ・アニフェスト2010大賞受賞★
ハン・ジウォン/ 2010 / 0:23:46 / 2D
バンド仲間のイェミとカンボは17歳。進路に悩む微妙な年頃。

KIAFA:インディ・アニフェストはどうして出品されたんですか?
ハン:2009年度にインディ・アニフェストを見に行きました。その前にもインディ・アニフェストについてはDVDを見たり、うわさを聞いたりして映画祭のことは知っていました。2009年度に作品を見て、たくさん驚いたり印象深くて。当時は制作中なので鑑賞した後に火が付きました。2010年度に、制作が終わった時期と出品時期がうまくマッチして出品することになったんです。

KIAFA:特に印象深かった作品はありましたか?
ハン:2009年度のホン・ハクスン監督の作品にも驚いたし、スタジオYOGの『お散歩いこ』も不思議でした。他の作品に接する機会が実は多くなくて、良い作品をたくさん見て、行って刺激もたくさん受け、落ち込んだりもしたし(笑)、負けん気が生じて、より一生懸命するようになりました。

KIAFA:受賞は予想していましたか?
ハン:いいえ。上映されるのだけでも良くて…ストーリーがあるのでは初めての作品でしたし。

KIAFA:『Kopi Luwak/피루왁』は卒制でもなくて学部生の時に作ったものでしょう?
ハン:はい。2年生の時、定期作品といって1年に一度ずつ作品を提出するのがあって、その時作った作品です。

KIAFA:賞金、活用しました?
ハン:賞金ですか?生活費と旅費に使いました。確かその時ソフト等もアップグレードしたと思うけれど、よく覚えていないです。いつの間にか無くなりましたね(笑)。

KIAFA:インディ・アニフェストの時、他の監督さんたちと仲良くなりましたか?
ハン:いいえ。実は仲良くしたかったけれど、そういう席に慣れてなくて。ちょっと人見知りするタイプですから。

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受賞式の写真
左から審査委員長で元KIAFA会長イ・ヨンベ監督、ハン・ジウォン監督、前年度大賞受賞したホン・ハクスン監督


KIAFA:監督が大賞を受賞する時のエピソードを聞きました。『Kopi Luwak』受賞当時、監督のお父さんが、私の娘だと誇らしげにしながら、後で早く家に帰らせてくれと頼んだと。
ハン:ええ。チャン・ヒョンユン監督にも、父が「あの子は早く帰って来ないといけないんだ」と言ったって。

KIAFA:お父様は厳しいんですか?
ハン:厳しい方ですが、娘たちが芸術系をやっているから縛り付けないようにする方です。その日、賞を受賞しないかも知れないのに家族が皆行くって聞かなくて、来ないでって止めたのに、行くんだって言って、恥ずかしかったけれど、受賞して幸いでした。

KIAFA:今年も出品を計画していますか?
ハン:今年はちょうどありまして。今仕上げをしている短編が。4月に完成を目標にしています。

KIAFA:今回の作品も少し長いですか?
ハン:『Kopi Luwak』より長くなく、15分位になります。『Kopi Luwak』の場合は台詞形式のドラマだったけれど、今度は主人公が“犬”なので台詞がほとんどないです。初めてやってみる方式なので制作期間が少しかかりました。

KIAFA:その作品はいつから始めたんですか?
ハン:一昨年夏か秋くらいから始めました。去年は他の事があってこの作業を少しおいておいて他の事をしていて。純粋に作業期間を計算すると1年半くらいかな。

KIAFA:作業パターンはどんな感じですか?
ハン:主に自由な方で、寝る時間だけ規則的に守ります。学校が終わった後の残りの時間はすべて制作です。ぴったり何時間やるというよりは、できるだけ作業をたくさんやって、疲れたら外に行ってきたり、お腹がすけば食事をして。

KIAFA:徹夜は、よくしますか?
ハン:元々は徹夜を勧奨する方だったけれど、ちょっと気を付けるようになりました。最近は学校にも通ってるから徹夜をするととても大変で…。

KIAFA:今回の作品は卒制ではないんですよね?
ハン:ええ、違います。けっこう前からやってきた作品だから違うし、卒制は別に考えています。

KIAFA:もし出品されるなら学生部門で?
ハン:よくわからないです。卒制は学生部門に出すのが理に適っているけれど…。

KIAFA:一般部門で出品されてもいいですね。カリキュラム内で制作したものじゃないから。
ハン:でしょう。どの部門かというのはそんなに大差ないと思います。

KIAFA:今年もいい結果を期待します。
ハン:ありがとうございます。

KIAFA:インディ・アニフェストの伝統では大賞を受賞した方が次回の映画祭トレーラーを制作しますが、トレーラー制作はどうでしたか?
ハン:とっても面白かったです。そういう制作をしてみたかったから。『Kopi Luwak』を2D、セルスタイルのキャラクターで長いこと作業していたから、軽く制作をしてみたかったんだけれど、ちょうど機会が来て。トレーラーの前に、リレーアニメーションもそんな風に制作して。


ハン・ジウォン監督が制作したインディ・アニフェスト2011トレーラー

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リレーアニメーション「The Water~船頭多くして~」

KIAFA:あの冷蔵庫のドアを開けるやつでしょう。今回SBSアニギャラリーで『The Water~船頭多くして~사공이 많으니까』(花コリ2012で上映)が放映されることになったの知ってます?
ハン:え、本当ですか?しっかり見て、視聴率ちょっと上げなくちゃ(笑)。

KIAFA:映画祭の時に『Kopi Luwak』のDVDがよく売れて、後で新たに在庫を持って来て、急いで包装して販売したといううわさも聞きました。今もよく売れています。
ハン:あ、そうですか?今はあんまり売れないと思ってたけど。

KIAFA:監督のブログのファンだと言って買っていく人もいましたよ。 
ハン:あら、ありがたいですね。もっと頑張らなきゃ。

KIAFA:ショートカットはいつからですか?
ハン:私が双子なので母親が、姉は髪を長くして、私は短くして区別できるようにしろって言ったような気がします。子どもの頃からずっとこのスタイルだったので、そのままそれがトレードマークになったみたい。

KIAFA:普通、双子達は髪型や服装が似てるけれど。
ハン:私達は二卵性なのに似ているとよく言われます。実は似ているという話は、最初は面白かったんですが、後で区別つかないとなると“私は私なのに”と少し思って。お互いに正確も少し違うんですよ。

KIAFA:監督の双子のお姉さんもアニメーションをやると聞きました。家でもお互いに作品についてよく話すでしょう?
ハン:そうです。お互いに作品についてよく話して、作品の方向性は違うけれど、好きな作品や大きな面はたくさん似ていて価値観がちょっと似ている部分もあるんです。今度、多分お姉さんも作品を出品するんじゃないかと思います。上手いですよ…。

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双子の姉ハン・ジヘの作品「The Gift」/ 2009 / 01:52 / 2D
少年と子犬は彼らだけの恒星で平和に暮らしていた。
そんなある日、空から正体不明のプレゼントの箱が落ちてくるのだが…。
★花コリ2010で上映

KIAFA:2作品確保確実ですね。
ハン:(笑)うちのお姉さんと好きな作家は違っても、方向性は、こういうのが良いと賛同することが多いです。

KIAFA:制作に関してぶつかることはないんですか?
ハン:学科の課題作をつくるのに、制作を一緒にした経験が一度だけありましたが、その時も大きくぶつかることはありませんでした。

KIAFA:今度作品が出れば、監督コレクションにしてDVDを作っても良いようだけれど。
ハン:2つの作品しかないのにコレクションを(笑)。3つの作品まで出れば…(笑)。

KIAFA:今年はインディ・アニフェストいらっしゃらなかったでしょう。
ハン:いいえ、最後の授賞式の日、人知れず静かに行きました。チョン・ユミ監督の『LOVE GAMES/恋愛ごっこ』が印象的で良かったです。恋愛しながら感じる感情に同感しながら見ました。私は世界観を大きく表現して現実と似せようと努力するのに、チョン・ユミ監督はそういうことを制限して使っているみたいで、感情自体はリアルな感じがしました.。映像もとてもきれいで。

KIAFA:監督の代表作『Kopi Luwak』は大賞を越えて好評が多いんですよ。イタリアのラパッロで開催された「CARTOONS ON THE BAY」でも上映して、日本のアジアグラフでも上映しました。それ以外にも海外での上映暦がありますか?
ハン:いいえ.、海外ではけっこうだめでした。どうしても台詞が多くて、西洋圏の作品と呼吸が違いすぎて制約が多いようです。

KIAFA:作品全般について話す前に、チャン・ヒョンユン監督が『Kopi Luwak』について書いたコラムを読みましたか?
ハン:あ、読んだかも…。

KIAFA:“本当に彗星みたいな新人が登場した.。これが卒制でもなくて実習作品だとは。長いランニングタイムを消化する底力、粹なスタイル、鮮やかな主題意識.、断然今年の最高作品だ。”
ハン:(爆笑)気恥ずかしいですね。

KIAFA:私は初作品だと思いもよらなかったです。初作品で卒制ではなく実習作品だというのにも驚きました。アニメーションで20分のランニングタイムを選ぶことも容易ではないでしょう。どうしてそうなったのか話を聞かせてください。
ハン:どうしても最初に計画したのより長くなるんですよ。初作品なので試行錯誤も多いんです。初め一人で作業する時はこんな風に進むと思っていなくて、スタジオアロにいるイ・ホンス監督がたくさんアドバイスをしてくれて。むしろ20分のものをやるのはどうかと助言されて。元々、ロックをやるキャラクターと入試にぶつかる設定はあったけれど、熊とかそういうソースが割りこんで、相乗作用が生じたようです。

KIAFA:構想はいつから?
ハン:構想はそんなに長くなかったです。ただ主題のようなものは、私がずいぶん前から経験して来た問題なので、考えてきたことです。

KIAFA:この作品、音楽以外は動画、背景そういう部分はほとんど監督お1人で制作したようですが。
ハン:ええ。本作業は私がひとりでして、スタジオにいる他の監督がプロデュースするように傍でたくさん手伝ってくれました。

KIAFA:原画、動画別々に作業する方々も多いでしょう。たやすいことではないと思いますが。
ハン:1人で制作したから陶酔したみたいで。実際、動画を入れなかった部分もあり。入れなくても、そう見えないようにカットに気を使った部分もあって。台詞をたくさん活用したから残りの部分でたくさんセーブしたようなものです。今は反対にそれが惜しくて台詞がない制作をしているけれど、当時は時間を節約して効率的な方法をたくさん模索しました。そういうアニメーションもたくさん探しては見て。1人で制作をすると無条件難しいというよりは、どんな風にして方法を模索するのかが重要なようです。

KIAFA:今も同じフォーマットで制作しているのですか?
ハン:いいえ。今は完全に違います。今は台詞がなくて動きが表現になっていて、これからは古典的な技法になってしまうけれど、画面の深みを与えてレイヤーを作るとか、3Dのように合成してみるとか、最初の作業で惜しかったりなかったものをたくさん入れて見ようと初っ端から企てました。動画もたくさん描きましたが、多く見えるかよく分からないけれど(笑)。

KIAFA:題名が『Kopi Luwak』ですが、珍しくて、引き付けるモノがありますが、どうやって題名をつけたのですか?
ハン:おっしゃるとおり珍しいところも気に入っていて、語感も気に入っています。主題自体も重い面があっていたずらに付けても合わないと思って。悩んでいる途中、台詞から抜純するのはどうだろうと思ったんです。実はKopi Luwakもはじめから中心的なキーワードだとは思わなかったんですが、熊のように後で追加されたソースです。

KIAFA:他の候補の題名もたくさんあったんですか?
ハン:ええ。あまり覚えてないけれど、ちょっと青春物の感じが出るような題名を考えていたと思います。

KIAFA:主人公の声も監督が吹き替えされたようで。
ハン:ええ。主人公が高校2年生で、私の声が幼いから。キャラクターの性格が重苦しくて、すぐかっとなって、ちょっといい加減な女の子なんだけれど、私の声が合ってると思って。ちょっと性格も似ているんです。

KIAFA:演技するのは面白かったですか?
ハン:実際、面白くさえないんですよ。作業が締め切り間近だからか、後半に行くほど勢いがつく方だったんだけれど、録音室に行って録音もしなけきゃいけないのに喉の状態もよくないし、思ったより楽しいものではないと思いました。今振り返えってみれば面白かったけれど。

KIAFA:他の人の声優のキャスティングはどうやってしたんですか?
ハン:すべて学校の人々です。おじさんのキャラクターもうちの作業部屋の方々ととても親しい方です。

KIAFA:あ、本当ですか?専門の声優だと思いました。
ハン:でしょ?声がロートーンで良い方です。あまりによく合っていて、私も満足でした。

KIAFA:『Kopi Luwak』はアニメーションよりマンガに合う絵柄みたいですね。
リレーアニメーション『The Water~船頭多くして~』でも監督の作品をひと目で見抜くことができました。絵のスタイルは監督の物で固まったものですか、それともスタイルの変化に対する意向がありますか?
ハン:元々アニメーションをしながら絵を描いていたら変わってきたんですが、先に絵を描いている途中でアニメーションをやるようになりました。どうしてもキャラクターを描く時、普段の習慣がたくさん出て来るようです。普段見た作品や好きなマンガ本のイメージがたくさん割りこんできて。絵柄も作業スタイルや演出方向も今の形式通り固めるつもりはあまりないです。やる度に少しずつ変えてみたくて、次はまた変わると思いますよ。

KIAFA:技法的には?
ハン:技法は私のやり方を固守すると思います。2D、セル。他の人たちのようにフル3Dをやってみるとか、ペインティングオングラスみたいな大幅の変化はないけれど、2Dデジタルアニメーションの中でできるものはすべてやってみたいです。

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KIAFA:3Dより2Dの方が魅力的だという思いがありますか?
ハン:ええ。私は2Dの方がずっと良いです。3Dももちろんこのごろ大勢でスペクタクルな魅力があるけれど、スタジオにいる他の方々もたくさん共感すると思うけれど、2Dのような場合は3Dで出ない感性が存在するようです。動きをフレームで表現する部分もそうで、背景も元々は立体なのに2Dで具現する過程で、たくさん縮約する過程で元々絵描いた習慣と感性がどうしてもにじみ出てくることがあるんですよ。完全に現実とまったく同じものを追い求めるよりは感性がにじみ出てくるのが良くて、2Dは今後ともずっとやっていくと思います。

KIAFA:チャン・ヒョンユン監督のコラムをさっき言いましたが付け足すと
“日本のアニメスタイルだという批判を受けたりするが、それがどうした?私たちは、日本のアニメの影響を受けた韓国アニメをあまりにも長いこと見てきたではないか。監督のインタビューを読むと、マンガに挑戦してみるつもりだというが、そんなこと言わないでアニメーションをずっと作ったら良いだろう”と。
マンガを描いてみるおつもりだったんですか?
ハン:ええ。マンガを描くことがアニメーションをやることと特に違わないと思うんですよ.。絵で感情を表現した方が良くてアニメーションをやったのだし、それでイラストを描くことも好きで、大きく境界を置いて考えはしないです。アニメーションを初めてやってみて性に合っていると。単純作業で労動する部分も退屈ではなくて。構想することも面白くて。作って皆一緒に試写をする長所も良いんです。でもマンガは同じ絵で話を表現するという点で似ているけれど、アニメーションとは違う魅力があって刺激になるようです。『Kopi Luwak』が終わってからマンガを制作したけれど、やりながらアニメーションをする片手間にマンガも一生懸命やってみたいと思いました。今のアニメーションをする私の姿の中にはマンガで影響された部分も多いようで。結果的にはマンガとアニメーションがお互いに相乗作用があると思います。

KIAFA:監督がWebToon(ネットマンガ)をやったら呼応が良いと思います。
ハン:WebToonもやってみたいけれど、まだ私には難しいようで。いつか機会があれば必ずやってみたいです。

KIAFA:アングレームに行ってみましたか?
ハン:いいえ、行きませんでした。

KIAFA:チョン・ジュア監督お勧めの所なのですが、小さな都市だけれど、聖堂、市役所、議会、全都市が祭りに参加するとてもステキなフェスティバルだと言っていました。
ハン:行ってみたいですね。

KIAFA:マンガからアニメーションに試みたきっかけは?
ハン:実はアニメーション監督は幼い頃からなりたくて。アニメーションは与件になればできることだから、その前にマンガも描いてみて、イラストも描いてみて、それから大学に入学して本格的にやるようになりました。

KIAFA:大学も念頭に置いて、アニメーション科に入学したんですか?
ハン:アニメーション監督が正確に何をするのかも分からないながらも、漠然とアニメーションをするんだと思っていました。そうしたら自然にアニメーション学科に行くようになったんです。

KIAFA:お姉さんも同じ科ということですが、2人ともアニメーションをなさることに対してご両親の反対はなかったんですか?
ハン:最初は特にお父さんが反対をしたけれど、最後は気に入ってくれて授賞式にも来て(笑)。

KIAFA:好きな作家や、好きな作品は?
ハン:その質問受けるとよくフリーズするんだけれど…好きな作品は作品をする度に変わるんです。ちょっと、いかにもかもしれないけれど、宮崎駿は大好きです。マンガ家は原秀則が好きです。

KIAFA:作品の話を本格的にするなら『Kopi Luwak』の導入部が印象的でした。推進力があると言うか。作品が始まるやいなやキャラクターの現在状況と葛藤がすべて出てる。イェミの空とカンボの空が違うのも構造的に面白い。サブテキストにも苦心の跡が見えましたがどうでしたか?
ハン:ストーリーボード作業はなく、コンテですぐ作業に入って行って試行錯誤も多かったけれど、ビデオボードが出れば普通修正が大変だけれど、私は修正し続けて、そういう方式で進めました。実は協力者の方たちとフィードバックしながら修正した部分も多いです。たくさん悩んだのは事実だけれど、構造を全部組み立てておいたわけではありません。台詞もたくさん修正しました。試行錯誤は多かったけれど、作る過程で悩みを反映することができた点が良かったです。偶然もたくさん加担したみたいで。

KIAFA:修正作業をたくさんする方なんですね。
ハン:ええ。修正作業を重要視します。違うと思えば、たくさん捨てたりもするんです。

KIAFA:監督は20代前半なのに、この人物と状況で設定した理由は?
ハン:大学2年生の時自体が入試についての反感がまだ残っている時で。塾講師生活もしていて。誰もが経験するけれど、実際はとても非常識な位に辛い時期をみんな経験するから私もそれについて良くない感情が残っていました.。高校時代から絵を描く友達と一緒にいたけれど、家で絵を描かせてもらえる友達もいたし、暮らし向きが悪く絵を描く事ができない友達もいました。それをみていていじらしかったです。私自らも余韻が残っていて、その素材が私には描きやすかった。

KIAFA:監督のブログを見ました。いつからやっているんですか?
ハン:中学2年の時からやっているので、IDがすごく幼稚です(笑)。IDは見ない方が良いです。

KIAFA:書き込みが多いけれど、その中で面白いものを見つけました。“皆、学力テストがんばって。このごろは等級制だってそんな話することさえ恐ろしい”
ハン:そうですね。

KIAFA:学力テストはうまくいきましたか?
ハン:いいえ、韓国総合芸術校に行くために入試を8月に既にやってしまい、学力テストはやりませんでした。

KIAFA:『Kopi Luwak』が代名詞でしょうか?
ハン:はい。その名前自体がKopi Luwakです。スペル自体がkopiなので、代名詞としてKopi Luwakを使いました。

KIAFA:Kopi Luwakは飲んでみたことありますか?
ハン:いいえ.、その当時は飲んでみたことなくて、後で両親が旅行に行って来て、お前の作ったKopi Luwakがこれだよ、と言って、くれました。味はよく分からなかったんですよ。

KIAFA:私はこの作品の中で焼肉屋の社長のキャラクターが一番好きで、“おじさんは離婚をしたけれど、生きるのに差し支えがなさそうだ”という台詞が印象深いです。そういうのはいつも持っている感想でしょうか。それとも即興的に出るんですか。
ハン:当時もそうで、今もそうだけれど、大人たちが特にどうやってあんな事を経験しても平気で暮らしているのか?と思います。実際はその過程をその通り踏んだ人々はそれくらい考えも固まっていて、社会的に見た時は強くあんな風に話をすることもできるけれど、幼い心でみると本当にどうしてそんな風にできるのか、辛いと思えます。夢をあきらめる人々がますます多くなるから、初めは敏感だったけれど、だんだん鈍感になるんです。

KIAFA:監督も夢に敏感ですか?
ハン:夢という単語に敏感であるより、私の夢は以前に比べてちょっと現実になった方です。手ごわくて、情熱的に追わなければならない対象というよりは、今から当然これから絶えず続けていかなければいけない感じがして淡々としているようです。

KIAFA:初めて作品を作る時もそうでしたか?
ハン:作品を作る当時は手ごわかったようです。その頃私は何もなかったから、アニメーション監督になろうと思っていた時だったので勢いがありました。今ももちろん一生懸命やっていますが、あの時よりちょっと当然のことのようにやっています。

KIAFA:他の監督志望の人々が羨みそうですね。
ハン:あ…そうですね…。みんな似ていると思います。誰もが最初の制作はするもので、最近は監督志望というよりはアニメ科に入って行けば自分の作品を作るのが当たり前な時代なので、施設や装備も良くなって、傘下に何人もいなくても作品ができるから、みんな通り過ぎる時代ではないかと思います。

KIAFA:キャラクター設定はすべて終わった後に入れたんですよね。熊を後日入れた理由は?
ハン:ええ。誰もが経験する入試という位とても平凡に進むのがつまらなくて、ちょっとアンバランスなコードやキーワードが入っています。実際、カンボのキャラクターが元々退屈な部分があるので、熊が入ればどうかなと思って。

KIAFA:この作品には音楽の話を抜きにしては語れませんね。ロックという素材も入っていて、音楽作業はどのようにしましたか?
ハン:音楽作業をとても気を使わなければならない作品だったけれど、この作品、音楽が主になる作品ではないんですよ。音楽はサブ主題なので音楽を別にスタジオで録音したということではないんです。音楽監督があらかじめ提示した曲を新たに作曲するとか、私が選んだりしました。思ったより音楽作業を普通にしました。でもちょうどいい人に出会って、音楽が良いという話をよく聞きました。

KIAFA:ロックが好きなんですね。
ハン:すごく好きでした。今も好きです。高校の時ヘビメタが好きで。今はあんまり聞かないけれど。その情緒とよく合ってハマッたんだと思います。ロックが持っているイメージ的なコードも面白いものが多いです。

KIAFA:最近はどんな歌を聴きますか?
ハン:最近はインディーズロックやフォークをたくさん聴きます。前まではアルバムを聴いていたけれど、最近はポータルサイトでお勧めのカテゴリーからさがします。最近はBelle & Sebastian(スコッドランド出身のロックバンド)を聴いています。

KIAFA:ギターを弾いたりしますか?
ハン:いいえ。弾きたくて学んだけれど才能がないみたい(笑)

KIAFA:ミュージックビデオの制作をやるようになったきっかけは?
ハン:チェ・ユジン事務局長が紹介してくれて。元々関心があって、やってみたかったんですよ。スタジオで初めて共同作業形式で進めて、相乗作用もたくさん受けたきっかけでした。


VOG<사랑을 부탁해>ミュージックビデオ

KIAFA:ライブはよく行きますか?
ハン:ライブはよく行きたいけれど、制作の外に他の時間を割くことができなくて大変です。制作をして休む時は、文化生活を楽しむよりストレスを解ける楽な方法を追求することになるみたい。

スタジオには作業をしていて休むこともできるようにこぢんまりした簡易ベッドも用意されていました。

KIAFA:ハワイダンスを踊る学校の先輩がカンボに最後のライブをしに弘益大(ホンイク大学略してホンデ:美大の弘益大付近でクラブがたくさんあるエリア)に来いというじゃないですか。若い世代のメッカである弘益大は監督にはどんな所でしょうか?
ハン:アニメーションの入試準備の時通った所です。その文化に属したというよりは、弘益大でインディバンドブームが盛んだった時は私が行く前の時代だったので。主人公のイェミが歩いて行く道も、私が予備校に行く道でした。ホンデで写真撮って。最近は回基(フェギ)で遊んで、ホンデにはあんまり行ってないです。

KIAFA:お酒は好きですか?
ハン:いいえ。去年体調を壊してお酒をたくさん減らしました。それでも元々お酒をたくさん飲める方ではなかったです。最近はお酒の席で1杯位?

KIAFA:美大入試を経験したということですが、熾烈な入試に苦しむ人々を見るとどう思いますか?
ハン:予備校が終わって家へ帰る時、地下鉄の駅前にアジャスターケースを肩にかけた若い子達がたくさんいました。皮肉としか言いようがない気持ちもありながら力も漲ったりします。さまざまな事情がある子達が集まってくる所だから面白くもあり、悲しくもあり。中学時代から大学時代まで私も入試を続けて来たから、それに対して愛憎が多いみたい。

KIAFA:イェミが後に現実に妥協したということでしょうか?
ハン:夢のために絶対自分を曲げることはないと思っていたけれど、実際に社会に出れば仕方ない部分も多くて、そんなことを自然に受け入れられるようになるんじゃないか。悲しいことだけれどそれは変節ではなく自然な過程でイェミが成長をしたということです。

KIAFA:オーストラリア巡回上映会もいらっしゃったでしょう。どうでした?
ハン:私の場合、共感はあんまり得られないと思ってそれなりに心の準備をして行きました。海外フェスティバルではうまくいかない傾向もあって、韓国の入試状況を共感できないようだったけれど、意外にたくさん共感されて。それでやり甲斐を感じ、韓国の入試という珍しい世界が伝わったんだなぁと思いました。
オーストラリアにいる教授が、日本のアニメの絵柄を使っているけれど、それに対する悩みがあるか、という主旨の質問をしてきました。その点は私も感じた点なので…。私が影響された部分だからそう描くしかないといつまでも話しているわけにはいかないでしょう。いつかは私がぶつからなければならない点だなと思うようになりました。

KIAFA:海外の観客と韓国の観客とではけっこう違いますか?
ハン:作品を見た後に韓国の現実が骨にしみるように悲しいというよりは、やはり理解の程度が違います。こういう現実が韓国にあるんだね、と思われたようです。

KIAFA:リレーアニメーション『The Water~船頭多くして~』の作業はどうでした? 水の素材の多様性の中にビールを選択した理由は?
ハン:実は水という素材を二つ使いたかったんです。‘水’と‘ビール’。描く時、筆を洗う場面から始めたかったけれど、その場面を入れることができず、一人で作業する時は後先の繋がりに神経を使わなくても良いけれど、リレーアニメーションは自由な方だったけれど共同作業で、つながりの輪に気を使う点においては一人で作業するのとは少し違いました。完成して見てみたら面白かったです。どんな風に完成するか全然分からない状況だったから何の期待も不安感も持たないで見たから、新しくて面白かったです。各自他のスタイルを見る楽しさもあって。

KIAFA:今回制作している作品について教えてください。

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『学校に行く道』作品スチルカット


ハン:『学校に行く道』という題名のアニメーションです。家にばかり閉じこめられて暮らしていた子犬がある日、主人の手違いでしっかり閉まっていないドアの隙間から出て主人に付いて行っている途中、山に登るバスに付いて行って迷子になり、結局山奥をさ迷う話です。
私も犬を飼っていますが、自然の中にいるのが自然な、毛のある動物が家のソファ-に座っていることに違和感を覚えたりします。
犬が山奥をさ迷いながらそこにいる野生の鳥や猫、他の動物たちに出会って、自然の中で自分の奥妙な境遇に対して悩んでみる、お互いに違う自由に対して考えてみる、そんな内容です。
『Kopi Luwak』に比べて明るい感じのアニメーションになると思います。4、5月頃完成すると思います。多くを学びながら制作しています。

KIAFA:最後に言いたいことは?
ハン:必ず(映画祭に)作品を持って会いに行きます!

KIAFA:お忙しいのにスタジオにお招きくださり、インタビューも受けていただき、お疲れ様でした。
今度の作品も終わらせて、早いうちに見られたらと思います!期待しています!
今年のインディ・アニフェスト2013でハン・ジオン監督の新しい作品に出会えると思うと本当に期待が高まります!


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